アフターコロナのいま、EC事業はどのような展開を迎えているのでしょうか。すでにEC事業に参入している会社も検討中の会社も、改めてEC事業とは何か、トレンドや今後の展望について学びましょう。
目次
- EC事業とは
- EC市場の事業者数とトレンド
- EC事業のメリット
- EC事業のデメリット
- EC事業を始める前に考慮すべきこと
- 自社ECサイト立ち上げ vs.ECモールへの出店
- まとめ
- EC事業についてよくある質問
EC事業とは
EC事業とは、インターネットを介して物品やサービスを提供する事業のことです。ECとはElectronic Commerceの略でeコマース(イーコマース)とも呼ばれ、日本語では電子商取引と言います。スマートフォンの普及によって、EC事業はますます身近なものになってきています。
EC市場の事業者数とトレンド
1990年代後半から着実に成長してきている国内のEC市場ですが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会状況が後押しとなり、物販系を中心にここ数年でさらに大きく拡大しています。
パンデミックが落ち着きをみせたことで成長は緩やかになるものの、今後も市場は拡大していくと予想されます。
世界のEC市場はさらに成長率が高く、日本以上に規模の拡大が見込まれます。越境ECを展開することで世界中の潜在顧客をターゲットにすることができるので、すでに国内でEC事業を行っている企業も参入を検討しても良いかもしれません。
ただし、商習慣や法律などが国や地域によって異なるため、越境EC事業参入の際には事前の確認が重要です。消費者の行動パターンや好みなども違ってきますので、そのあたりの市場リサーチも必要でしょう。
拡大を続けるEC市場で、そのトレンドも変化を続けています。
SNSとの連携
ECビジネスと連携できるSNSが急増しています。例えば、Instagramはショッピング機能を実装して写真と商品ページをリンクさせることができます。
目を引く商品写真や使用イメージがタイムラインに流れてきたときに、少ないアクションで購買ページへアクセスすることができるため、コンバージョンへつながりやすくなります。
決済方法の多様化
売り上げに直結する要素のひとつである決済方法は、利用者のニーズにあったものを用意することが大切ですが、近年その種類が多様化しています。
これまで主流だった銀行振り込み,クレジットカード決済,代引きなどに加え,亚马逊支付や应用le Payなど外部IDを利用した決済などの利用者も増えてきています。
多様化する決済方法に対応したECサイトにすることで、購入を途中でやめてしまうカゴ落ちを減らすことができます。
EC事業のメリット
EC事業はコマース事業(実店舗)にはないメリットがたくさんあります。
実店舗が不要で販路を拡大できる
eコマース事業では実店舗は必要ないので、店舗の賃料や光熱費などの運営費を抑えることができます。また、場所に縛られずに国内から海外までターゲットにできます。
年中無休で営業できる
カートや決済システムを搭載したeコマースは24時間年中無休お店をあけておくことができます。
ブランディングしやすい
周辺環境や物件の制約など外部からの影響を受けにくいeコマースなら、自社や製品の世界観をより自由に表現できます。
EC事業であるがゆえのデメリットもいくつかあります。しかし、デメリットを逆手にとってお店のオリジナリティを高めることも可能です。
EC事業のデメリット
実際に商品を見てもらえない
物販などの場合、商品を実際に手にとってもらえないため、質感や手触り、色味など伝わりにくい部分があります。
商品写真のクオリティを上げ、できるだけ詳細に伝える、商品説明文を丁寧に書くなどの工夫でカバーすることができます。
加えて、疑問点や不安点をなくせるように問い合わせをしやすくすることで、信頼度やエンゲージメントの獲得にもつながります。
非対面でのコミュニケーション方法を確立する必要がある
eコマースに限らず、顧客とのコミュニケーションには難しさもつきものですが、対面で接客できないeコマースではなおさらです。
しかし、難しさのある部分だからこそ、電話やメールの応対、出荷時のケアや購入後のフォローなど丁寧な対応をすることでリピートやファンの獲得につなげることもできます。
競合他社が多い
手軽に始められるeコマースは競合他社も多く、そのぶん差別化や集客のハードルも高くなります。顧客が価格をネット上で簡単に比較することができるため、価格競争も起こりやすくなります。
他社との差別化のためにはブランディングや商品力を上げるほかに、SEO対策やWebマーケティングも行って自社の魅力を効果的に伝え「このお店で買いたい」と思ってもらうことが必要になります。
EC事業を始める前に考慮すべきこと
簡単にはじめられるといっても、ECビジネス立ち上げは事前にしっかりと準備することが大切です。以下のようなことを踏まえて計画しましょう。
- 取り扱う商品ジャンルを決める
- 市場調査・競合分析
- 事業計画を立てる
- 販売チャネルを決める
- 集客対策を行う
また、近年個人のインターネット利用端末はパソコンからスマートフォンへと変化しており、ECサイトを制作する際にはスマートフォンからの閲覧を意識したサイト構築が重要となります。
自社ECサイト立ち上げ vs.ECモールへの出店
自社ECサイトを立ち上げるのとECモールへ出店するのにはそれぞれメリットとデメリットがあり、それぞれを比較して、自社に合った販売チャネルを選ぶことが大切です。
ECモールへの出店は、集客力の高さが最大のメリットで、商品が購入されると売上ランキングが上がってモール内での露出が増えるため、事業をはじめたばかりや競合商品が多い場合に特に有効です。
一方、出店料や手数料がかかるほか、消費者からは数多くある店舗のひとつという認識になりがちです。
自社サイトの立ち上げは、ECモールへの出店に比べオリジナリティを出しやすく、購入履歴などの顧客情報をもとにDMやメルマガを送ることで商品の露出を増やすことができるため、リピート客や優良顧客の育成ができるというメリットがあります。
一方、デメリットとしては、認知や集客に時間がかかりやすく、サイト制作費やセキュリティ面も考慮しなくてはならないという点が挙げられます。
販売チャネルを決めるときは、自社の商材やビジネス展開にあったものを選ぶことが大切です。どちらかひとつではなく、自社サイトとECモールの両方を同時に運営するという選択肢もあります。その場合、運営コストはかかりますが、それぞれのデメリットをカバーしあい集客力を強化することができるでしょう。
まとめ
EC事業は物理的制約が少なく自由度が高いのが魅力です。個人事業も会社も関係なく越境EC事業にチャレンジすることもできます。
市場が着実に拡大し、次々と新しいトレンドがうまれるEC事業。競争が激化するいま、すでに参入している企業もこれからの企業も、ECビジネスの動向を意識してECサイト運営していくことが大切です。
EC事業についてよくある質問
EC市場の事業者数は?
経済産業省が行う電子商取引に関する市場調査で、2008年時点の対象事業者数は5万6,000件ほどでした。そのときのEC市場規模はBtoCだけで6.1兆円。令和3年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、20.7兆円と3倍以上に増加していることから、EC事業者数も激増していることが考えられます。