人間誰しも仕事を辞めたい瞬間はあると思います。理由は様々だとは思いますが、今回はいざ辞めると決意したときにどのように物事を進めて、どのような心持ちでいれば良いのかを説明します。
大抵の場合、仕事をやめるということは、エキサイティングでもあり、おそろしいことでもあります。心機一転、新しい仕事につくこともあれば、自分のビジネスを始めるということもあるでしょう。より良い機会を追求できる一方、安定した仕事を失うのはつらいことです。これは、自分の会社をスタートさせるときや、既存のサイドビジネスにフルコミットする決断をして辞職するときなどに、とくによくあてはまるのではないでしょうか。
安定した雇用には、安定した給料以上のメリットがあります。たとえば人とのネットワークだったり、チャンスだったり、そういうものを提供してくれます。幸いなことに、仕事をやめたからといってそういったメリットを完全にあきらめなければならないわけではありません。
しっかりプロ意識をもって辞職するなら、良いネットワークを維持して、いろいろな機会を失うことなく次のステージに向かうことができます。この記事を通じて、どうすればそれが実現できるのかを見ていきたいと思います。
仕事を辞める準備をする
自分の仕事(それがいい仕事であればとくに)をやめる決断は、短時間で突発的にするものではありません。例えば、会社を辞めて起業家になる場合は、多くの人がいきなり新天地に飛び込んでしまうのではなく、数年かけてサイドビジネスを育て上げていることに注目しましょう。フルタイムの仕事をやめるタイミングがきたかどうかを知っているのは、あなただけです。
そして、突撃して砕ける前に、以下のことを考えておきましょう。
貯金の確保
いざというときのための貯金はあるでしょうか?
成功する起業家は、リスクと見返りのバランスを上手にとるものです。その意味では、銀行にある程度の蓄えを持つことで回避できるリスクもあります。事業が順調にいっている時でさえ、キャッシュフローが停滞してしまうことがあるのですから、厳しいときにやりくりできるだけの個人的な貯蓄を持っておくことは重要です。
あなたがフルタイムで自分の事業にコミットする場合(それがスタート期であれスケール期であれ)、次に何をしなければいけないかをプラニングする必要があります。
あなたが負うことになる責任について十分考えていますか?成長するための戦略がしっかりありますか?事業が思うように成長しなければ、仕事をやめたことを後悔するかもしれません。そうならないためにも、事前準備に気を配ってください。
生活スタイルの変化にそなえる
「自分のために働く」というスタイルに移行することは大きな生活の変化を伴います。それはもちろん良い方向への変化です。いつ、どこで、どうやって働くかをあなたは自由に決めることができます。その一方で、社会保障などへの対応は自分でなんとかする必要あります。
- 使っていない有休が残っていませんか?やめる前に使いましょう。しばらくの間、まとまったオフの時間がとれなくなるかもしれません。
- 健康保険はおそらく会社で加入しているのではないでしょうか?独立した場合の健康保険プランを立てておきましょう。
- 自宅で仕事をするか、オフィスを借りるか決めていますか?オフィス賃料のこともしっかり計算に入れておいてください。
- 諸々のすべてのことを自分でこなす意欲または自信がありますか?いまや、あなたがあなた自身のボスであることを忘れないでください。
プロらしく仕事を辞める技術
あなたがすでに辞職の意思をもっていて、根回しに動き始めているなら、気をつけたいポイントがいくつかあります。
上司や雇用主との関係がどうであれ(良好であってもなくても)、台無しにしてしまうことは避けましょう。フレンドリーな姿勢を持ち続けてください。今後いつなんどき、彼らが味方に、あるいは敵になるかわかりませんので。
もし、何らかのネガティブな体験をしているなら、一呼吸おいて、自分が正しいのだと自分に言い聞かせてください。不満があってもそれを公にする必要はありません。いまは、自分の主張を押し通そうとしなくていいのです。
就業規則に記載のある猶予(たとえば1ヶ月前など)をもって、辞める意思を事前に通告しましょう。こうしたやり方は一般的ですし、プロとして必要な段取りでもあります。雇用主との関係が良好なのであれば、あなたは引き継ぎに十分な時間を会社側に与えたいと考えるかもしれませんね。
とはいえ、事前通告をしたからといって、会社がそれをそのまま受理するとはかぎりません。すぐさまあなたを解雇する権利を彼らがもっている場合もありますし、辞職する人を引き続き身近においておきたくないという雇用主も存在します。そういう事態にも想定しておきましょう。
また、引き継ぎにどれくらい注力できるかも考えておかなくてはなりません。時間上の制約を事前に検討しましょう。現行プロジェクトはどれくらいで終わらせられますか?権限委譲を伴う引き継ぎや、後任者の採用・教育にどれくらい関わることが可能でしょうか?
現実的な計画を立てましょう。雇用主に対してできない約束をしてがっかりさせないようにしたいところです。
それと、なによりも優先して、もう一度雇用契約書を読み直してみてください。あとになって、信じられないサプライズが起こることが起きないようにしておきましょう。
退職への準備
いざ退職願の提出というときになったらおさえておきたい実用的なポイントをご紹介します。
手書きでも印刷でもOK
退職願は手書きでも印刷でもどちらでも大丈夫です。
正直に
退職願を提出する際にまわりくどい言い方はやめましょう。あなたが伝えたいことを正直に。なにが言いたいのかわからず、上司が困惑してしまわないようにこころがけましょう。
説明は不要
自分のことをていねいに説明する必要はありません。そういう義務はあなたにはないのです。あえてそうしたいと望むのであれば、かまいません。万が一、会社に戻ってきたくなった場合などに影響してきます。また、会社へ対する不平不満を述べると、引き留めの口実を作ってしまうことになるかもしれません。一般的には「一身上の都合」としておくべきでしょう。
礼儀正しく
上司のことは嫌いかもしれませんが,礼節を欠いてはいけません。相手との関係を悪化させることにメリットはないのです。礼儀正しいだけではなく、ポジティブで感じのいい要素をプラスできれば理想的です。雇用の機会と経験を与えてもらったことに感謝しましょう。
引き継ぎ準備
退職願を提出するこのタイミングで、引き継ぎ等にかかる事柄を確認しておきます。あとどれくら滞在して、引き継ぎプロセスに貢献できるのかを明らかにしましょう。とはいえ、過剰にコミットしすぎないように気をつけたいところ。明確なラインを引くことも大切です。必ずしもサポートする義務はないのですが、プロとしてそこはきちんとしておきたいですね。
辞めますが言えない場合
上司との関係が悪いときや、会社と連絡を取りたくないときなど、「辞める」と面と向かって言いづらいシチュエーションもあると思います。そういうときには「退職代行」というサービスもあるようです。最近流行ってきているようなので、考えてみても良いのかもしれません。
そして、次にくるものは?
退職願を出したあとで,上司があなたとお話したいと言うかもしれません。上司としては予期していなかった事態ということもあるでしょう。この時点であなたは、自分のビジネスに集中したいという理由を述べることができますが、それは退職願と同じように義務ではありません。
退職の意志を退職願を使って伝えたら、次は退職届を書きます。その後、退職が正式に決定したら、同僚たちに対して個人的に話したり、挨拶メールを送信することも考えていいでしょう。
個人としての明確な思いを周囲に伝えておけば、噂が一人歩きするのを防ぐことができます。あなたが会社を去るという事実とその理由(あいまいにしてもかまいません)を知ってもらい、彼らに感謝しましょう。いっしょに働けて楽しかったと伝え、今後連絡がとれるように連絡先を交換しておきます。
さて、会社を辞めて起業家になる準備はできましたか?
ちょっと怖気づいてしまうかもしれませんが、あなたは良い方向に大きなステップを踏み出したのです。