自分でビジネスを始めることを考えているなら、市場で需要の高い商品を収益化する方法などアイデアのブレストはすでに終えていることでしょう。
しかし多くの起業家は、実際に商品を調達する段階になると、頭を抱えることになります。自分で何かを製造するにしても、卸売から購入するにしても、良い商品を見つけることは簡単ではありません。
今回の記事では、事業を開始する際に使えるサプライヤーを見つける方法を、基礎から見ていきます。どうやって探すのが良いか、そしてネットショップの商品を開発するにあたって、どのようにサプライヤーにアプローチして何を質問すればいいのかを確認していきましょう。
最適なメーカーを見つけよう
(参考動画:英語)
メーカーとは?
メーカーは、原材料を使って完成された商品を生産する企業のことです。彼らはその商品を消費者や卸売業者、流通業者、リテーラー、さらにはもっと複雑な商品を作成するほかのメーカーに向けて販売します。
メーカーは通常は1種類の商品を扱います。たとえば、あなたはガラス瓶やジャーのためにガラスメーカーと取引をします。そして箱のために別の事業者、さらにプラスチックや自然素材のためにまた別のメーカーと取引することが考えられます。
リテーラーはたいてい複数のメーカーと同時に取引をおこない、ストア在庫を作成します。
メーカーはサプライヤーとは違う?
サプライヤーとメーカーはほぼ同義です。今回の記事の目的から、ここでサプライヤーという場合には商品や在庫の供給能力がある人々を指します。そこにはメーカー、卸売業者、流通業者が含まれます。
Googleで検索すれば大量の役に立つリソースが見つかります。ただ、始める前に知っておくべきことと、決めておくべきことがあります。
まず、どんなタイプのサプライヤーを探すのかを明らかにしておくべきです。検索に使う用語を選ぶ際にもこれが役立ちます。作業を始めるにあたって、ネットショップのビジネスモデルに関する記事もご一読ください。いくつかのサプライヤーのオプションがありますが、一般的なオプションは以下になります。
- あなた独自の商品アイデアをプロデュースできるメーカー
- 既存のブランド物や商品を購入するサプライヤー(同時にメーカーの場合あり)、卸売業者、流通業者
- 既存のブランド物や商品の供給と受注処理をおこなうドロップシッパー
国内と海外のサプライヤーの違い
製造または卸売を計画している場合、サプライヤーを探す際に国内か海外かを決める必要があります。海外というのは、国外のすべてのロケーションのことを指しています。
国内と海外、合わせて2つのメーカーを確保するのがおすすめです。ローカルのメーカーはバックアップになります。海外からの仕入れが遅れたり不正確だったりした場合、ローカルサプライヤーに頼ることができます。高額になることが多いですが、商品を確保してお客さまをハッピーにすることは、海外からの入荷を待たせるよりは良い選択です。
海外からの調達だと安価になりやすいです。とくにアジア諸国の場合、たとえば中国、インド、台湾などは人件費が低いため安くなります。しかし、事前投資額やユニット単位のコストのほかに、もっと考慮すべきことがあります。
国内業者と海外業者それぞれのメリットとデメリットを検討しましょう。
国内の調達
メリット
- 製造クオリティと労働基準の高さ
- 言語障壁がないスムーズなコミュニケーション
- 国産というマーケティングアピール力
- 評判の良いメーカーの検証が容易
- 配送時間の速さ
- 知的財産保護の手厚さ
- より良い決済セキュリティと償還請求
デメリット
- 製造コストが高い
- 商品の選択肢の幅が狭い
海外の調達
メリット
- 安価な労働コスト
- 幅広い商品選択肢
- Alibabaのようなワンストップサービスによるサプライヤー管理の容易さ
デメリット
- お客さま視点から見た場合の品質の低さ
- (一般的に)製造・労働基準が低い
- 知的財産の保護が弱い
- 言語、コミュニケーション、タイムゾーンの障壁による管理のむずかしさ
- 製造レベルの検証や現地訪問が困難または高額となる
- 配送に時間がかかる
- ビジネス習慣についての文化的な差異
- 商品輸入と税関の手続き
- 決済セキュリティと償還請求の甘さ
海外のメーカーやサプライヤーと提携するなら、製造マネージャーを雇うことをおすすめします。この請負業者はメーカーの近くに居住していて、パートナー相手の交渉、注文、管理をおこないます。また、あなたの会社と運送会社の間にも立ってくれます。彼らが海外サプライチェーンのハブになると考えてください。
何か問題が起こったら、このマネージャーが直接メーカーと交渉して解決します。マネージャーは現地の言語を話せるので、コミュニケーションが円滑になって製造工程もスムーズになります。
商品を製造する方法
自社商品に適したメーカーを見つけることは簡単ではないですが、商品を現実化するには必須です。次の6つのステップに従い、あなたのビジネスに最適なメーカーとサプライヤーを見つけましょう。
リサーチ
成功のためには商品に最適なメーカーが欠かせません。メーカーが商品のコスト、品質、パッケージ、配送を支えます。完璧な相手を見つける方法は以下のとおりです。
Alibaba
Alibabaは中国のメーカーとあなたをつなげます。既存商品を見つけるための一般的なマーケットプレイスですが、カスタム商品を作成するためにメーカーを見つけることもできるのです。シンプルに求める商品を検索し、多彩なサプライヤーとメーカーを閲覧できます。
Alibabaで安全に購入することは簡単です。適正価格でベストな商品を手にする前に、メーカーを精査することができます。メーカーをAlibabaで探すときは、業者が下記の認定を受けていることを確認してください。
- ゴールドサプライヤー:Alibabaメンバーシップの料金を支払うことを意味します。
- 認証済:第三者機関かAlibabaが現地の工場を視察しています。
- 取引保証:注文の支払いから配送までを保護する無料サービスです。
フィルターをかけて検索することもできます。あなたのビジネスバリューと合致する業者を探すために、認証規格(就労環境評価のSA8000など)でソートすることなどが可能です。
Alibabaで考慮すべきことがもう1つあります。相手が貿易会社でないことを確かめてください。貿易会社は仲介をする企業なので、あなたの商品をプロデュースすることはできません。
ディレクトリ
メーカーをリサーチするのに使えるもう1つの場所が、無料のオンラインディレクトリです。これらのディレクトリには、何百・何千というメーカーのプロフィールが載っています。以下に、もっともポピュラーなものをリストアップしました。
- ThomasNet
- Maker’s Row
- MFG
- Kompass
- National Association of Manufacturers member list
- Oberlo
- 阿里巴巴全球速卖通
- Indiamart
- Sourcify
わたしたちは、Googleで楽に検索して、探しているものを最初の数件の結果から得ることに慣れています。しかし、多くのサプライヤーはインターネットやGoogleのアルゴリズムの変化に追いついていません。彼らのウェブサイトは古く、情報が乏しく、検索エンジンに最適化されていないことがほとんどです。
では、どうやったらGoogleでサプライヤーを見つけられるのでしょうか? おそらくあなたは初めて、Google検索結果の2ページ目以降を探すことになるでしょう。それに,いろいろな検索ワードを試すはずです。たとえば”卸売”「卸売会社」「流通業者」などは入れ替えて使われるので、すべてを検索する必要があります。
Google検索ショートカット(英語)に慣れれば、検索結果の向上に役立ちます。
紹介
最適な候補は紹介から得られることもあります。あなたの専門家ネットワークを使って、推薦できる候補やそういう会社を知っている人たちとのつながりを求めることを恐れるべきではありません。あなたが求める領域で成功している人を見つけ、紹介先をこころよく共有してくれるか確認してみましょう。
ソーシャルネットワークによって情報を広めることが簡単になったので、これらのチャネルを活用してください。eコマースビジネスオーナーたちのFacebookグループやオンラインコミュニティに参加し、だれか高評価を得ている人がいないかチェックします。
サプライヤー探しを始めたら、ある会社があなたにフィットしなくても、彼らが適切な方向に導いてくれることもあるのでその点も聞いてみましょう。業界にいるということは、彼らが素晴らしい取引先を知っていてあなたにもっと適した相手を紹介してくれる可能性があります。
NAICSコード(北米のみ)
商品サプライヤーを探すもう1つの方法が、NAICSコードによる検索です。
NAICSは北米の業界分類システムで、考えられるすべての業界や商品がNAICSコードに紐付けられています。メーカーとサプライヤーが商品をNAICSコードでリスト化していることもあります。これにより、とくにあなたが専門的なディレクトリを利用している場合は、メーカーとサプライヤーの発見が容易になります。
NAICSディレクトリはローカルライブラリかオンラインで見つけられます。米国のNAICSコードとカナダのNAICSコードのリンクはこちらです。
候補となるメーカーを適切に審査することも忘れないでください。いくつかの候補に絞り込んだら、信頼できるかどうかをさらに深く調査します。
業者のFacebookページのレビューをチェックしたり、Better Business Bureau (BBB)(英語)で苦情がないかを確認したり、Googleで「会社名+レビュー」で検索して危険要素がないかを検証しましょう。
問い合わせと情報収集
いくつかのメーカーがアンテナに引っかかってきたら、見積を依頼します。比較のため、最低3社から見積をとってください。
次に出てくる最大の疑問は「いったいいくらになるのか?」でしょう。見積のリクエストを急いで送る前に、以下の問いに答えを出しておくのがおすすめです。
- カスタムオーダーに対応できるか? あなたが望む商品をサプライヤーやメーカーが作成できるか判断します。相手にスキルやリソースはありますか?
- リードタイムは? アイテムを生産して発送するまでにどれくらいかかりそうですか? 商品発送までに3ヶ月を要するメーカーとは組みたくないはずです。在庫が切れたとき、お客さまを何ヶ月も待たせるわけにはいきません。
- 配送料は? 配送料は総じて事業支出の大きな部分を占めます。業者の配送コストがあなたの収益にどう影響するかを理解しておいてください。
- 最低注文数は? この質問を最初に掲げないほうが無難です。初心者のように見え、メーカーがあなたと組むのを思いとどまるかもしれません。とはいえ、商品の生産をスタートする前に最低アイテム数を知っておく必要があります。これは交渉可能です。
- ユニットあたりのコストは? 最低注文数の交渉と同時に、ユニットあたりの費用も交渉できます。注文が大口になるほど、ユニット単価は安くなります。
- 独占権が与えられるか? 関連ツールがある場合(例:商品生産のためにあなたがツールを購入している)、第三者にそれを使用させないことを確かめます。また、地域的、市場的、または全体的な独占権も要求できます。
- 設定費用が含まれているか? あなたの商品を生産するために設備の設定費用をメーカーが請求することもあります。
- 欠陥ポリシーは? 不正確または欠陥のあるアイテムのコストはどちらがもつことになるのか確認します。配送料と関税はだれの負担でしょうか?
- サステナブルまたはエシカルな業者か? 工場の状況を調査し、環境や労働者への影響を確認します。
最低注文数を交渉する
サプライヤーを探すのが初めてなら、最低注文数(MOQ)について簡単に知っておきましょう。商品や業者にも依りますが、メーカーが最初の注文で何百あるいは何千の購入数を要求することは珍しくありません。
あなたの資力が限られている場合や、大規模な購入の前に小さく始めて市場テストをしたいと考えている場合、MOQのためにそれがむずかしくなります。良い点として、MOQはほとんどのケースにおいて交渉可能です。
交渉の前に、なぜサプライヤーが最低数量を課しているのかを理解してください。事前作業が多いからなのかもしれませんし、大口のバイヤーとの取引を好むためなのかもしれません。背景の理由を知ることによって、彼らのポジションを理解したうえでベストな対案をオファーすることができます。
支払条件を相談する
たいていのサプライヤーは、新規取引に対して事前の支払いを求めます。この点を知っておくことは大切です。在庫はeコマースビジネスにおける主要なコストとなるからです。今後の注文における支払い条件があるかも聞いてみるといいでしょう。
サプライヤーは、あてにならないバイヤーからの「とりあえず」の見積依頼メールに忙殺されます。そのため、サプライヤーが必ずしもすべての依頼に回答しないことは珍しくありません。サプライヤーからの返答がないことは、新規のeコマース起業家からよく聞かれる不満の1つです。
では、無視されないためにはどうしたらいいのでしょうか? 初めてサプライヤーに連絡するときに、避けるべきことがいくつかあります。
- 長いメールを送る:業者に送る最初のメールは明確で簡潔であるべきです。あなたのストーリーや背景を書きすぎないように。最初のメールでは高いレベルでフィットする可能性を評価するようにします。ディテールや調達したいものなど、サプライヤーがもっとも気にかける部分にフォーカスしてください。
- 多くを要求する:サプライヤーにとって生産のリクエストは簡単なものとは限りません。複数の数量に対する価格を尋ねることは大切ですが、多すぎるか少なすぎる見積を要求するのは避けてください。あなたとサプライヤーのフィットを評価するうえで絶対に必要なことだけに絞り込みましょう。
- 要望が少なすぎる:サプライヤーの最低注文数を大きく下回る見積依頼の場合、返答がないことも考えられます。あなたのリクエストが小さすぎるかどうかわからないときは、先に最低注文数を聞くだけの簡単な電話か質問1つだけのメールをすることを検討してください。
良い製造サプライヤーは、支払い条件の交渉に対してオープンです。配送前に100%の事前支払いを求めることはありません(もしそのようなケースがあったら要注意です)。あなたは相手と折り合いをつけることができます。事前に50%、商品受取後に50%という依頼であれば、両者が注文に対して責任をもち、片方に大きなリスクが寄ることもありません。
メーカー・サプライヤーとコミュニケーションをとる
オンラインビジネスを始めてすぐ製造マネージャーを雇う可能性は低いと思います。自分でサプライヤーとコミュニケーションをとることになります。方法はおもに3つです。
- スカイプ
- メール
レスポンスが早く一緒に働くことに積極的な企業を探しましょう。始めてすぐにメールやサンプル対応が遅い場合、ビジネスの面で彼らを信頼できるでしょうか? 無理ですよね。
デザインを説明する
候補のメーカーと話ができたら、あなたのデザインを具現化できるか聞いてみましょう。プロトタイプや3Dモデルによる商品開発プロセスを採用している業者もいますが、すぐ高額になりやすいです。
代わりに次のやり方でアイデアを伝えましょう。
- スケッチ
- 手順書
- 参考画像
彼らがデザインをおこなわない場合、FiverrやUpworkでデザインを作成してくれる以下のようなフリーランサーを探します。
- インダストリアルデザイナー
- プロダクトデザイナー
- CADエキスパート
ほかのオプションは、近場でデザイナーを探すことです。プロトタイプやカスタム型を彼らと作成することが可能です。メーカーを通すより手頃な価格で実現できます。
サンプルを注文する
最終発注をする前に、商品製造前のテスト用にサンプルを入手しましょう。サンプルが適切であれば、日付と署名を入れます。1〜2点を自分用に保存しておいてください。これらはコントロールサンプルと呼ばれ、証拠品として商品の品質と一貫性を維持するために使用されます。
自分たちのスタジオ用に商品をデザインすることは、アイデアを出すというだけの話では終わりません。ハードウェアの設計とテストをおこないます。プロトタイプを作成して、付属品をまとめて機能させるためにさまざまな要素をテストすることになるのです。
たとえば、メーカーが注文品を送ってきたとします。パッケージを開けると、商品の色がまったく違っています。ミスを直すためにパートナーとチャットすることになるでしょう。彼らが発注内容に疑いをもつようなら、あなたはコントロールサンプルを提示できます。これにより、あなたが受け取った商品が事前に合意した内容に即したものではないことが示せます。
交渉
サンプルの入手から発注までの間に、支払いや最低発注数(MOQ)などの条件を交渉する余地がまだあるかもしれません。交渉の際は、相手の立場になって考えてください。ベストプライスのために製造パートナーを搾取することが目的なのではありません。双方に利益がありハッピーになるような形で提携することが求められます。そうしないと、健全で長期的な関係を築くことはできません。
発注
最後に、発注を完了します。まず品質チェックを100%の力で実施してください。送られてきた商品はすべて、あなたの基準に到達しているかを確認します。全体に満足できたら、注文書を送って生産プロセスを稼働させましょう!
サプライヤーパートナーを見つける
サプライヤーとメーカーを見つけることは独特のプロセスであり、ビジネスを始める際に必要なコストといえます。最適なサプライヤーを見出すことはあなたの新ビジネスにとって重要な決断ですし、簡単にはいかないものです。
行き詰まってフラストレーションがたまるかもしれません。とはいえ、ほとんどの場合、あなたの新しいベンチャーにぴったりのパートナーを見つけるのに必要なのは、もう少しの忍耐と努力だけなのです。
原文:Corey Ferreira イラスト:Pete Ryan 翻訳:深津望
よくある質問
製造とは何を指しますか?
製造の種類は?
リピート製造
ディスクリート製造
ジョブショップ生産
連続法プロセス
バッチ処理
商品製造の一例を挙げると?
メーカーを探す方法は?
無料オンラインディレクトリ
紹介
NAICSコード