私たちの多くにとっては究極の夢である起業への道。起業家になれば、クリエイティブな側面を自ら管理し、時間をフレキシブルに操り、自由を手に入れることができます。
しかしその裏で、かなりの仕事量をこなさなければならないのも事実です。起業家になるには、しっかりとした計画、戦略、そしてそれを実行するためのひたむきな努力が必要になります。ずっと起業したいと思っているものの、何をどのように始めたらいいかわからない人たちのために、ここではその出発点となる内容をまとめました。
起業家になるべき?
自らビジネスを始めると思うと、楽しくワクワクすることもあれば、不安で到底無理だと感じることもあるかもしれません。まずは長期間にわたって事業を築いていきたいかどうかを自分自身に問いかけてみましょう。初めのうちは「起業家になる」という考えが刺激的に感じるかもしれませんが、事業を成長させるには時間がかかるものです。これから何年もかけて、新しい事業に自分の時間や労力を費やす心の準備はできていますか?
新しいビジネスには失敗が付きものです。起業するならば、安定性のある収入を一旦諦め、景気の浮き沈みをやり繰りしていかなければなりません。ビジネスから収益を得るようになるまでには少し時間がかかるかもしれませんが、起業は非常にやりがいのあることです。大切なのは、何が待ち受けているかをしっかりと心得ておくことです。
商店ifyの調査では、多くの起業家が、事業を立ち上げた理由に「主体性」と「柔軟性」を挙げています。彼らの多くにとって、起業することの利点はその欠点を上回るようです。Shopifyを使う小規模ビジネスオーナーの方々は、自ら事業を運営することによって、他では得ることのないものを手にすることができると言います。特に主体性を持てること、そして自分で時間を管理できる点は、何事にも代え難いものでしょう。
起業家になる方法
では、ここからは販売する商品決定から在庫確保に至るまで、起業家になるには欠かせない7つのステップを紹介していきます。
1. 収益を上げる商品を見つける
オンライン事業の要となる商品カテゴリーの選択は、最も重要な決断の一つとなります。
完璧な商品は存在しないかもしれませんが、適切な商品とニッチ市場を選ぶことによってリスクを最小限にする方法は必ずあります。以下の基準をガイドラインとして使えば、検討中の商品の利点と欠点を把握することに役立つでしょう。そしてできることなら、ビジネス全体の成功のチャンスも高めたいところです。
夢中になれる、または問題を解決できる商品か?
いつであっても、夢中になれる、または問題を解決してくれる商品を販売することは有利にはたらきます。そのような商品を提供する利点は、マーケティング費用がより安価で済むこと。なぜなら顧客自ら積極的にそのような商品を探し求めているため、懸命なマーケティング活動に取り組む必要がないのです。
いつであっても、夢中になれる、または問題を解決してくれる商品を販売することは有利にはたらきます。
商品カテゴリーの種類:トレンド/一時的な流行り/成長過程
一時的な流行りに乗ることはリスクが高く危険です。一方で、長期的なトレンドに上手く乗れれば収益性が見込めます。安定性のある市場ではリスクの恐れはありません。成長過程の市場にいるならば理想的だと言えるでしょう。いずれにせよ、自分の商品やニッチがどれに該当するかを認識することは、事業の成功もしくは失敗を大きく左右します。
これらの違いをより良く理解するために、以下の論理的成長曲線を見てみましょう。その上で、それぞれの商品カテゴリーに関する実際の例を取り上げていきます。
一時的な流行り
「一時的な流行り」とは、短期間で人気が急上昇し、その人気が同じようにたちまち消えてしまうことです。「一時的な流行り」の商品を取り扱う場合には、市場への参入と撤退のタイミングを完璧に合わせることができれば、収益性のあるビジネスとなり得るでしょう。しかしそれを予測するのは難しく、大失敗となる恐れもあります。そのため、ビジネスはよりしっかりとした基盤の上に築くことをおすすめします。皆さんはハンドスピナーを覚えているでしょうか?2017年に大流行した、手に持ったまま回転させて遊ぶおもちゃです。人気のピークに達した後は、瞬く間に無意味なものと化してしまったことも記憶に新しいと思います。
トレンド
その一方で、「トレンド」はより長期的な市場性があるもののことを示します。「一時的な流行り」のように急成長はしませんが、その人気はより長く続き、人気が衰退するスピードもさほど速くはありません。トレンド商品は、長期的な成長市場へと発展していくこともありますが、それを予測するのは困難です。パンデミックが発端となった購買トレンドもいくつかあります。自宅で過ごす時間が長くなったために、キッチンタオルや保存容器などの家庭用品の人気が顕著に高まりました。
安定市場
「安定市場」は一般的に景気の動向に影響されません。衰退することも成長することもなく、長期間にわたって一定のポジションを維持します。例えばティーポットは、過去15年間にわたってその安定した人気を一定に保っています。
成長過程
「成長過程」市場とは、継続的な成長が観測され、長期的または恒久的な市場へと発展する兆候があるもののことです。2014年末以降から成長過程にあるアスレジャー市場は、パンデミックがその勢いをさらに助長しました。現在、その市場規模(そして需要)は著しく拡大し、しばらくは衰えを見せそうにもありません。
市場勢力図の様子は?
選択した商品とニッチ市場の市場勢力図の状況をチェックしましょう。競合他社はすでに存在していますか?または同じ商品を提供し、同じニッチ市場を狙う人で溢れかえり、飽和状態になっていませんか?
もしも市場に一番乗りだった場合には、十分に市場調査をして、本当に商品への需要があるかどうかを見極めることをおすすめします。すでに健闘している競合他社が何社かいるようであれば、市場性があることの証だと考えていいでしょう。
競合他社が多数いると、市場の有効性が実証されたことを意味します。しかし確固たるポジショニングを獲得するためには、数多くの競合他社から自身のブランドや商品を差別化しなければなりません。
2. 商品を開発する
販売する商品が決まったところで、次は商品開発についての選択肢を見てみましょう。Heath Ceramics社の職人たちように、自社商品を手作りすることも、またはWest Path社のメキシコ製ブランケットのように、製造を担うパートナーを見つけて、自社商品を仕様通りに作ってもらうことも可能です。
開発済み商品を卸売り業者から買い取るという選択肢もあります。その場合には、Shopifyの卸売り専用マーケットプレイス「Handshake」をぜひご活用ください。
在庫を抱えたくないという方は、「ドロップシッピング」というオプションを検討してもいいでしょう。ドロップシッピングとは、顧客があなたからアイテムを購入した場合、あなたはその商品を第三者から購入し、第三者から顧客に直接配送してもらうというビジネスモデルです。そのため、店舗を持つ必要もなく、商品を配送する手間もかかりません。
自らデザインをする方には、オリジナルデザインをTシャツ、アートプリント、そしてマグなどに印刷してもらう「オンデマンド印刷」がおすすめです。オンデマンド印刷を担うサプライヤーと提携すると、顧客がアイテムを購入した場合に限り、オリジナルデザインをホワイトラベル商品に印刷してもらうことことができます。つまり需要があるだけの商品を販売するというシステムなので、在庫を抱えたり、商品を自ら発送したりする必要はありません。
3.商品の見極め
次のステップは商品案の検証です。ここでは、顧客が本当に欲しいと思っている商品を提供しているかどうかを見極めます。商品の市場性については、初めて商品を売り上げた時に判断することができます。そのため、新しい商品ラインにお金や労力を費やす前に、低コストの販売試験を実施してみるといいでしょう。
また、新商品への期待感を高めるために、「Coming Soon(もうすぐ到着)」ページを作成することも効果的です。または事前予約注文を受け付けてみて、関心が集まるかどうかを試してもいいでしょう。天然素材を使ったインド産スパイスや調理器具を販売するJaswant’s Kitchen社のオーナーは、対面販売を通して自社商品の市場性の見極めをしたと言います。
商品をいくつか売り上げさえすれば、販売商品の需要の有無を見極めることができるようになるでしょう。
商品の市場性については、初めて商品を売り上げた時に判断することができます。
4. 事業案の作成
商品の見極めに加えて、事業案を作成することも非常に大切です。事業案はビジネスに欠かせない内容をまとめた書類です。事業案に含めるべき重要点としては、リーチして商品を販売していきたい顧客層、商品の価格帯、初期段階の商品ライン、そしてマーケティング戦略などが挙げられます。
SNSのアカウント設定やロゴ作成などの楽しい内容から始めたいところですが、物事を順調に進め、しっかりと考え抜かれた戦略を準備するには、事業案の作成が先決です。
どこから手を付けたらいいのか、何を含めればいいのかわからないという場合には、事業案のテンプレートをダウンロードして、内容を記入してみてはいかがでしょうか。また、事業案のサンプルも用意したので、実例を見て参考にしてください。
5. 必要資金の確保
率直に言うとビジネスにはお金がかかります。オリジナル商品を販売するとしたら尚更でしょう。立ち上げ初期の収益をビジネスに再投資することはできますが、多くの場合には何らかの資金が必要になるはずです。一般的な資金調達の選択肢は以下の通りです:
- 自ら資金調達:手元に資金があるようなら、そのお金を事業に投入してもいいでしょう。ただ、しばらくはその資金が返ってこないことを念頭に置いておきましょう。ビジネスによっては急速に収益を上げるものもあれば、投資に見合う収益を上げるまでに数年かかるものもあります。
- 事業向け融資を受ける:小規模事業向けの融資を受けることも一つの選択肢です。対象者であれば、商店ify Capitalから売上ベースの融資を受けることも可能です。
- クレジットカードで月々のコストをフロートさせる:サプライヤーがすべての在庫に対して現金払いを要求するようであれば、Plastiqのようなツールを活用して月々の資金繰りをしてはいかがでしょうか。 Plastiqは、先方が受け付ける手段(小切手、自動決済機関、電子送金など)で支払いを代行することによって、クレジットカード払いに応じない業者への支払いを可能にします。そのおかげで、仕入れ分の支払いまでに、追加で30日(クレジットカード会社によっては60日)の期間が確保できるようになるのです。
商店ifyの調査では、事業立ち上げ初年度に起業家が最も費用を費やしたのは、「商品関連コスト(材料費、在庫、サプライヤー、製造、パテント等)」であったことが判明。
6. 事業の立ち上げ
起業家になるには行動あるのみ。物事をあまり考え過ぎないようにするのも大切です。立ち上げに向けてチェックリストを作成しましょう。初日にはSNSでオーガニック投稿などを発信できるように、マーケティング活動をしっかりと準備しておくことも重要です。さらに、カスタマーサポートの設定や、少なくとも「連絡先」を用意し、ヘルプが必要な時に顧客がスムーズに問い合わせできるようにしておきましょう。
それらがすべて済んでから、売上達成へと時間や労力を費やすようにしてください。顧客獲得への努力は、その後からでも遅くはありません。
7. 起業から学ぶ
ビジネスについては、学校に行くよりも、事業を立ち上げることによってさらに多くのことを学べるでしょう。成功を遂げたビジネスオーナーたちも、他の起業家たちから実に多くを学んでいます。
Front社のCEO兼共同創設者であるマチルダ・コリン氏が綴った通り:
“業界の発展を願う経験豊富なスタートアップのリーダーたちは、自分たちの経験談を他者に詳しく教えてくれます。他の創設者や投資家、そしてリーダーたちとの会話は、今までの自分のキャリアの中で貴重なものとなりました。彼らがつまずいた時の経験やそこから学んだ教訓を聞いていたおかげで、自分が壁にぶち当たった時でもそれを乗り越え、立ち上がることができました」
学ぶことに時間を費やすこと、特に自分よりも先に道を切り拓いて来た人たちから学びとることを通して、損害の大きい失敗を避け、前人未踏の領域を開拓して行くことが可能になります。メンターを探すことをはじめ、本を読んだり、何かのコースを履修したり、ポッドキャストを聴いたり、さらにはEメールのニュースレターに登録したりしてもいいでしょう。それが何であっても、自分にとって一番適した方法を選び、継続して学び続けることが大切なのです。