本記事では確定申告のスケジュールを解説します。ECなどのネットショップで一定の売上額を上げている人は必ず実施しなければなりません。あなたはその対象でしょうか。ここでは、確定申告をしなければならない対象者も解説します。初めて確定申告をする人にも読んでいただけます。
本記事では「確定申告」を所得税を納付するための計算と手続き、と定義します。
目次
最新の確定申告スケジュール
ここで紹介するスケジュールは、2022年に実施する、2021年の収支を確定し申告するためのスケジュールです。国税庁などが発行している文書にある「令和3年分確定申告」を指しています。
念のため追記すると、2021年は令和3年、2022年は令和4年です。
所得税および復興特別所得税の確定申告受付スケジュール
所得税では,毎年1月1日から12月31日までに生じた所得とそれに対する税額を”翌年の2月16日から3月15日までに申告して納税する」と定めています。よって、令和3年分(2021年分)の所得税の申告、納税の期限は令和4年(2022年)3月15日(火)です。
消費税および地方消費税の申告受付スケジュール
消費税および地方消費税申告は令和4年3月31日(木)までです。
贈与税の申告受付スケジュール
贈与税の申告は令和4年2月1日(火)から令和4年3月15日(火)までです。
確定申告の基礎知識
確定申告とは
確定申告とは所得税を納付するための手続きです。
最新のスケジュールでは、2021年1月1日〜2021年12月31日の収支を計算して、2022年の確定申告実施期間に申告し、2022年に納税を実施します。
本記事では、2022年に実施する確定申告、つまり令和3年の収支を計算して2022年に申請を実施するためのスケジュールを解説します。
2021年は令和3年
国税庁は西暦ではなく和暦で情報を更新します。2021年は令和3年、2022年は令和4年であることを覚えておきましょう。つまり、令和4年(2022年)の指定期間に実施する確定申告は、令和3年の収支を確定させ、令和4年に税金を振り込むための作業です。
1年分の収支は、その1年が過ぎ去らないと計算できません。過ぎ去った前年の収支を計算し、翌年に税金を支払う、その計算をするのが確定申告です。
納税方法
税金は国税と地方税の2種類があります。国税は主に、所得税と消費税です。地方税は主に、住民税です。挙げた例は主なもので、国税・地方税共に他にも各種税金があります。
確定申告をもとにまず支払うのは国税である所得税です。確定申告は毎年3月15日までの期限であり、所得税の支払い期限も同日です。地方税である所得税は、毎年約5〜6月に市区町村からの通知と納付書が送られてきます。
確定申告の対象者
確定申告が必要な人
確定申告が必要な人、つまり、確定申告をしなければならない人はどのような人でしょうか。国税庁は「確定申告が必要な方」としてこのようなページを開設しています(参考)。
最も安全なのは
- このページ(参考)をもとに自分が該当するかを確認する
- 自分の管轄の税務署の相談員の方に相談する
- 税理士、会計、行政書士が在籍しており確定申告相談を受けてくれる事務所に相談する
このいずれかの方法です。
この記事を読んで手っ取り早く「自分は確定申告が必要なのか」を知りたい人は、以下をご覧ください。
- 給与が2,000万円を超える
- 副業の所得が年20万円を超える
- 2カ所以上から給与収入があり、年末調整を行わない方の収入が年20万円を超える
- 個人事業主で、所得が年48万円以上を超える
- 不動産収入での所得がある
- 株取引での所得がある
- FX取引における実現損益がある
- 一時所得がある
- 退職金の支払を受けるときまでに、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に提出していない
- 源泉徴収の対象となる公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下だが、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える
- 納税をすることにより事業の継続や生活が困難となるときや、災害で財産を損失したなどの特定の事情があり、所得税の猶予を受ける(受けたい)
以上に該当する方は、確定申告が必要です。
確定申告が不要な人
以下に該当する方は、確定申告は不要です。
- 給与所得者
- 給与所得者であり、副業の所得が年20万円を超えない
- 2カ所以上から給与収入があり、年末調整を行わない方の収入が年20万円を超えない
- 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である
確定申告をすると税金が戻る可能性がある人
以下に該当する方は、確定申告をすることにより節税ができる可能性があります。確定申告をしなければならないわけではありませんが、確定申告をするメリットがあるため、ぜひ実施をご検討ください。
確定申告・納税の遅れや前倒しについて
ここでは確定申告と納税の、3つのパターンを解説します。まずは確定申告と納税が遅れる場合(期限が過ぎた場合)、次に前倒して申告と納税ができる場合、そして、申告内容に誤りがある場合です。
期限が過ぎた場合
確定申告の期限が納税期限です。確定申告を実施しなければならない期限、納税納付期限から納税や申告が遅れると延滞税がかかります。延滞税の金額は、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて計算することになります。
納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間については,年“7.3%”と“延滞税特例基準割合+ 1%”の、いずれか低い割合となります。納期限の翌日から2カ月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。
期限よりも前倒して申告を実施できる場合
日本の国税庁は公式Webサイト上に確定申告特集ページを作成しています。1月初旬〜上旬には、確定申告書類を作成できる「確定申告書等作成コーナー」が開設されます。例えば令和3年分の確定申告書等作成コーナーは、令和4年1月4日に公開されました。そのコーナーを利用して、申告準備を済ませることができます。
申告内容に誤りがある場合
確定申告の内容に誤りがあるのは2パターン、期限内に確定申告を完了させたが本来の税額より少なく追加納付が必要な場合と、期限内に確定申告を完了させたが本来の税額より多く税金を納め過ぎた場合です。
前者の、期限内に完了したけれど追加納付が必要な場合は、無申告加算税が課されます。追加納付額の15%を上乗せして納付しなければなりません。追加納付額が50万円を超える場合は20%となります。
後者の、期限内に完了したけれど納付金額が多過ぎた場合は、所轄の税務署にその旨を申し出ます。その後税務署で申告内容への検討が行われ、減額更正として税金を還付または繰越損失の金額を増加させる対応をしてくれます。納付金額が多過ぎてそのことを申し出ることを国税庁の公式Webサイトでは「更正の請求」と表現していますが、この更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内とされています。
どちらの場合でも、気づいたらすぐに対処しましょう。前者では、故意の申告書未提出であり悪質だと判断された場合は犯罪として扱われ、懲役もしくは罰金が課せられます。
確定申告の提出方法
確定申告の提出方法には主に3種類あります。
電子申告システム「e-Tax」
国税庁の電子申告・納税システム「e-Tax」はパソコンとスマートフォンで利用できます。
普段利用している会計ソフトがあれば、会計ソフトで作成したデータを「e-Tax」に取り込んで提出することもできます。会計ソフトのFAQなどを参考にしながら手続きを進めてください。
「e-Tax」の利用可能時間帯は、メンテナンスの都合などもあるため日によって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。ページ下部のカレンダーには日別の利用可能時間帯が明記されています。
「e-Tax」の送信期限は明記されていません。例えば令和4年3月15日の利用可能時間帯は8:30〜24:00です。24:00まで送信ができることがわかります。しかし混雑やメンテナンススケジュールが前後する可能性もあるため、期限間近の時間帯に送信するのではなく、余裕を持って送信を完了させたいものです。
税務署への持ち込み
作成した書類を税務署に持ち込む方法です。
税務署には時間外収受箱があります。万が一「e-Tax」で期限日の24:00送信に間に合わなかった場合、翌日の開庁時間までの深夜〜早朝の時間帯に所轄税務署に書類を持ち込み、時間外収受箱に投函することで提出を間に合わせることも可能です。
税務署への郵送
作成した書類を税務署宛に郵送する場合、「郵便物」(第一種郵便物)または「信書便物」として送付します。必ずこのいずれかを利用するよう、国税庁が指定しています。
郵送の場合、通信日付印により表示された日が提出日とみなされます。それ以外の場合には税務署に到達した日が提出日となります。
確定申告書類は「信書」に該当しますが、信書は郵便法第四条第二項に規定されています。2022年1月現在、信書を送ることができる手段は限定されており、「日本郵便・宅配関連サービス・物流関連サービスならどの手段やどの事業者を利用してもいい」わけではありません。
日本郵便と佐川急便は信書の送付が可能ですが、ヤマト運輸では信書を送ることができません。日本郵便も、一部サービスでは信書を送ることができません。郵送を検討している方はご注意ください。
確定申告の準備
確定申告書Aもしくは確定申告書B
確定申告書Aもしくは確定申告書Bは、両方用意する必要はありません。
大別すると、確定申告書Aは指定の人や限定された人が利用できる申告書で、比較的書きやすく簡単な申告書です。確定申告書Bは確定申告を実施する全員が利用できる申告書で、確定申告書Aよりも複雑です。
確定申告書Aを使うのは、会社員や年金受給者が医療費控除やふるさと納税を実施した場合などです。
確定申告書Bを使うのは、白色申告や青色申告をする事業主や個人事業主、会社員が副業で事業をしている場合などです。
源泉徴収票
給与所得や公的年金の源泉徴収票が必要です。
必要書類
各種源泉徴収票、医療費控除の明細書・医療費通知(原本)、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書等などの必要書類を必ず用意します。
青色申告決算書
青色申告を行う人は提出が必要な書類です。会計ソフトを使うと、画面に従って入力すると簡単に作成することができます。
マイナンバーカード
税務署に確定申告書類作成をサポートしてもらい作成する場合は、マイナンバーカードを持参しましょう。
Shopifyのネットショップの売上計上にはアプリが便利です。詳しくはfreeeのサイトをご覧ください。
確定申告のよくある質問
Q1: 確定申告とは
税金には国税や地方税があり、国税の中にも所得税や消費税があり、それぞれ届け出る手続きが必要です。
Q2: 2022年の確定申告はいつまで?
消費税の確定申告は令和4年3月31日(木)までですが、消費税の確定申告が必要なのは売上高が1,000万円を超える場合です。
Q3: 会社員です。周囲が確定申告をすると言っています。自分もしたほうがいい?
しかし、会社員でも副業をしており副業収入が20万円を超える、仕事以外からの収入が各種あるような場合は確定申告をしなければいけません。またふるさと納税をした、自分もしくは扶養家族の医療費が10万円を超えた、などの場合は確定申告をすると所得税が還付されることがあるため、ぜひ確定申告をしてくださいね。
Q4: 自分の事業を始めましたが、確定申告は初めてで、全くわからない。まずは何をどうしたらいい?
使いやすい会計ソフトを出している企業が、確定申告に関する情報発信を行なっており、各社のブログなどで記事を読むこともでき、それらを参考にすることもできます。しかし確定申告を検討していらっしゃる個人事業主、特に自分のECサイトなどでビジネスを展開し、その拡大も考えていらっしゃるような方は、確定申告関連の書籍を手元に1〜2冊持ち、ふせんを貼ったりマーカーで色付けするなどしてすぐ見返せるようにしておくと、気になることが起きた時などにすぐ読み返すことができます。