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ノートパソコンで小規模ビジネス向けローンの申し込みを行っている女性。

EC売上急成長中のARC'TERYXがShopifyで実現した理想のCRM・OMO施策とは

タウンユースでもスタイリッシュに着こなしができ、ファッション感度の高いユーザー中心に広がりを見せるカナダのバンクーバー発祥のARC'TERYX(アークテリクス)。アウトドア好きでその名を知らない方は、もはやいらっしゃらないでしょう。今や二次流通マーケットでも高い値段で取引きされる程、高いブランド力を誇ります。

意外にも同ブランドがECをスタートさせたのは2016年とやや後発(Shopifyは2021年から採用)なのですが、近年成長が目覚ましく、EC界隈でもよく話題にあがります。

一体、ARC'TERYXの急速な成長は何が要因なのか。同社のECチームを統括されるE-comマネージャー大村 千晴氏とマーケティングの林 克洋氏にお話を伺いました。

<目次>

1. 現在のEC売上の成長度
2. 自社ECを運営するにあたってShopifyに決めた理由
3. Shopifyを採用する際、パートナーはどのように選定したのか
4. モバイルアプリに早期に取り組んだ理由
5. Appify x VIP導入による成果
6. Shopifyを検討している皆さんへ一言

1. 現在、EC売上の成長度はどれくらいの程度なのでしょうか。

大村氏:現在EC比率は10%程度ですが、2022年度のEC売上は前年比が200%です。2016年に自社ECを開始しましたが、スタートが遅かったこともあり、まだECの割合は高くありません。本国カナダからは50〜60%程度の成長を見込まれており、ポテンシャルはまだまだあると考えています。

全国的に見てもまだ買える店舗が少ない上に、我々はセールを行っていませんので、お客様からすると「偽物は嫌」という心理状態になりやすいのか、公式や直営店、正規取扱店で購入される方が増えています。とは言え、Amazonには並行輸入品はもちろん、残念ながらや偽物も多数並んでいますし、正規輸入品より安く販売されるケースもあります。まだまだ「ARC'TERYXは、セールをしないブランド」という認知を広げていく必要はありますね。

2. 自社ECを運営するにあたって、Shopifyに決めた理由を教えてください。

大村氏:まず前提として、外資系ブランドはプラットフォームが本国主導なケースが多く、弊社も漏れなくグローバルで統一されていました。つまりカナダ主導ですね。そのため、全ての更新作業やキャンペーンの開催もカナダのサポートが必要でした。

また、グローバルプラットフォームでは1カ国だけしか使わない機能の改修は難しく、日本では当たり前の機能でも、北米にはないため必要性を理解してもらえず、実装まで数年かかることもありました。

例えば、大きなデメリットとして発生していたのは、

「代引きなど、日本特有の決済手段も導入までに時間がかかる」
「”入荷通知のお知らせ機能”の導入の承認がおりない」
「新しい施策がタイムリーに実行できない」

などでしょうか。また、ECサイトの管理はカナダなのですが、基幹システムの管理がフランスと、在庫の面では日本主導と3カ国が絡みオペレーションも煩雑で、シーズン区分が変わる日付で在庫の更新ができないという問題もあり、機会損失が生まれていました。そんな中、当時使っていたプラットフォームの契約更新の期間がせまっており、良いタイミングだと思い本国へ上申。

季節が真逆である南半球のオーストラリアはグローバルプラットフォームが利用できず、先行してShopifyでローカライズしたECサイトを稼働させていた事も良いタイミングでした。オーストラリアがShopifyを採用していたこともあり、日本のローカライズをShopifyで行うのはとてもスムーズな流れでした。

そういった社内環境もありましたが、他カートと比べてShopifyでなければクイックにサイトリニューアルするのは難しかったのではないか、と思っています。

このまま軌道に乗り、日本チームに課せられた目標が達成できればローカライズが定着できるチャンスでしたね。他にも「出ているアプリの種類や機能が他カートよりも多く、自由度が高い」こともメリットだと感じました。同じような機能でもアプリによって実装できる内容が微妙に違うので一番適したものが実装できる点も選定要素の一つでした。そして、社内メンバーがShopifyを活用していくにあたって豊富な知識や支援実績があるパートナー企業で特に評判が良かったR6Bを探してきましたので、とんとん拍子でプラットフォームのリプレイスが進みました。

Shopifyを採用してみて良かった点は、とにかく「低コストでやりたい事がすぐに試せる」ことでしょうか。ビジネスはスピード命なので、トライアルのハードルが低いとスピード感が上がります。日本のShopifyアプリ開発パートナーも多く、日本特有の事情を理解してくれるからこそ、我々の要望に対してスピーディーにサービスをアップデートしてくれるのも助かっています。「これをやりたい!」というアイデアがあれば、ほぼ解決できるのできちんとECで売っていく気概さえあれば、とても便利なプラットフォームだと感じます。

Shopifyに変更したことで日本のシーズン区分に合わせてタイムリーに商品を展開できるようになり,大幅な売上アップが実現できました。逆に本国からは「好調な要因は何なのか?」とShopifyの所感や日本で導入している機能説明や、それによる実績などについて説明を求められるようになりましたね。

現状Shopifyはまだ海外製のアプリが多く、時差の問題やサポートが英語対応のみなのでやや不便な部分があります。近い将来、さらに日本のShopifyマーケットが盛り上がり、日本のビジネスやリクエストに合ったアプリを日本のアプリ開発パートナーが開発してくれると助かりますね。Shopifyの日本向けの改修にも期待したいと思います。

3. Shopifyを採用する場合、パートナーの選定はECの成長と密接に関わっていると思いますが、どのように選定したのでしょうか。

大村氏:今お願いしているパートナーは先述したR6Bですが、国内トップレベルの構築・運用実績を誇りますので、選定の際に特に迷う事は無かったですね。むしろ、我々のチームは「スピード感」を重視しているので、スタートしてからの運用の方が重要です。

R6Bが何故、スピード感を持って対応ができるのかは、コードが理解できる人がディレクションも担当しているからだと感じています。こちらの依頼に対してエンジニアに「出来るか・出来ないか?」を判断してもらう必要が無く、そのまま見積もりまで出てくる事もあります。そのような対応をShopifyでの運用がスタートした2年前からやってきており、二人三脚で深い信頼が築けているのも今の売上を実現できている要因のひとつですね。

4. 大手ほど店舗数を保有しないショップで、モバイルアプリのメリットを持たせることはユーザー目線だと難しく感じます。ここを早期に取り組んだ理由はありますか。

林氏:一番の理由は前述の大村の言うとおり、セールをしないブランドですので、ECでもリアル店舗でもより満足度の高い施策を打つためにお客様のデータをオフラインとオンライン統合したいという点でした。過去から、オフラインイベントにはしっかりと取り組んできており、イベントのプッシュ通知、会員証としての機能を持ったアプリは運用してはいました。ただ、これをオンラインと統合し、店頭とECの顧客情報一元化とポイント一元化をShopifyで実現するには、AppifyVIP(会員プログラム機能)の導入は必須でした。

また、ARC'TERYXの商品は購買に至るまでの道のりが茨の道でして…。と言いますのも、初めて商品をご覧になるお客様にしてみると、デザイン面では、一見似た物が多い上に、カラーバリエーションも豊富です。また、商品名からアイテムをイメージし辛く、店頭だと何がどこにあるのかか?がとてもわかりにくいのです。それをモバイルアプリでわかりやすく表現し、店頭でスタッフにアプリを見せれば簡単にお目当ての商品に到達できるよう活用して頂いております。

また、各店舗のinstagramへのリンクもモバイルアプリに設置してありますので、近隣の店舗ではどのようなアイテムが展開されているかはそちらでも確認して頂けます。いずれ、店舗在庫もウェブサイトやモバイルアプリで見られるようにしていきたいと考えています。

とにかく目指したのはCRM観点で「お客様が商品に到達するまでのストレスを軽減したい」「お客さまの購入に至るまでの道を補装し、買いやすくしたい」ということでした。その思いからモバイルアプリ導入に踏み切りました。まだオンライン・オフラインの顧客データを統合した上での、対ゲスト向け施策はこれからの課題ですが、統合したからこそお客様の動きが見えてきている部分もあり、プランニングをするのに役立てています。

このような経緯を経て、EC売上を伸ばしていけるチーム編成が整ってきました。そして、次に課題となってきたのがリテールとオンラインの融合でした。そこでAppify(同時にVIP)の導入に進みました。

5. Appify×VIP導入による成果を教えてください

モバイルアプリのUX改善はもちろんありますが、先述した「店頭とECのポイント一元化」を、以前とは比較にならない程、安価で実現できたこと。また、お客様の購買の実績に基づいて抽選販売を行えるようになったこと。会員ランク別にモバイルアプリで見せたい・送りたい情報をセグメントできるようになったことなどでしょうか。同じ会社のサービスだからこそ、2つのサービスを連携して使用するメリットが大きく、これらのサービスを使えることがShopifyを採用する大きなメリットの一つであると感じます。

将来的にお客様向けに予定しているサービスにもこの機能は必須ですし、企業間でコミュニケーションも密に取っていますから、必要な機能はアップデートもして頂きやすいです。お陰様で、目の前のお客様が何を求めているのかを知り、それをどう実現するかをミーティングし、サービスに落とし込む流れが確立されています。

6. Shopifyを検討している皆さんへ一言

ECをやる以上、どのカートシステムにも当てはまりますが、運用にかかる時間やメンテナンスは事業を拡大していくにあたって必要です。Shopifyは売りが立ちやすいプラットフォームだと思いますので、モール等での出店をせずにブランディングをしっかりやっていきたい&価格競争に重きを置かない事業者様には特にオススメだと思います。

インタビューの中で終始語られていたのは「お客様のために」という言葉であり、常にお客様にとってより良いものを提供するという姿勢が、そのままサービスと施策に表れているようでした。取り組みの全てのスタートがそうあるべきであり、それを施策に落とした時に初めて「どのような機能があれば実現可能か」を検討するのが本来のあるべき姿なのでしょう。それを安価に、また少ない工数で実現してくれるのがShopifyや付随するアプリの機能です。CRMに迷われているご担当者様は、ぜひ一度、Shopify Japanまでご相談ください。

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