たんぽぽの綿毛、アメシスト、ウニの骨格など、自然界に存在する美しいモノたち。京都を拠点に店舗を構えるウサギノネドコは、それらをアクリルに封入し、鑑賞者が今まで知らなかった自然の造形の美しさや、神秘を伝えています。
今回はウサギノネドコの代表兼クリエイティブディレクターである吉村さんに、ウサギノネドコの顔とも言えるプロダクトであるSola cubeの誕生のきっかけや、今後挑戦したいことを伺いました。
苍井空多维数据集誕生のきっかけ
元々は広告代理店でコピーライターをしていた吉村さん。自分自身でプロダクトを作りたいと思うようになり、Sola cubeのアイデアを得たのは2006年にまで遡ります。
「モミジバフウという植物の木の実があるのですが、その造形を見て、美しさに引き込まれた瞬間がありました。その美しさをプロダクトを通して伝えられないか、と思ったのが商品開発のきっかけです。モミジバフウは街路樹などで使われているほどポピュラーで、その木の実は色々な場所に落ちています。でも身近すぎるからこそ、それをじっくりと観察する機会はなかなかないように思います。アクリルに封入することで、身近にある自然の美しさをショーアップして伝えられるんじゃないかという思いがありました」
「現在お店を構える京町家は、宮大工だった曽祖父が昭和初期に建てました。もともとは曽祖父が弟子のために建てた建物なのですが、自分のルーツを探るという意味でもここでの開業を決意しました」
現在のウサギノネドコは、Sola cubeなどを販売する「ミセ」だけでなく、1日1組限定が宿泊できる「ヤド」や、鉱物標本や植物標本などが陳列する「カフェ」も併設。まるで博物館のような古民家の中で様々な体験を楽しめる場所として人気です。
オンラインストアと展示会
ウサギノネドコは実店舗を開業後、オンラインストアも展開。「より多くの人に商品を伝えたい」という思いでオンラインストアをオープンしました。
現在、Shopifyで作成した海外向けのストアは多くの注文を集めています。しかし、ストアをオープンした直後は売上が伸びず、スロースタートだったとのとのこと。海外での展示会などに積極的に赴き、商品の認知が高まるに連れて売上も増えていったそうです。
「ニューヨークでNY Nowと言う展示会に3年連続で出展しています。またフランスのパリで行われているMaison et Objet(メゾン・エ・オブジェ)という展示会へも、今年で2回目の出展を果たしました。そうした海外での展示会に出すことでバイヤーの方の目に留まり、Sola cubeの取り扱い店舗が少しずつ広がっています。海外での取り扱い店舗が増えるに従い、オンラインストアでの売り上げも少しずつ増えていきました」
現在はイギリスのTHE CONRAN SHOPや、ドイツのVitra Design Museum Shopなど世界中のお客様が訪れる場所でも商品を販売しています。しかし、そういった成功の裏には海外の展示会に継続して出展するといった地道な努力が隠れています。
起業家は大変だけどすばらしい
「起業してから大変じゃないことは逆にないですよね(笑)」
起業家になったことについて吉村さんはこう語ります。
「会社のステージによって異なる課題に直面するとは思っています。今は、提供する自分たちが納得し、お客様にも納得いただけるクオリティの商品を、安定的に作り続けることの難しさを感じています。自然物をプロダクトにしているので、天候不良や虫食いなど予期せぬことで素材が足りないということが起きたりもしますし、一点一点造形が異なるモノをある程度均質化し提供し続けることは難しいなと思っています」
一方で、起業家になってよかったことについては「自分自身のやりたいことを貫ける」といいます。
「ウサギノネドコの商品は決して万人に受け入れてもらえるものとは思っていません。100人に1人くらいに初めて共感いただけるニッチなものだと思います。共感いただける方がどんなに少なくても、それを貫くことができているのは、自らリスクを背負う起業を選んだからだとは思います」
挑戦
吉村さんは、今後、挑戦したいこととして「新しい自然の美を見つけること」と「多くの人にそれを伝えること」と教えてくれました。
「自然の造形美を伝えるということがウサギノネドコのコンセプトなので、まだ見ぬ自然の造形美を探求・発見し、それを伝えるということが、今後もチャレンジし続けたい一番の柱になるとは思いますね」
「Shopifyでオンラインストアを始めてから海外の方からの反応が格段に増えました。世界に対して窓が開かれているなと感じています。これからも世界中の人に自然の造形美を届けたいとは思っています」
ウサギノネドコ ストア情報
ミセ
営業時間:11:00 ~ 18:30
定休日:木曜日
電話:075-366-8933
カフェ
営業時間:11:30 〜 20:00(ラストオーダー19:00)
定休日:木曜日 (年末年始の臨時休業はお知らせをご覧ください)
席数:30席
電話:075-366-6668
ヤド
定休日:年中無休
1日1組限定
電話:075-366-8933