起業家は起業をした人、経営者は経営を行なっている人です。起業を経て経営を行い、経営者になります。
起業自体は、手続きを行えばできるため、起業家になるハードルはそこまで高くありません。自分の会社を作りたければ、会社設立に必要なことを全て行えば会社を創業して、社長になることができます。これは難しいことではありません。
ただし、創業した会社を軌道に乗せて知名度を高めること、利益を上げたり、規模を拡大して雇用などを創出して社会に貢献したりすることは、また別の話です。起業に必要なことと、経営や経営拡大に必要なことは、少々異なります。
本記事では起業家になるための方法である、起業の仕方や手続き、それに伴い必要となる準備を解説します。また、本記事における「起業」の定義は、個人事業と会社設立の両方を含みます。個人事業の始め方と会社設立の方法も、それぞれ解説します。
目次
- 起業とは?起業の仕方と必要なアクション
- 1.事業のアイデア・ビジネスモデルの検討
- 2.事業計画書の作成
- 3.起業・事業資金の調達
- 4.起業後に必要な実務の準備
- 5.手続き実施
- 株式会社を設立する手順
- おわりに
- FAQ:起業の仕方
起業とは? 起業の仕方と必要なアクション
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起業とは「新しく事業を起こすこと」、創業とは「新しく事業を始めること」です(角川書店、類語国語辞典)。
言葉の意味は大きく違わないようですが、事業を新しく起こした人は起業家と呼ばれ、事業が数期にわたって継続したり、事業が拡大・成長した時にその事業を始めた人は創業者、創業者と血縁関係にある人たちなどは創業者一族などと呼ばれます。
ここでは起業の手順と、起業に必要なアクションを解説します。
起業に必要な手順
新しく事業を起こす際に踏む手順は以下の通りです。
- 事業案・ビジネスモデルの検討
- 事業計画書の作成
- 起業・事業資金の調達
- 起業後に必要な実務の準備
- 手続き実施
順に解説します。
1.事業のアイデア・ビジネスモデルの検討
かの有名な歌詞に似ていますが、事業は「こんなアイデアいいな、できたらいいな」という考えから生まれます。既存の製品やサービスに対して「もっとこうなっていたらいいのに」、「この箇所がこうだったらどうなるだろうか?」と考えた人たちが、必要最小限の製品やサービスを立ち上げて、それらを使う購買客・顧客・ユーザーのことを考え、会社を設立して事業化します。
逆に言うと、アイデアとビジネスモデルがなく起業に至ることはあまりありません。事業や会社、製品やサービスは、社会から求められたり、顧客に購入してもらったりする必要があります。
『RUNNING LEAN 実践リーンスタートアップ』(オライリー・ジャパン)で著者のアッシュ・マウリャは、「誰も欲しがらないものを作るほど人生は長くない。」と記しています。事業や製品・サービスを、自分たちで作るのか、仕入れて売るのか、ビジネスモデルはそれぞれ異なるにせよ、その事業や取引が顧客や取引先に求められ、販売先や取引先を確保して商売が成立するものであることが大前提です。
2.事業計画書の作成
事業計画書とは、他人が見ても分かるように、ビジネスを成功させるための具体的なプランや事業内容を具体的な数値やデータで表した計画書です。事業計画書を作る目的は2つあり、事業を客観視すること、融資先や取引先といった第三者に事業の内容を伝えることです。
3.起業・事業資金の調達
必要な資金は大別すると2つ、起業資金(開業資金)資金と、事業資金(運転資金)です。
起業資金(開業資金)とは初期費用(初期投資)のこと。事業資金(運転資金)とは、十分な入金があるまで事業を回すための資金のことです。
4.起業後に必要な実務の準備
個人事業と会社設立、どちらの場合でも必要なのは、会計処理や確定申告・決算処理などの業務です。これを実施できる専門家は主に「税理士」です。
従業員を雇用する場合、給与計算や社会保険手続きが必要です。これを実施できる専門家は主に「社会保険労務士」です。
また、経営で発生する問題、例えば売掛金の回収、契約書関連業務などに対応できる専門家は「弁護士」です。
税理士・社会保険労務士・弁護士との契約は、必ずしなければいけないものではありません。これらの専門家にしか実施できない独占業務以外は、あなた自身でも実施できます。独占業務は、無資格者が実施すると罰せられます。
各種専門業務をあなたが実施するか、専門家に依頼するかは、よく検討しましょう。起業家であり経営者を目指すあなたが、これらの専門業務に従事して、あなたの時間を使いますか?その判断が正しいのか、よく考えましょう。時間の有限さや、人生の残り時間は誰にもわからないことから鑑みても、専門的なことは専門家に任せるといいですよ。
もちろん「何を、どのような仕事や相談事を、有資格者や専門家に依頼するのか」を理解するために、あなた自身も知識は必要です。しかし各種実務は各種専門家に依頼してはいかがでしょうか。
5.手続き実施
起業には、個人事業と会社設立の2種類があります。会社員として働きながら、副業として自身の小規模事業を始める例もあります。
1.事業のアイデア・ビジネスモデルの検討
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まず考えるべきポイントは4つあります。
a)潜在的機会の規模はどのくらいか?
b)トレンド市場、ブーム市場、成長中市場のどこにあるか?
c)競合はどこになるか?
d)制限や規制はあるか?
e)事業名は?
f)商品(またはサービス)を開発するには?
g)事業の拠点は?
h)事業と、商品(またはサービス)に必要な、各種デザインは?
以下に解説を続けます。
a)潜在的機会の規模はどのくらいか?
小規模な市場に否定的な見解を示す起業家はたくさんいます。市場のサイズと起業家の野心が合致するのは理想的ですが、特定のニッチ市場には、いくつかの側面によって決定される「機会規模」という考えがあります。例えば、頻繁に購入をする顧客が少ない商品カテゴリーがあるとします。しかし商品価格が比較的高く、繰り返し購入する必要があるものだったら、それは起業家にとって魅力的なチャンスであると言えます。このような「機会規模」は、市場の大きさばかりに注目していると見逃してしまうかもしれません。
とはいえ今日に至っては、顧客を獲得するにはかなりの費用がかかります。そのため、繰り返しの購入を促せる商品には大きなビジネスチャンスが潜んでいます。それはサブスクリプションや、アップセルやクロスセルをした時に最終的に販売する補完商品などかもしれません。それらのチャンスがやってくるのは後々になってからかもしれませんが、あらゆる機会を探求すべく、いろいろな可能性を念頭に置くことをおすすめします。
潜在的機会の規模の例:ラグジュアリーな楊枝を販売するブランドのDaneson。市場規模が小さいために潜在収入は限られているものの、専門性の高いブランドを好む顧客に的を絞り、彼らを低予算で獲得することができれば、市場でしっかりとしたポジショニングを確保できるようになります。
b)トレンド市場、ブーム市場、成長中市場のどこにあるか?
ビジネスを立ち上げる時には,事前に市場調査をすることが理想的です。市場の将来的な方向性は、現況よりも大切です。事業を長期間続けていくには、現在の需要だけでなく、将来的な需要がどうなるかを知らなければいけません。そのため、取り扱おうとしている商品やニッチが、「ブーム市場」、「トレンド市場」、「安定市場」、「成長中市場」のどの市場に分類されるかを考えてみましょう。
- ブーム市場:短期間にわたって人気が集中して急成長を遂げ、同じくらい速いスピードで衰退する市場。ブーム市場は、参入と撤退のタイミングを完璧に見計ることができれば、高い収益を見込むことができます。しかしそれを予測するのは難しく、大失敗を招く恐れがあります。
- トレンド市場:長期間にわたって商品が成長することが期待できる「トレンド」市場。ブーム市場のように急成長はしないものの、より長く成長が続き、一般的にはそれほど速く衰退することもありません。
- 安定市場:打撃や衝撃に影響を受けない安定した市場。衰退することも成長することもありませんが、長期間にわたって一定の市場性が維持されます。
- 成長中市場:堅実に成長している市場動向を、長期的または恒久的に示している市場のこと。
ビジネスにおけるブーム市場とトレンド市場の例:タピオカブーム(参考)。ブーム市場に対して、ブーム製品1種類のみで参入したことで、ブームの衰退に伴って閉店や撤退を余儀なくされる企業や店舗があります。その反面で日本におけるタピオカブームに乗じて日本進出後、グローバルなお茶のブランドやカフェとして堅実に日本国内における出店を続け、事業を成長させようと試みる外資系企業も存在しています(参考)。
ビジネスにおける安定市場の例:トレンチコートやデニム(ジーンズ)。ファッショントレンドにはシーズンや時期に応じた流行がありますが、日本では、春と秋にはトレンチコートやデニムがほぼ毎年、ほぼ必ず着用されます。
トレンチコートといえばこのブランド、デニムといえばこのブランド、と、これらの製品を主力商品かつブランドの代名詞として、毎年少しずつアップデートを続けながら、長らく愛され続けるブランドもあるほどです。
c)競合はどこになるか?
市場における商品の競争環境はどのようなものでしょうか。競合他社は多数存在しますか?あるいは、ほとんどいないこともあるかもしれません。選んだ分野に多くの競合相手がいるなら、それは十分に確立した市場である証です。需要があることを保証する一方で、商品を(ある程度)差別化して顧客の注目を集め、市場シェアを築き上げる必要があります。
世界の動きが世界のどこにいても通じてしまう現代では、ブルーオーシャンが存在する市場はほとんどあり得ないとも言えるため、ある程度のレッドオーシャンの中でどのような競合と、どう共存しながら戦い続けるか、見出す必要があります。
競合を考える上で参考になる例:ビールやアルコールの市場。日本においては、大手3〜4社が市場シェアのほぼ全てを占める一方、各地域の食材などを活かして醸造されるスモールビジネスとしてのクラフトビール企業やブランドが存在しています。また世界的に、若者のアルコール離れやソーバーキュリアスなど飲酒との付き合い方を再考する動きもある中(参考)、日本における飲料各社は、ノンアルコール飲料やほんのわずかな度数のアルコール飲料の新製品を提供するなど、新製品の開発と提供を通してブランド価値向上のための努力を怠りません。アルコールを愛する企業たちが、新規顧客や市場の開拓を進めながら、共存しています。
d)制限や規制はあるか?
事業の始め方を理解するには、法的義務を把握する必要があります。商品カテゴリーを検討し始める前に、適用される規制や制限を十分に理解しましょう。また、保健所・警察署・都道府県に申請し、許認可が必要なこともあります。
また、特定の化学製品、食品、化粧品については、商品を輸入する国だけでなく、商品の輸出先の国によっても制限を受ける可能性があるので気をつけてください。
制限や規制を考える上で参考になる例:大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBD(カンナビジオール)を含有する製品(参考)。輸入製品の選定・販売・使用などは厚生労働省麻薬取締部に対して必要な手続きを取らなければなりません(参考)。
動物の生体販売。イギリスは認定されたブリーダー以外の、繁殖を行わない事業者(日本の場合ペットショップなど)から生後6ヶ月未満の犬猫を購入することができません(参考)。フランスも2024年から同様です(参考)。これは動物愛護の観点です。世界的には、動物の生体販売だけではなく、生体から剥ぎ取ってなめし加工を経て製品化される本革やそれを使う製品や、動物実験つまり動物たちが犠牲になることで製品開発が成立する化粧品などを利用しない人も増えています。将来的には日本でもこのような流れが主流になると考えると、どのようなビジネスを展開すべきかの参考になると言えます。
e)事業名は?
事業名、あるいは製品名は非常に重要です。
例えば、日本の会社である株式会社 蓬莱は、ブランド「551HORAI」で有名です。ではなぜ「551」なのか、ご存知ですか? また、株式会社 崎陽軒が販売する商品は、「シューマイ」でも「シュウマイ」でもなく、なぜ「シウマイ」なのか、ご存知ですか? ご存知ない方は、ぜひ調べてみてください。
気になった単語やフレーズはドメインを調べる
WebサイトやECサイトの立ち上げ時に自分の事業名を含むドメインが必要になります。ドメイン売買サイトで購入できるか、そのドメインに空きがあるかを確認しましょう。各種SNSも、ドメインからハッシュタグまで、必ず確認しましょう。
他社やすでに立ち上がっている別会社の別事業と重複や競合してしまうと、トラブルになることもあります。また、連続起業家が事業を立ち上げる随分前から、先立って各種ドメインを取得している例もあります。
不安な場合には、弁護士に相談してください。
短くてシンプルな名前にする
何度も聞き返される、言い間違えられる、自分でも言いづらいなど、扱いにくい事業名は避けましょう。
ストーリーを持たせる
事業名や社名には、人に説明できるストーリーを持たせると、そのストーリーをさまざまな場で活用することもできます。
他と違うことを恐れない
市場調査の結果、競合他社の多くが似通った名前や同等の要素を取り入れた名前を起用しているようであれば、そのような言い回しは避けて、完全に別のルートに方向転換してみましょう。オリジナリティある事業名は、各種マーケティングの際に差別化要因となります。
f)商品(またはサービス)を開発するには?
事業で扱う商品、またはサービスを開発・決定するためには3つの手段があります。
独自商品を製作する
商品案を手早く導き出すには、既存商品に関する質問をする「SCAMPER」モデルが役立ちます。モデル名のアルファベットは、以下の質問テーマの頭文字の組み合わせです。
- Substitute(代替商品、例:物質としての掃除機ではなく、ハウスクリーニングのサービス)
- Combine(組み合わせ商品、例:スプーン機能も有するフォーク)
- Adapt(順応商品、例:授乳用のフロントホックブラ)
- Modify(修正商品、例:蓋に小さな空気栓がある電子レンジ対応容器)
- Put(別の用途に使用する商品、例:犬用の低反発ベッド)
- Eliminate(削除商品、例:タグや縫い目が一切無いTシャツ)
- Reverse/Rearrange(再構築/再解釈商品、例:Shopifyなどで作るECサイト。オフラインの店舗は必須ではない。人はオフラインの店舗が全く存在せず、現物を手に取らなくても、商品やサービスをECサイトに掲載された情報のみでも購入に至る)
また、試作品製作(サービスの試験的な実施)と、原価計算を行います。
試作品製作とは、一つの商品案に対して異なるバージョンをいくつか作り、選択肢を絞り、最終品として満足するまで繰り返し改良を加える作業です。原価計算では、売上原価(COGS)を算出し、小売価格と売上総利益を割り出します。
既存商品をカスタマイズする
Tシャツ、レギンス、タオル、バックパックなどに独自のデザインやブランド名を施すことができるプリント オン デマンド サービスがあります。
ただし,質の低いTシャツ、レギンス、タオル、バックパックなどに単なる印刷をするだけの商品は、持続可能性が低く有象無象の一つになりかねません。原価が上がっても、印刷前の商品自体に意味を持たせることも必要です。例えばシングルユースプラスチック製品は作らない、再生プラスチックを使用する、再生ポリエステルなどの化繊で作られている、など。これは「意識が高いこと」でしょうか?いいえ、普通のことです。商品は会社の意識を現します。地球の持続可能性を考慮することは、あなたの事業・ビジネスの持続可能性も高めますよ。
セレクト商品を取り揃える
在庫を持たず、自社独自製品を作らず、既存商品を販売するビジネスモデルです。売り上げの好調理由・不振理由を分析することで、既存商品の改良やアップデート版を自社製品として開発・提供へつなげることもできます。
例えば株式会社キャメル珈琲のカルディコーヒーファームの販売商品は、自社で仕入れたコーヒー豆の販売に併せて、輸入食品・雑貨を販売していました。徐々に自社企画の食品・雑貨を増やしています。
g)事業の拠点は?
例えばTシャツを販売する事業なら、自宅の小さなワークスペースにデスクとノートパソコンを用意すれば十分です。一方で、対面販売を行う小売スペースが必要な場合には、賃貸できる店舗用物件を探さなければなりません。
ビジネスの拠点に必要な空間を絞り込むには、以下を検討してください。
- 在庫のためにスペースが必要? 何千個ものアイテムを一度に受け取るなら、自宅のリビングルームでは場所が手狭です。
- 対面小売販売をする予定は? 自宅での販売活動ももちろん可能ですが、対面での販売やサービス提供を行うならば、顧客が訪れやすい快適な店舗用物件が必要です。
- 梱包や出荷作業をする予定? 出荷作業の規模によっては、自宅よりも大きなスペースが必要です。
- 対面販売の予定がない場合には、自宅や手持ちのスペース、あるいは事業拠点としてのシェアオフィスなどのレンタルデスクで事業立ち上げが可能です。
h)事業と、商品(またはサービス)に必要な、各種デザインは?
ビジネスの立ち上げ時には、事業や商品(またはサービス)ロゴのデザインからブランドカラーに至るまで、多くのデザイン関連の意思決定が必要です。
- ロゴ:ロゴ作成には、CanvaやFigmaなどのオンライン画像ソフトが活用できます。
- カラー:数多くのオンラインツールの一つを使って、ブランドのカラーパレットを作りましょう。
- Webサイトのデザイン:Webサイトを手軽に立ち上げることのできるサービスは多数あります。各種サービスに用意されているテンプレートを使用すると、手軽に作ることができます。
2.事業計画書の作成
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事業計画書は、「作成しない」を選択することもできます。法律で作成が義務付けられていたり、内容・項目・書式が厳密に定められたりしているものではありません。ただし資金を調達する際、調達方法や調達先に応じて、提出を求められたり、決められた書式で作成された事業計画書の提出が義務であったりします。
書式や項目が指定されて作成が義務付けられている場合を除き、事業計画書の項目に正解や不正解はありません。一般的に含まれる項目を、以下に3例、紹介します。
またこちらは、日本商工会議所の2021年度事業計画です。10枚に渡る書類です。
これらのことから、事業計画書のフォーマットや内容は事業や用途に応じて若干変動することがわかります。
事業計画書のフォーマット1:日本政策金融公庫の例
日本政策金融公庫は、国民生活事業の参考資料として、事業計画書のフォーマットを提供しています。こちらのページの、番号3番の書類です。
- 創業の動機
- 経営者の略歴等
- 取扱商品・サービス
- 取引先・取引関係先
- 従業員
- お借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
- 自由記述欄
事業計画書のフォーマット2:公認会計士・税理士より
『これだけは知っておきたい「独立・起業」の基本と常識』(フォレスト出版、高橋敏則著)からの引用です。著者は公認会計士・税理士です。
- 経営理念およびビジョン
- 事業の独自性
- 市場分析
- 商品サービスの内容と特徴
- 人員・組織
- 設備計画
- 業務フロー
- 販売計画
- 資金計画
事業計画書のフォーマット3:司法書士より
神保町司法書士事務所の公式Webサイトからの引用です。同事務所では、会社設立に関する相談を行なうことができます。
- 創業者のプロフィール
- 経営方針や理念・目的
- 事業の概要
- 自社製品やサービスの説明
- 販売やマーケティング戦略
- 開業資金
- 損益計算書予想
3.起業・事業資金の調達
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起業資金(開業資金)とは
主に6種類の費用が必要です。店舗・事務所費、設備費、備品費、仕入費、広告費、雑費など。
事業資金(運転資金)とは
大別すると2種類、固定支出と変動支出を考える必要があります。固定支出とは、売り上げに連動せず発生する支出のこと。変動支出とは、売り上げに連動する支出のことです。
固定支出には、維持費、返済費、人件費があります。変動支出には、仕入費、広告費、雑費などがあります。
資金の調達方法:返済義務の有無
会社が必要とする資金を調達する方法は大別すると2つあり、返済義務があるもの、返済義務がないものがあります。返済義務があるものは融資(借入)、返済義務がないものは出資(投資)や助成金・補助金です。
融資(借入)は、政府系金融機関である日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、地方自治体の制度融資、民間金融機関である地方銀行・信用金庫・信用組合の融資などがあります。
スタートアップやベンチャーにおける、出資(投資)に関連する資金調達ニュースが注目を浴びる理由の一つは、返済義務がないお金を調達したからであるとも言えます。お金を手に入れたけれど返済する必要がない、というのは羨ましいことですね。しかしスタートアップやベンチャーの業界も信用や評判が大切かつ狭い世界であるため、調達した資金の使い方は、投資家や従業員もよく見ています。
また、資金を確保する方法には、自己資金もあります。例えばシリアルアントレプレナーは、過去に会社を売却した資金を元手に、新たな事業を立ち上げる例があります。
4.起業後に必要な実務の準備
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必須業務や専門業務は、専門家に任せ、起業家・事業主となるあなたは、あなた自身の専門に集中すべきでしょう。しかしながら、扱いやすい上に価格もお手頃なソフトウェアが多数存在しています。ここではそれらを紹介します。
経理業務
経理業務は会計ソフトで代替できます。多くの会計ソフトが無料の試用期間を設けています。複数の会計ソフトで、全く同じ情報を入力したり、全く同じ目的の作業を実施して、どのソフトが最も使いやすいか確認しましょう。
1つの会計ソフトの試用期間に情報を入れ込みすぎると、他のソフトを試さずに「これでいいか」と、流れで課金してしまいます。複数のものから最も使いやすそうなものを選ぶことが大切です。
また、税理士などを雇う場合、税理士などから利用する会計ソフトを指定されることがあります。確認しましょう。
WebサイトやECサイト、ネットショップ
起業して提供するものが、有形の商品でも、無形のサービスでも、WebサイトやECサイト、ネットショップを用意すべきです。
顧客は、ほぼ100%の確率で、インターネット検索をして、情報の有無や口コミを確かめます。顧客が全くいないに等しい起業直後の段階でも、インターネットに情報がある状態にしておきましょう。
CRMツール
顧客との関係を管理するためには、それができるツールを導入してしまうのが圧倒的に楽です。起業直後は全ての業務を1人で行います。マーケティング・営業・CSそれぞれに、選任担当者をつける余裕はありますか?CRMツールを導入した方が楽です。ShopifyはCRM PLUS on LINEがあります。
スケジュールやプロジェクトの管理
TrelloやAsanaなどのツール、Googleアカウント、Notionなどの記録ツールが便利です。
5.手続き実施
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個人事業の始め方
個人事業を始める際の必要提出書類には、まず3種類あります。個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁)、事業開始等申告書(各都道府県によって異なる。東京都の場合はこちら)、所得税の青色申告承認申請書(国税庁)、これらの書類を作成し、各提出先へ提出します。
その他、事業拡大の内容に応じて必要な届出書を、税務署、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所に提出します。
会社設立の方法
株式会社を設立する手順は以下の通りです。
- 定款作成
- 定款を公証役場へ持ち込み、公証人の認証を受ける
- 出資金払い込み
- 会社の設立登記申請
- 税務署へ必要書類の届出
株式会社を設立する手順
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1.定款作成
定款の内容には3種類あります。絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項です。絶対的記載事項は、項目に不足があり書き漏れると定款は無効となります。
2.定款を公証役場へ持ち込み、公証人の認証を受ける
日本公証人連合会が以下のように説明しています。
株式会社を設立するのに、最低限必要な費用
- 認証手数料3万円ないし5万円
- 謄本手数料1枚250円。おおむね8枚2000円くらい
- 印紙代4万円。ただし電子定款のときはなし
- 設立登記に必要な登録免許税15万円か出資額の1000分の7のいずれか高い額。
- 募集設立の際には、払込保管証明書約2万5000円
- 代表者印の作成費用、印鑑登録証明書代がかかります。
引用元は、日本公証人連合会の公式Webサイトです。
3.出資金払い込み
出資を実行します。株式引受書を作成し、発起人(設立の手続きを行う人)と株式引受人に発行し、金融機関に払い込みとそれらの事務作業を委託し、出資金の振り込みを実行、そして最後に、株式払込金保管証明書を受け取ります。
4.会社の設立登記申請
法務局に、会社の設立登記申請を行います(参考)。
5.税務署へ必要書類の届出
税務署に、必要書類を届け出ます(参考)。
おわりに
(Unsplash: markus-winkler)
1990 ~ 2000年前後にかけて,日本には它バブルと呼ばれる時期がありました。その頃に注目を浴びた若年起業家だった方々は、現在も会社を成長させながら活躍なさっている方もいれば、当時は注目されていたけれど現在ではあまり業績などが話題にならない方もいます。
日本にも世界にも、多数の企業が創業され続けており、短期間で圧倒的な成長を目指す「スタートアップ」なども注目されますが、成功する確率の方が低く、会社が成長しないあるいは失敗する確率の方が高いです。
それなりの覚悟を持って、始めてください。しかし始めたら、ぜひ楽しんでください。
起業は、会社員をしながら副業などで小さく始める方法もあれば、個人事業として起業することも、会社を設立することもできます。
革新的な新規ビジネスは、意外とないもので、既存製品やサービスの違和感をカバーしたり、ほころびを繕ったりするようなものが支持されることも多いです。あなたが考えた「こんなものがあるといいな」は、他に似たビジネスや製品サービスがあるかもしれません。しかしあなた自身のストーリーを語ることができればそれが独自性になり、ビジネスとして成立します。一度きりの人生、ぜひ、後悔のないアクションを起こしてください。応援します。
自分のビジネスにしか提供できない価値・製品・サービスを考え、成功が見込まれる場合はぜひ起業してください。専門的なことは士業などの有識者へ、また、ECサイトやWebショップの立ち上げはぜひShopifyにお任せください!
FAQ:起業の仕方
(Unsplash: mike-petrucci)
よくある質問
Q1: 起業に必要な手順
- 事業案・ビジネスモデルの検討
- 事業計画書の作成
- 起業・事業資金の調達
- 起業後に必要なアクションに向けた準備
- 手続き実施
Q2: 株式会社を設立する手順
- 定款作成
- 定款を公証役場へ持ち込み、公証人の認証を受ける
- 出資金払い込み
- 会社の設立登記申請
- 税務署へ必要書類の届出