ウェブサイトの作成にあたり、AboutページもしくはAbout Usページは業界問わず重要になるパートです。
「About」「XXについて」「ストーリー」「ミッション」「会社案内」など、名称は異なるかもしれませんが、このページの第一の目的はブランドの「人となり」を伝えることです。
サイトの訪問者が、ブランドについてもっとよく知りたいと思えば、まずこのページを探します。
残念ながら、Aboutページは価値あるものというより義務のようなものとして扱われることが多いです。しかし実際は、顧客とつながり、会社やブランドのビジョン、ミッション、ストーリーを売りこむことが可能な優れた機会提供の場であるといえます。
Aboutページの本質
多くのAboutページの問題点は、「添え物」になっているということです。サイトのフッターあたりにリンクが埋め込まれ、クリックすると、急いで書いたような会社についての文章が表示されます。
Aboutページのあるべき姿は、目標設定がされたセールスページです。あなたのストーリーとブランドの最大のセールスポイントにフォーカスする必要があります。
「ブランドについて素早く理解したいと思ったら、 About ページへのリンクだけで十分なはずです」
他のページとは異なり、Aboutページは複数の目的を同時にこなせる理想的なページです。
- ビジネスについてのストーリー、なぜそれを始めたかを伝える。
- だれのため、何のためのビジネスなのかを説明する。
- ビジネスモデルの説明、商品製造過程の解説をする。
- 創設者やチームメンバーなど、ビジネスの顔となる人を置く。
- 解説ビデオ、インフォグラフィック、ブログへのリンクなど、乱雑になりがちな説得型のコンテンツを組み込む。
つまりAboutページは、①創業ストーリーの中心であり、②ビジネスの優位点を強調し、③新規のお客さまがもつであろう質問(「なぜこの商品を買うべきなのか」という疑問以外)に答える販促ページ、ということになります。
お客さまがあなたから買うべき理由は何でしょうか?
Aboutページの書き方:テンプレート
最高のAboutページは、ブランドに関するストーリーを語ることで、目標を達成します。
すべてのストーリー同様、Aboutページにも主人公が必要です。これはあなた自身や創業チームの場合が多いでしょう。または、ビジネス自体をキャラクター化して独自のストーリーを語る手もあります。
どちらにせよ、ストーリーは「変化」を伝えるものです。ある地点から始まり、別のある地点で終わります。読み手がスクロールするにつれ、そのように変化していく必要があります。
以下の公式に沿って、Aboutページの物語を構成しましょう。
- シーンの設定:キャラクターまたは設定の導入をおこない、あなたやターゲット層や業界にとっての「あたりまえ」や「今までの事実」を提示します。
- 課題の登場:あなた(メインキャラクター)が立ち向かうことになる問題を解説します。
- チャレンジの内容:解決策を見つけるためにやったこと(例:ビジネスの立ち上げ)とその過程における困難について書きます。
- 解決策への到達:ビジネスが目的を達するための方法と、これまでのマイルストーンを紹介します。
- 未来への展望:会社の未来想像図、またはミッションと目標について述べます。
すべてをまとめると、次のようになります。
Aboutページのストーリー・テンプレート
【(創業者)】は、【(業界の問題点の説明)】のため、【(会社)】をスタートしました。
それが【(解決策にたどりつくまで)】の理由です。
その過程で、【(マイルストーンや達成したことの共有)】がありました。
わたしたちは【(今後のミッションの表明)】をしていきたいと考えます。
実際に使うコピーは一人称(私・私たち・我々など)で書くようにすると、オーディエンスへの親近感を生み出すことができます。Aboutページは、あなたについてのページなので、恥ずかしがる理由はないですよね。
これらの項目を考えて埋めると、ストーリーの骨格ができます(そのままコピーとして使う必要はありません)。それをAboutページに組み込みます。
しかし、ストーリーは出発点にすぎません。良いAboutページはストーリーをただ「語る」のではなく、「見せる」のです。
以下にご紹介する要素は、物語の肉付けのほか、ブランド定義や会社の存在意義の訴えかけなどにも役立つもので、Aboutページに組み入れることが推奨されます。
ページデザインに入れたい要素
ビジネスモデル
ある会社にとっては、ビジネスモデルがUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)になり得ます。そのため、売りポイントとしてAboutページに紹介する価値があるわけです。
こちらが一例になります。
- 仲介業者を排して顧客に利益を還元した方法
- 商品の素材を調達する方法(例:特定の国での製造、一定のコミュニティへの雇用創出など)
- チャリティーに寄付する収益の内訳
透明性はブランドにとって武器になります。Aboutページで、サプライチェーンとビジネスの仕組みとミッションの関連性を要約すれば、透明性を示す優れた機会となります。
簡潔にビジネスモデルを表現したイラストなどを使うと実装しやすいです。たとえばHushTugは、中間業者を排除しているビジネスの仕組みを図解しています。
出典:HushTug
メディア掲載、推薦のことば、受賞歴
レビュー、メディア掲載、ユーザー作成コンテンツなどをAboutページに入れて、消費者や業界にインパクトを与えている事実を紹介しましょう。
ソーシャルプルーフをページに組み入れるには、さまざまな方法があります。商品使用者のインスタギャラリーを埋め込んだり、掲載された出版物のロゴを見せたり、カスタマーレビューの一部を選んで掲載したりできます。
メディア掲載や受賞歴などは、ストーリーの中間地点を伝えるマイルストーンとして一般的に利用できる要素です。
出典:Cotopaxi
正確な数字
数字は信頼性をもたらします。解決しようとしている課題や、ビジネスにおいて達成してきたことを説明する際はとくにそうです(例:商品の販売数、経営年数など)。
会社のミッションを主張する、自社ビジネスの影響を数値化する、といった場合に使える数字をAboutページに含めることを検討してみましょう。
業界の問題点をストーリーの前半で説明したり、ストーリーのクライマックスでマイルストーンを強調したりするときに、関連する数字を物語に落とし込むことでメッセージの効果と説得力が増します。
出典:ENJOY THE WOOD
チーム紹介
リアルな人間像をブランドに結びつけることで、会社のカルチャーを伝え、ビジネスの原動力となっている人々を輝かせることができます。
仮に創業者しかフィーチャーできないとしても、それをAboutページに反映すれば、ブランドのパーソナリティを表現することができ、あなたのストーリーや経験によって会社がいかに市場に適したものになっているかを伝えることが可能です。
出典:Atmoph
動画またはフォトギャラリー
できれば、Aboutページに使用するメディアを多様化してバラエティに富むようにし、テキストを分散させるようにしたいです。
少なくとも、舞台裏の高画質の写真を載せて、ビジネスの内側が覗けるようにします。または、ストーリーや商品がよくわかる動画制作に力を入れているなら、それをAboutページにまとめるのも効果的です。
リンク、CTA
About Usページはビジターを次のステップに導く役割も担います。ウェブサイトのほかのページや、ブログやSNSにつなげることも考えられます。
コピーには関連するリンクを埋め込むなど、ビジターを次の目的地まで案内する方法を考えてみてください。
- SNSアカウントをフォローする
- メールリストへの登録
- 商品をチェックする
- 会社の求人への応募
- ブログを読む
出典:MVMT
5つの優秀なAboutページ事例
Aboutページは他ならぬあなたについてのページですが、だからといって他所からアイデアを借りてこれないわけではありません。構造やデザインという点で参考にできる部分はたくさんあります。
以下の事例では、デザインについてのさまざまな取り組みを示しています。ページ全体のスクリーンショットを載せましたので、自分のページを作成するにあたって、全体レイアウトと情報や画像の関係などを参考にしてください。
カキモリ:お客さまへの手紙
まず最初に、カキモリのAboutページを見てみましょう。お客さまへの手紙という形式でストーリーと想いを伝えています。直筆の手紙を画像化しているため、ストーリーを伝えるだけではなく、実際の商品を使ったときの感情や見え方なども表現しています。
また、手紙セクションの下にはカキモリと地域や社会との関係も説明されており、ブランドが世界へもたらすインパクトも紹介しています。
ミウラタクヤ商店:創業者の自己紹介と体験談
一方、ミウラタクヤ商店のストーリーでは、創業者の三浦さんの写真からはじまり、自身のダイエット体験談からはじまっています。このようにお店がお客さまと同じ目線に立つことにより、お客さまもよりお店に対して親しみが持てるようになります。
そして、何をやっているか、なぜやっているか、どのようにお客さまを助けるのかという点を伝えています。
ここで注目すべきページデザインは、3つのセクションに分解できるという点です。これは、あなたのAboutページを整理するのに役立ちます。
- あなたはだれなのか
- 何を売っているのか
- なぜやっているのか
Kurasu:日記&パーソナルブランディング
Kurasuは、Aboutページを自分の日記を綴るかのように構成しています。要約した自伝のように彼の起業までのストーリーを語ったうえで、「私にとって、コーヒーとは」というタイトルのセクションでコーヒーへの想いを伝えています。
ビジネスに合ったパーソナルプランドをもつ起業家の場合、こうしたスタイルがしっくりきます。ビジネスを大きなストーリーの中の一章と位置付け、ストーリーの最後に読者をキャラクターとして招き入れるのです。
+CLOTHET:WHYから始める
ブランドのエッセンスは、その名前にひそむフィーリングや意味によって伝わってくることがあります。そこで、ストーリーを語り始める方法として、なぜビジネスにその名前をつけたのかを語ることも良いアイデアといえます。
+CLOTHETはこのアプローチを採用し、まずブランド名の由来を説明しています。そして残りのストーリーでは、理念や販売の仕組みなどが紹介されています。
BASE FOOD:ストーリーを漫画のように伝える
BASE FOODのブランド紹介のページでは、創業者の橋本さんの体験を漫画のようなタッチで紹介して、企業理念とミッションを伝えています。
漫画風に紹介することで、読み手を「ちょっと読んでみよう」という気にさせ、企業のミッションや理念がより伝わりやすくなります。
ストーリーはもっと良くなる
いざ取り掛かってみると、Aboutページで言うべきことはあまり多くないと感じられるかもしれません。
ですが、ある視点をもって、あなたがなぜお客さまにサービスを提供しているのかを理解できていれば、スタート地点としては十分です。今後成長するにつれ、マイルストーンが増えてAboutページを改良させていくことができるでしょう。
自分のストーリーをすでにうまく公開している人は、Aboutページにどれくらい定期的な訪問があるか、アナリティクスを確認しておくのも意味があります。
Aboutページをビジネスにとって価値あるオンラインアセットと捉えて、活用していきましょう!
原文:Braveen Kumar 翻訳:深津望