スモールビジネスを立ち上げたばかり、または、これから始めようとしている方々、おめでとうございます!ここまで来るのに並々ならぬ情熱と忍耐を要したことでしょう。
しかし、ご存知のように、事業を持つということは、増えていくタスクリストによるマイルストーンを達成していくことの連続です。事業の立ち上げに伴って、お店を持つことに付随した会計の仕事の全体像を把握する必要があります。
この中小企業の会計ステップのリストがあれば、基本的な事項はカバーしたという自信を持つことができ、事業のタスクリストの次の項目に移る準備ができるでしょう。
中小企業の会計の方法
1 銀行口座の開設
2 経費を記録
3 記帳システムの構築
4 給与システムの設定
5 輸入税の調査
6 支払いの受け取り方の決定
7 消費税の手続きを確立
8 納税義務を確定
9 総利益の計算
10 借入れの申し込み
11 レベルの高い会計のパートナーを見つける
12 定期的な再評価
1 銀行口座の開設
事業を法的に登録した後、事業の収入を管理する場所が必要です。プライベートとは別の銀行口座を持つと記録を明確にでき、税金の時期に便利でしょう。破産、裁判や監査といった不運な事象の際に、個人資産を守ることもあります。そして、もし将来、債権者や投資家といった人たちからの借入れを望むのであれば、しっかりとしたビジネスの財政記録があると承認を得やすいでしょう。
LLCやパートナーシップ、会社は、ビジネスのために別の銀行口座を持つことが法的に要求されていることに留意ください。個人事業主(sole proprietors)は法的には別の銀行口座を持つ必要はありませんが、別の口座を持つことは間違いなく推奨されています。個人事業主とLLCの利点は、sole proprietorships vs. LLCsの記事をご覧ください。
最初にビジネスの当座預金口座を開いた後、資産を整理して税金の計画を立てるのに役立つ定期預金口座を開きます。例えば、定期預金口座を開設し、毎回の支払いの一部を個人事業税の源泉徴収としてとっておくのです。通常は収入の25%ですが、高額収入の人のより保守的な見積もりでは3分の1に近い額かもしれません。
次に、信用を構築していくために、ビジネスのクレジットカードを考えることになるでしょう。将来的な借入れを確実にするために、信用は重要です。プライベートとビジネスの資産の混合を避けるために、会社やLLCは別のクレジットカードを使うことが求められます。
銀行と口座開設の話をする前に、自分で調べましょう。ビジネス口座の値段を調べ、手数料の構造を比較しましょう。多くのビジネスの当座預金口座は個人よりも高い手数料ですので、自身の負担に注意が必要です。
ビジネスの銀行口座開設のためには、ビジネスの名前が必要で、州や地域に登録されていないといけないかもしれません。会う際に必要な書類を各銀行に問い合わせましょう。
2 経費を記録
しっかりとしたビジネスの記帳の基礎は、効果的で正確な経費のトラッキングです。これは、ビジネスの成長をモニターし、財務諸表を作り、控除可能な経費を記録し、確定申告書を作成して申告を行うために不可欠のステップです。
最初から、レシートや他の重要な記録を整理するシステムを構築しましょう。パッケージ型からクラウド型のものがありますが、freeeやマネーフォワードなら聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。レシートを撮影して簡単に記録できる機能もあるので、比較検討してみてください。
Money Forward 公式サイトより
以下は、注意を要する5つのタイプのレシートです。
1 交際費
仕事の会議をカフェやレストランで行うのは良い選択ですが、きちんと記録をつけましょう。レシートの裏に、参加者と目的を記載します。
2 出張経費
IRS(米国内国歳入庁)やCRA(カナダ歳入庁)はプライベートな活動をビジネス経費として申告する人たちを懸念しています。幸いにも、レシートは出張中のビジネス活動の紙の記録となります。
3 車関連の経費
いつどこで何の目的でビジネスのために車を利用したかを記録し、車関連費用にその使用割合を適用します。
4 プレゼントのレシート
コンサートのチケットのようなプレゼントは、贈り者がプレゼントの受け手と一緒にイベントに行くかどうかが重要です。もし行くのであれば、費用はプレゼントではなく交際費として分類します。詳細をレシートに記載しましょう。
5 ホームオフィスのレシート
車の費用と同様に、自宅の何パーセントがビジネスに使われたかを計算してその割合を自宅関連費用に適用する必要があります。
自宅でビジネスを始めるのは、諸経費を抑えるために素晴らしい方法である上、独特の税務上の恩恵の対象になるでしょう。自宅のインターネット、携帯電話、仕事上の雑務のための仕事場への交通費と同様に、ビジネスに使われている自宅の一部を控除できます。
一部がプライベート、一部がビジネスのために使用される費用はその実態を反映しなければいけません。例えば、1つの携帯電話の場合、それをビジネスのために使った割合を控除することができます。ガソリン費用は100%控除可能ですので、全ての記録を保管し、ビジネスのマイルの記録(行き先や目的)をつけることを忘れないようにしましょう。
3 記帳システムの構築
記帳システムの構築(英語)に入る前に、記帳とは何か、そして、会計とどのように異なるのかをしっかりと理解することが有益です。記帳とは、取引を記録し、分類し、銀行記録の照合を行う日々のプロセスです。
会計は、ビジネスの進捗を見て、財務諸表の作成によって記帳者が集めたデータの整合性を見るハイレベルなプロセスです。新しいビジネスオーナーとして、帳簿をどのように管理したいかを決める必要があります。
1 自分で行う方法を選び、freeeやマネーフォワードといったソフトウエアを使うことができます。他には、単純なエクセルのスプレッドシートを使うこともできます。
2 地元またはクラウドベースの外部委託またはパートタイムで記帳する人を利用する方法があります。
3 ビジネスが大きくて社内に記帳する人、および/または、経理担当者を雇うことができる場合
非常に多くのオプションがあるので、自身のニーズにあった記帳の方法を見つけましょう。
カナダやアメリカのビジネスオーナーは、現金主義か発生主義のいずれを使うかを決める必要があります。この2つの違いを見てみましょう。
- 現金主義 収入と費用は、実際に受け取ったり支払ったりしたときに認識される。
- 発生主義 収入と費用は、取引が起こった時(たとえ現金が銀行に入っていなかったり銀行から出ていっていなくても)に認識され、債権と債務のトラッキングが要求される。
4 給与システムの設定
多くのオンラインストアは一人芝居として始まります。外部のヘルプ(英語)を雇うことが理にかなった時、その人は従業員なのかフリーランサーなのかを決める必要があります。
従業員に対しては、給与スケジュールを設定(英語)し、正しい税金を源泉徴収していることを確かめなければなりません。この手助けをしてくれる多くのサービスがあり、多くの会計ソフトウエアのオプションでも給与を機能として提供しています。
フリーランサーに対しては、各人にいくら払っているのかをトラッキングすることを忘れないようにしましょう。
5 輸入税の調査
ビジネスモデルによっては、お店で売るために商品を国外から購入して輸入する計画を立てているかもしれません。輸入の際には、税金と関税の対象になる可能性がありますが、ドロップシッピング(直送)の場合にはその限りではありません。税金や関税は、国による輸入品への課税です。最初から規則に精通するように、米国やカナダへの輸入品、関連する税金について学びましょう。
また、商品を輸入する場合、関税計算機が自身のビジネスの課税額を概算して費用を計画する手助けとなります。
さらに詳しく知りたい方:How to start a drop shipping business(英語)
6 支払いの受け取り方を決定
売上が立ち始めたら,支払いを受け入れる方法が必要となります。Shopifyでの北アメリカのお店のオーナーであれば、Shopify ペイメントを利用してクレジットカードでの支払いを受け入れることができます。これにより、マーチャントアカウントや外部の決済代行システムを設定する手間を省くことができます。
もしShopify Paymentsを利用せずにクレジットカードでの支払いを受けたい場合には、マーチャントアカウントが必要となるか、または、ペイパルやStripe、Squareのような外部の支払い処理業者を利用することができます。マーチャントアカウントは、お客さんからのクレジットカードでの支払いを受け付ける銀行口座の形態です。
外部の支払い処理業者の手数料は異なります。ある業者は通信費用と料率を課していて、通常は2.9%に加えて1取引あたり0.3ドルです。無制限の取引で月額制のメンバーシップモデルという会社もありますが、取引ごとの固定費用という会社もあります。あなたの所在地に合った決済代行サービスを見つけるのにこの一覧をご参照ください。
7 消費税の手続きを確立
Eコマースの世界は、州外や国外ものお客さんへの販売を今まで以上に容易にしました。それは成長する目標を持ったブランドにとって絶好の機会である一方で、消費税の規制はややこしいです。
お客さんが小売店へ来た時は、自分がその都市に住んでいるかどうかや世界中のどこから訪れているかに関わらず、購入した州や地域の消費税を支払います。しかし、オンラインでの販売の場合、お客さんは異なる都市や州、地域、さらには国にいるかもしれません。
カナダのお店のオーナーは、12ヶ月の間の収入が3万ドル以上の場合にのみ、GST/HSTの徴収を始めなければいけません。徴収したGST/HSTは分割で支払い(英語)ができます。それだけの収入を得ていなくても、GST/HSTを仕入税額控除に充てることができるので、GST/HSTを徴収することができます。
国外のお客さんへの販売は、国内販売より簡単です。カナダのお店のオーナーはカナダ国外のお客さんにGST/HSTをチャージする必要はありません。
アメリカのお店のオーナーにとって、消費税は少しやっかいです。自分のビジネスを発生地点ベースの州または到着地点ベースの州で行なうかを決める必要があります。前者の場合、自分がビジネスを営んでいる州に基づいて消費税をチャージしなければいけません。後者の場合、購入者の場所に基づいて消費税が適用されます。
アメリカを拠点とするビジネスは、海外からの購入は免税です。これは少し複雑なので、国際的な消費税に関するあなたの州の規則についての詳細な情報を会計士と確認しましょう。
8 税務義務を確定
税務義務はビジネスの法的な構造により異なります。自営業者の場合(個人事業主、LLC、パートナーシップ)、個人の確定申告書で事業収入を申告します。一方、会社は別の税務上の会社であり、オーナーとは別に課税されます。会社からの収入は従業員として課税されます。
自営業者は、雇用主が通常行う源泉徴収の代わりに、自分の収入から税金を源泉徴収して政府へ支払う必要があります。アメリカのお店のオーナーは、年間で1000ドル以上の税金を負う場合、四半期ごとの予定納税が必要です。カナダ人の場合は少し楽で、3000ドル以上の純額の税金を負っている場合、分割して所得税を支払わなければいけません。
9 総利益の計算
自身のお店の総利益を改善することは、総じてより多くの収入を得るための最初のステップです。総利益を計算するために、商品を製造するためにかかった費用を知る必要があります。より理解を深めるために、売上原価と総利益の両方を簡単に定義してみましょう。
- 売上原価 売上原価は、会社によって販売される商品を製造するためにかかった直接のコストです。原材料費と直接労働コストの両方が含まれます。
- 総利益 総利益は、商品やサービスを生み出すための全ての直接経費がかかった後に残る総収入を表します。
こちらが総利益の計算式です。
総利益(率)= (収入 - 費用)/ 収入
数値を簡単に計算するために、我々の無料の利益率計算機(英語)を使うこともできます。
販売価格と最終的な利益の差額が、事業を行う能力を如実に決定します。
10 借入れの申し込み
成長しているEコマースビジネスが、信用枠、投資家、中小企業向け借入れ、またはビジネスパートナーを通じて、外部の事業資金を確保する必要があるかもしれない多くの場面があります。
例えば、制御不能な外的状況のために予想外の売上減少が生じたり、季節変動のビジネスでは売上が少ない時期に財政面での支援が必要だったりするかもしれません。大きな成長目標のあるブランドは、新製品の開発や在庫、小売店、採用など多くの投資のための資金の確保がしばしば必要です。
中小企業向け借入れを受けるためには、財務諸表(最低限、貸借対照表と損益計算書。場合によってはキャッシュフロー計算書も)を提出する可能性が高いことを覚えておきましょう。
借入れ契約に署名する前に、金額が妥当かを確認することが重要です。すなわち、借入金のROIを計算するのは良いアイデアです。借入れがカバーする必要がある全ての経費、借入れから得られると予想される新たな収入、総利息を足し合わせます。総コストを出すために、中小企業の借入れ計算機を使うこともできます。
11 レベルの高い会計のパートナーを見つける
自分自身で経理を行うことが難しい場合であれ、少しだけ外部のガイダンスが欲しい場合であれ、中小企業の会計担当者や金融のプロは、お金をより管理する手助けをしてくれます。以下のような人を考慮したら良いかもしれません。
- 会計担当者 中小企業の会計担当者は、ビジネスの構造、財務諸表の作成、必要なライセンスや許可の取得や事業計画の作成をも含む多くの点でアドバイスをしてくれます。
- 公認会計士 監査の際に、財務諸表に監査意見を述べることができるのは公認会計士だけです。
- 経理担当者 経理担当者は日々の記録を管理し、定期的に勘定の照合を行い、費用を分類し、売掛金や買掛金の管理を行います。
- 税務申告書作成者 税務申告書作成者は必要な税務フォームを記入し、あなたの代わりにそれらを当局へ提出します。予定納税の設定も行うことがあります。
- 税務プランナー 税務プランナーは、確定申告書の提出前に、税務負担を軽減する方法を学ぶ手助けを行い、税金の額を最小化することを手伝います。
12 定期的な再評価
最初は帳簿を管理するために簡単なスプレッドシートを使うことができますが、成長するにつれて、QuickbooksやBenchのようなよりレベルの高い方法を考えた方が良いでしょう。成長を続けるにつれて、記帳のために費やしている時間、その時間がどれだけのコストとなっているかの評価を続けましょう。
適切な記帳の解決策が見つかれば、自分自身で記帳を行うことがなくなるのでビジネスにより多くの時間を使うことができ、節約にもつながるでしょう。Win-winの関係です!
ビジネスを成長させるために数字を知ること
ビジネスを始めるのは大変なプロセスですが、このリストに基づけば、最初から新しいお店の財務を整理することができます。適切な種類の銀行口座を開くことから、1商品あたりいくらの利益をもたらすかを決めることまで、これらの作業は全て、今、さらにはビジネスが成長するにつれて、ビジネスの成功に寄与するでしょう。
原文:Kendra Murphy 翻訳:須能玲奈
中小企業の会計に関するよくある質問
中小企業の会計記録をどのように保管しますか
中小企業にとって一番簡単な会計ソフトは何ですか
中小企業の会計のフィーはいくらですか
中小企業の会計士はいくらですか
中小企業の会計士は何をしますか
- 会社設立
- 事業計画策定の支援
- キャッシュフローの監査
- 経費節減の機会の発見
- ビジネス戦略のアドバイス
- 借入れの管理
- 支払いのトラッキング
- 借入れ申請書の作成と提出
- 予算策定
- 会計ソフトのセットアップ
- 在庫管理
- ビジネスツールの推薦
- 新しい銀行口座開設のヘルプ
- 給与のモニタリング
- 年度末の財務報告
- 監査の回避
- パーソナルファイナンスのアドバイス
中小企業の経理担当者は何をしますか
- 勘定の照合
- 取引の記録
- 売掛金と買掛金の管理
- 仕訳の調整
- 財務諸表の作成
- 請求書の送付
- 技術やツールのセットアップと管理
- 法律や規則のキャッチアップ
- 基本的な給与計算
- 会計士、確定申告書の作成者、税務プランナーとの作業