「主食で健康に必要なすべての栄養を摂取する」
東京発のスタートアップ企業ベースフード(BASE FOOD)は従来の常識を覆す商品を開発。「健康をあたりまえにする」というミッションを掲げ、2017年に世界初の完全食パスタのBASE PASTAを発売しました。完全食とは簡単に言うと「健康を維持するために必要な栄養をすべて含んだ食品」※のことです。
※厚生労働省が制定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に基づく。
完全食×食べる楽しみ
パスタだけで健康な身体を手に入れる。一見したら相反するような組み合わせを生み出したのがベースフードです。BASE PASTAは代表の橋本さんの「健康になるために必要な運動と睡眠と栄養のうち、栄養バランスを満たすのが難しかった」という自らに経験と思いがきっかけで開発されました。「栄養バランスを簡単にとれるようになるのが健康への一番の近道」と齋藤さんは語ります。
「サプリなどは世の中にたくさんありますけど、実際に何をどれくらい摂取すればいいのかわかっている人は少ないと思います。ほとんどの人は自分に足りていない栄養素が分かっていないし、分かっていたとしても忙しくて時間が取れず、結局食べたいものだけを食べて食生活が乱れて風邪をひいたりだとか...。自分たちの周りの優秀な人でも、バランスの良い食事をとるのは難しい、という状況をなんとかするために、簡単に栄養バランスがとれる完全栄養の主食の開発に取りかかりました」
完全食というジャンルで見ると、ドリンクや粉末タイプであれば世の中に存在しています。そんな中でベースフードは完全栄養の主食を提供することで、バランスの良い食事と「食べる楽しみ」の両立を目指しています。
「主食なので、一緒に食べる組み合わせは無限にあります。中でもパスタは、調理が簡単でありながら、和風系、トマト系、オイル系などなどソースを変えることで多くの味を楽しめるのが特徴です。自分のお気に入りの食べ方を探したり、家族や仲間と一緒に料理したりと、楽しみながら美味しく食べてもらうことで、完全栄養の主食を習慣化できると思っています」
ベースフード株式会社CMOの齋藤竜太さん
ベースフードのマーケティング術
BASE PASTAのはじまりはクラウドファンディング。最初に販売したAmazonで食品部門で1位を獲得するなど、当初から話題沸騰。その後も横浜DeNAベイスターズへの導入、ナチュラルローソンでの販売、日経トレンディヒット予測上位ランクインなど露出を高め、垂直立ち上げに成功しました。齋藤さんはBASE PASTAが広まった理由として「我々の考えに共感してくれた人の応援が大きいこと」と分析します。
「大企業のように大きな広告費を持たない私たちのようなスタートアップにとっての資産は『明確なミッション』と『それに共感してくれる人の熱量』だと思っています。ベースフードはクラウドファンディングを始めた当初から『主食をイノベーションし健康をあたりまえに』という明確なミッションを決めていて、企業のバリューにも『使命を伝える』ことをいれています。BASE PASTAがここまで広まってきたのは、自分たちがなぜこれをやっているのかをきちんと伝えることで、共感してくれたメディアの方々、一流のシェフやアスリートの方々、SNSなどで広めてくれるお客様たちから、想定以上の機会をもらってきたことが大きいです」
また、ベースフードのマーケティングでは、顧客との対話に力を入れています。「消費者に直接販売するD2Cモデルでは、顧客との距離も近く、商品だけでなくベースフードという会社を知ってもらうことが大切です。そのために様々な活動をしています」と齋藤さんは語ります。
「SNSで密にコミュニケーションしたり、お客様のレビューに一つずつ返信したり、定期購入者にインタビューしてニュースレターで紹介したり、お客様に感謝するイベントを開催したりと、BASE PASTAを提供している私たちやコアなユーザーの人たちの裏側を見てもらうことで、関わる人が『一緒に主食に革命を起こす仲間』になってほしいなと思っています」
また,独自のオウンドメディアの構築と運用にもリソースを割いて取り組んでいます。「ユーザーの方はリテラシーが高い人が多く、企業からの一方的な広告メッセージはあまり刺さらない人が多いんです。より自然に、ユーザーにとって役立つような形でベースフードと接点を持ってもらえるよう、健康や栄養についての課題解決をサポートするオウンドメディアをつくっています。設立してから5ヶ月ほどで月間20万PV以上アクセスを集めるようになり、重要な自社チャネルに成長しています。『完全食』という新しいカテゴリーを他の食分野と絡めて伝えることで、商品の認知を高めるだけでなく、食における『完全食』という分野を確立させていきたいです」と齋藤さんは説明します。
Shopifyの決め手は拡張性とUI
ベースフードがネットショップに選んだプラットフォームはShopify。実は2回もカートシステムを変えた後にShopifyを選択しました。Shopifyを選んだ理由として齋藤さんは「顧客体験の向上に必要な拡張性がある」と「UIの使いやすさ」と教えてくれました。
「決め手は拡張性がすごくあるというところですね。ほとんどの日本の会社のASPは他のアプリケーションと連携するという前提で作られていません。ですので、何か要望があってもできない事は開発しなければいけないとか、あきらめるしかないことが多いんですけれども、Shopifyは周りのアプリがどんどん進化しているので、常にECの世界の成功事例を試すことができるというのが一番の良いところだと思っています」
また、Shopifyの強みとしてマーケティングを挙げていただきました。「Shopifyは特にマーケティングの部分に強いと思っています。例えば、お問い合わせを一元管理してチャットやFAQで顧客サポートをするアプリや、効率的にレビューを集められるYotpo、メールマーケティングのアプリなど、各分野でイケているソフトウェアとAPI連携していることで、お客様に対して、質の高いサービスを提供することができます」
その中でも重要なアプリとしてレビューアプリを挙げています。「私たちにとってはお客様のレビューが肝になるのでYotpoは重要です。新しいコンセプトの商品だからこそ他の人がどのような感想を持っているのかを知ることはとても大事です。仕組みとしては購入に合わせてお客さんにレビューを促すメールが送られて、戻ってきたレビューがショップ上に反映されるようになっています。いただいたレビューに一件ずつ返信することで、顧客との対話が生まれたり、そのような機能を自社で開発せずに簡単に実装できたというのはShopifyだったからこそだと思っています」
「もうひとつの理由は、Shopifyのフォームや通知メールが洗練されていて、デフォルトのままでお客様にとってかなり使いやすいものになっているというところです。コンバージョン率に最も大きな影響を与えるカゴ落ち率も導入前後で15%以上改善しました」
さらに、Shopifyを選んだのは将来的な事業を見据えての理由もあったようです。「実は弊社は海外展開を早々にする予定なので,日本で作り込んだShopifyのシステムをそのまま海外で使いたいと思っています。将来を見据えて今のうちにShopifyで海外でも使えるようなシステムを作っておきたいというのもありました」
世界のインフラへ
海外展開?そうです。ベースフードの目標は国内だけに止まりません。齋藤さんは将来の野望についても語ってくれました。「今後、パスタだけに限らずに様々な主食を開発して、海外展開して栄養があまりとれていない国にも広めたいと思っています。将来的にはベースフードを健康のインフラにしたいと考えています。例えば水道というインフラがあるからきれいな水が飲めるように、栄養がとれた食事がいつでもどこでも手に入る環境を作り出すというのが、次の野望ですね」
そのストーリーもすべては「健康をあたりまえにする」というミッションから来ています。最初は突拍子も無いアイデアに見えても、表面的ではなく根本的なソリューションを考えたときに最も直接的な答えがベースパスタなのです。「世の中がまだ半信半疑でも、自分たちがやっていることに圧倒的に自信をもつことが大事」と齋藤さんは語ります。
「難しい挑戦であればあるほど、周りは応援してくれるはず。使命を伝えながら、一人一人応援してくれる仲間を増やしてくことで、今の状況をガラッと変えることができるのではないかと思いますね」
世の中の常識を覆し続けるベースフード。彼らの挑戦はまだ始まったばかりです。
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