人生そしてビジネスにおいて,競争は避けられません。新しいビジネスを展開するとき,また既存のビジネスの戦略を立てる際にも、競争に脅かされることがあり、それは価格設定からプロモーションまであらゆる面に影響するでしょう。
競合他社の多い市場で展開するビジネスは、より競争の緩やかな市場で展開する場合とは、自然と異なってくるでしょう。
今回、皆さまに紹介するのは北米のお話。しかし、競争の激しい市場が存在するのは世界中共通の話です。競争的な市場でどのように顧客を見つけたらよいか、またどのように素敵な商品を生み出すのかを見ていきましょう。
質問:
同種の商品を扱っている競合他社が他に10社ほどある場合、どのようにビジネスを構築し、顧客を見つけたらよいのでしょう?競争の激しい市場であっても、抜きん出ることは可能ですか?
答え:
ビジネスを始めるにあたって、顧客を見つけることは重要です。SNSのマーケティングからSEO、ポップアップによる販売まで様々な方法がありますが、一体どの方法が最も効果的なのかは、究極的にはあなたの商品、お客様、そしてあなた自身にかかっていると言えます。
お客様にとって数多くの選択肢がある時に、どうすれば商品を納得して選んでもらえるでしょうか。
いつか、とてもユニークで競争相手などいなそうな商品を思いつくという夢を思い描くかもしれませんが、最も革新的な商品ですら、他の商品が市場に参入すれば、いずれ競争に直面することになるでしょう。競争相手のいない完璧な商品を持つということは実際にはありません。しかし、情熱的に取り組めるアイデアがあれば、競争相手の多い市場でも成功する方法はあります!
ここでは実例をご紹介しましょう。Shopifyのマーチャントサクセスマネージャーであり、ラグジュアリーなバス用品ストアBathoriumの創設者でもあるグレゴリー・マクドナルド氏は、競争の激しいバスボム市場を信頼し、素晴らしい商品を改良しつつ送り出すことで、成功に繋がる路線を築けたと語っています。
競合他社の製品をリサーチしましょう
Bathoriumは、イタリアでの素晴らしい入浴体験から始まりました。グレゴリーがAirbnbに滞在していたときのことです。ホストのバスルームの棚に備えられていたバス用品の品揃えが目を引きました。そこで、あらゆるバスオイル、バスソルトなどの豪華な品揃え一式によって、比類ない経験をしたのです。
それから、同様の素晴らしい入浴体験を北米にもたらそうと興奮しつつ帰国しましたが、彼自身、市場が飽和状態であることを知っていました。
けれども、そこで落胆する代わりに、競争に打ち勝つためのリサーチへと突き進みました。
「私は、ありとあらゆるバス用品に何百ドルも使い、全ての入浴剤を試しました。どの商品も塩とオイルでできていて、溶解せずにバスタブの底に残るだけでした。感激するような要素はなくて、とにかくあらゆる商品を使ってみました。けれども、バスビーズ、パウダー、バスボムのいずれも、イタリアで経験したような魅惑的な体験を与えてはくれませんでした」
つまり、イタリアでの体験を再現できる商品を作れば、既に確立されている多くの競合相手に立ち向かうことになったとしても、北米市場で傑出した存在になれると思った瞬間でもありました。
競争における優位性を獲得しましょう
競合他社の商品を使うことで、その良さだけでなく、こうだったらいいのになどというギャップを体験し、あなたの商品がどのように改善できるのかを理解するのに役立ちます。それらの重要な情報を手に入れたら、市場がどれほど競争的でも、商品を繰り返しテストする際に活用することができるでしょう。
それこそ、グレゴリーが突出した商品を生み出すために次にしたことでした。
「私は入浴が大好きなので、自分の好きなものとそうでないものがはっきり分かっています。私たちが商品をテストしていたときには、自分がBathoriumを使うとしたら、広範囲な好みのどの辺りになるのだろうと問いかけていました」
商品を生み出すプロセスでは、多くの試行錯誤が、とりわけ配合を構築する際にありました。
「私たちのバスボムは、オージーボムと呼ばれていて、オーストラリアの赤土が入っていました。これは素晴らしい粘土で、肌には最高です。適量がわからなったので、試作品のレシピでは4個のバスボムに対して半カップを使用していました」
「商品テストの際には、フォーミュラシートを使って、匂い、見た目などすべての要素を記入していきました。オージーボムは、土の美しく深い赤色が素晴らしく、まずバスタブを排水し、別のバッチを作るためにキッチンに戻りました。次のバッチを作っている間、浴槽を満たして再びテストすると、水は赤く血のような色になっていました。まるで殺人のあった浴槽のようでした」
商品テストのプロセスにより、グレゴリーは意図しない副作用が出ることのないよう確認し、赤い粘土の量を減らすことができましたが、市場にもたらしたいイタリアでの入浴体験に基づく数式を特定するのにも役立ちました。
「このような商品テストは、事業を始めるにあたって大きく有利な点となりました。商品に大きな自信を持ち、ショーケースに誇りを持っていたからです」
自社の商品に競争力を生み出す柔軟性がないといった場合でも、グレゴリーのように市場の競争分析を行い、USP(あなたの会社を競合他社よりも良くするために必要なもの)を見つけ、メッセージングや小売流通、ターゲットユーザーなどの隙間を見つけることはできるでしょう。
お客様に手に取ってもらいましょう
これを読んでいるあなたには既に商品があり、市場の隙間を埋められると確信していることでしょう。今こそ、お客様の手に取ってもらう時です。市場にあるどの商品よりも自分の商品は優れているとの自信があるとは思いますが、新しくビジネスを始めるときには、ただ伝えるだけでなく、商品を見せて手に取ってもらわなければなりません。
「既に市場にある商品と異なっている場合に、どのように人々にそれを伝えるかがチャレンジとなるでしょう。競合のブランドやその他のバス製品を利用している人々と、このメッセージをどのように共有したらよいのでしょう。私たちは、EtsyからPinterest、大型店から小売店において、あらゆるものと競合しています」
「最初の3年間、そして今でも私たちは積極的に商品をプレゼントしています。常にイベントをスポンサーして、「ぜひお試しください」と無料で商品を配り、素晴らしいリピーター率をあげています。私たちは一度でもBathoriumの商品を使ってもらうと、大好きになり再び戻ってくると確信しています」
この戦略は、市場で突出できる商品を持っていると確信している場合に有効です。競合へのリサーチや商品テストにどれだけ時間を投資したが基礎となります。一旦ここに到達すれば、その商品力に頼りつつ、新しい顧客を得る機会を見つけ、ブランドの忠実なファンを獲得することに集中できるでしょう。
競争を利用して商品の魅力を際立たせましょう!
競争の激しい市場へ第一歩を踏み出す時、目に映る全ての洗練されたブランドが脅威となるかもしれません。グレゴリーは、あなたの最初のステップを、既に先行している商品の100番目のステップと決して比べることのないようにと言います。
「私は起業家たちとよく話をするのですが、みな現在のBathoriumの放送を見て、『美しい!でも、完璧な包装をするのに2万ドルも持っていないので始められない』と言うのです。しかし、私たちの最初の包装は、シュリンク紙と普通のオフィス用プリンターで印刷したラベルでした。それが私たちの最初のステップでした」
「小売店への売り込みを急ぐ必要はありません。自分の商品を丁寧な言葉によって伝え、ブランドを洗練させ、素晴らしい商品を提供してください。そうすれば、他のことはついてきます。商品にひたすら自信を持ってください」
競合他社の商品を十分に理解し、市場における隙間を埋めるために商品を洗練させようと十分な時間を費やしたのであれば、すぐに販売を開始できます。他のことはすべて後からついてくるでしょう!