最初のお客様を得ることは、あらゆる事業者にとっての重要なマイルストーンです。
しかし、最初の売上を成功させるためには、時間と努力が必要です。ネット販売というのは勝手にバンバン売れるわけでは決してありません(もちろんときには例外はありますが…)。ネット販売にはたくさんの宣伝方法や販売チャネルがありますが、ビジネスにふさわしく、かつ妥当な結果をもたらしてくれる方法を見つけることはむずかしいかもしれません。
もっとも重要な活動であるお客様をショップに呼び込むことに集中するのではなく、完璧を求めてショップの手直しを延々と続けてしまうことは、陥りやすいトラップです。もし、皆さまがすでにショップを立ち上げているなら、次の30日間を、売上に直結しそうなターゲット層を獲得することに集中しましょう。
目次
新規ネットショップにとって、ターゲットを意識したトラフィックが不可欠な理由
あなたは立ち上げたばかりのネットショップのオーナーです。ブランドカラーを細かく選び、フォントをいろいろ試し、価格設定についてあれこれ考え、最初の売上にはあまり重要ではない詳細を詰めることに夢中になっています。そして、これらがショップの改良につながっているのだと信じてしまいます。あたかも、ビジネスが密室でおこなわれているかのように。
厳しいように聞こえるかもしれませんが、本当の改良というものは、現実世界に向けてビジネスをさらしてはじめて可能になります。数字によって計測できる確固たるベンチマークがないかぎり、ショップが改良されているかどうかを知ることなどできません。ですから、トラフィック(訪問者)がとても重要になってくるのです。
トラフィックが得られなければ、あなたの商品に対する関心があるのかどうか知ることはできません。トラフィックが得られなければ、価格が高すぎるのかどうか判断できません。トラフィックが得られなければ、ブランドがターゲット層の心にちゃんと響いているのかどうかわかりません。
このチャレンジをやっていただきたい理由がここにあります。
あなたが今ビジネスのどういうポジションにあるにしても、これからの 30 日間を、ターゲットを意識したトラフィックの獲得だけに費やしましょう。
あなたのマーケティング力強化のために、よくEコマースで使われている戦術をリストにしましたので、努力すべき箇所に集中できるようになるはずです。
まずはウォームアップをかねて、無料でゲットできるトラフィックを見ていきます。それから、もっと時間と金銭的な投資を必要とする、より高度なターゲットマーケティングに進みましょう。
始める前に知っておいてほしいこと
自分のネットショップには合わないと思われる戦術があったら、飛ばして次に進んでください。たとえば、もしあなたがコンピュータ用のキーボードを販売しているなら、おそらくPinterestは第一選択肢とはならないでしょう。
また、事前にGoogle Analyticsを設定しておいて、個々のマーケティング戦術に対するトラフィックの推移を確認してみましょう。すべてがうまく機能するわけではありません。とはいえ、最初の売上に向け、学習と素早い改善を繰り返す30日間の準備を整えましょう。
まずは簡単なところから:無料のトラフィックソース
最初に検討するのは、費用ゼロで使えるトラフィックソースです。このようなケースでは大体、あなたのショップを個人のネットワークや関係のありそうなオンラインコミュニティでシェアすることを含みます。
こうしたトラフィックソースは、作り上げるのが比較的容易でどのネットショップオーナーにも開かれているため、スタート地点として最適です。費用のかからないトラフィックソースに取り組む際には、次のポイントを頭に入れておきましょう。
ポイント1:購入を後押しするための、ディスカウントクーポンを検討しましょう。
The Jewelry Wardrobeは、LinkedInを使って、潜在顧客に対し25ドルのギフトカードを提供し、見返りにメールアドレスの提供とアンケートへの回答をお願いしました。
ポイント2:あなたのオンライン上での活動はすべて、あなたのネットショップへトラフィックを導く可能性を秘めています。ツイッターやインスタグラムなど、オンラインのプロフィールにはショップのURLを記載しておきましょう。
ポイント3:オーディエンスに対して、質の低い広告スパムメールを送るのはやめましょう。その代わりに、価値を提供し、誠実な関係作りを試みてください。
個人のネットワークを活用する
多くの起業家は、始めのうちは身内から売り上げます。これ自体は悪いことではありません。ですから、Facebook、Twitter、LinkedIn、Instagramなどのアカウントを通じて、個人ネットワーク上にネットショップの告知をしていきましょう。
親しい人たちにメールを送って、ショップのオープンを広めてもらうことも考えられます。シェアしてほしい、とはっきり伝えてましょう。彼らはあなたをサポートするために、ものを買う必要はないのです。
こうしたやり方で得られる売上は、まったくの他人から信頼を得ることで発生する売上と比べると、満足のいくものではありませんが、初期のフィードバックをゲットするには好都合です。
もし、この方法で売上が生まれなくても、がっかりしないでください。今回のリストの中ではもっとも限定的なトラフィックソースです。
こんな人におすすめ:基本的には全員(ほとんどの人に友人や家族や同僚がいるので)。その中でもとりわけ、フェイスブックやインスタグラム、ツイッター、LinkedInなどにおいてすでに活発で大きな個人ネットワークをもっている人。
オンラインコミュニティに参加する
正しい場所にショップのリンクを貼ることの価値を甘く見ないように。Facebookグループや起業家の集まりへ参加し、あなたの業界のニッチなコミュニティを発見しましょう。こうしたチャネルを有効活用すれば、特定の関心事のまわりに集まってくる人々にリーチできます。あなたのビジネスに関係するネタや話題を研究してください。
あなたがターゲットとする顧客層が頻繁に訪れるグループに参加し、アクティブなメンバーになり、コミュニティの人たちと交流しましょう。評価を得てしっかりした関係を築いたら、ショップのリンクをシェアし、ディスカウントコードを提供するのもいいでしょう。
経験のある起業家からのサポートを得るためにグループを利用するのもいい手です。たとえば、次のようなコミュニティがあります。
こんな人におすすめ:特定の関心事をもつグループ(例:ドッグオーナーなど)に向けたショップ事業者。ただ、起業経験のある人たちからアドバイスを受けたい人はだれでも、オンラインの起業家サポートグループを有効活用できるでしょう。
投資してリターンを得る:有料広告
狙いどおりのトラフィックを素早く得る最良の方法は、有料広告を使うことです。多くの有料広告チャネルがPPC(クリック課金型広告)を導入しているのは良い点といえます。1,000円という低予算から始められる例もあります。
個々の広告プラットフォームには違いがあり、それぞれのツールがどのように潜在顧客へアプローチするのか、またどんな相手をあなたがターゲットにしたいのかに応じて選ぶ必要があります。特定の国での展開を考えているなら、どんなSNSがそのマーケットで人気なのかを確認しておきたいところです。
有料のソーシャルメディアマーケティングに飛び込む前に、あなたのメインとなるプロフィールのフィードを投稿で埋めておきましょう(コンテンツをキュレーションするのが楽になります)。そうすれば、ビジターが見に来たときにアクティビティが寂しい感じになっているのを防げます。
フェイスブック広告
Pew Researchによると、フェイスブックは、年齢・収入・ジェンダー・民族などの観点からもっとも多様性に富んだユーザーをもつ、一番人気のあるSNSです。
そのため、理想の顧客を求める幅広いブランドが、年齢・ジェンダー・職種・地域・興味といったオプションに基づくフェイスブックのターゲティングを、最大限活用できるわけです。
とくに、「興味」の項目がもっとも実用的です。人々がフェイスブック上で「いいね」をしているページを、あなたが広告でリーチしたい理想の顧客像を作成するための土台として利用できます。
こんな人におすすめ:理想とする顧客像やお客さまの好みがわかっているショップオーナー。たとえば、ポップカルチャーをイメージとしたTシャツを売る店舗であれば、ポップカルチャーのスターに興味を示すユーザーをターゲットとすることで、フェイスブック上でのオーディエンスが簡単に見つかります。
United By Blueは、エコフレンドリーな商品を売るためにフェイスブック広告を利用しています。環境保護に関心をもつ人たちをターゲットとして、自社のアパレル製品を宣伝します。こちらの広告例では、カルーセル形式でさまざまな商品のコレクションを見せています。
インスタグラム広告
ビジュアル性の高いフォーマットと圧倒的なミレニアル世代の支持率のみが、インスタグラムの魅力なのではありません。
Smart Insightsのデータによれば、インスタグラムはSNSの中で一番エンゲージメント力が高いユーザーベースをもっています。インフルエンサーマーケティングに優れているだけではありません。適切なハッシュタグを使えば、広告ではない通常の投稿でも多数の人にリーチできるプラットフォームといえます。
インスタグラム広告を使うと、あなたの作成したビジュアル広告を人々のフィードに表示させ、トラフィックにつなげることができます。美容スキンケアブランのFollainは、インスタグラム広告を、無料サンプルの告知に使いました。この広告が3,600回以上閲覧されているのがわかりますね。
また、Brandlessは売上向上のためにインスタグラム広告を利用しています。ここでは、商品紹介の動画が使われています。
こんな人におすすめ:ファッション,フード,フィットネス,そのほかビジュアル性の強いマーケットにおいては必須。もし高品質で魅力的な商品写真を保有していて、なおかつミレニアル世代に売りたいなら、インスタグラムを試しましょう。
ピンタレストマーケティング
ピンタレストは、正当に評価されにくいチャネルです。しかし、明確に定義されたユーザーベースをもっているチャネルでもあるのです。ピンタレストによれば、ユーザーの多くは女性です。またHootSuiteによると、大半のユーザーは可処分所得をもっています。それに、無料または有料の重要なトラフィックをもたらしてくれます。
ピンタレストを使うことは、スクラップブックを作ることに似ています。ユーザーはボードを作り、特定のテーマに合わせて「ピン」を集めたり保存したりします。イベントのプラニングのための利用、お気に入りの記事の保存、それから、ワードローブのキュレーションにも使われています。ピンタレストで広告を打つ場合は、こうしたことを頭に入れておきましょう。
プロモートピンから購入可能ピンまで、ピンタレストでは販促のためのさまざまなツールを提供しています。ピンタレストに興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
こんな人におすすめ:ファッション,インテリア,フード,アート,デザイン,そのほかビジュアルによって輝くマーケット,とくに女性オーディエンスをターゲットとしたい場合。
下着ブランドのThirdLoveによるこちらの広告では、ユーザーをダイレクトに商品ページへと導き、その遷移先でも同様の世界観を継続して見せています。
Google 広告
人々が何かを買いたいときにまずやるのは、Googleをチェックすることです。以前はGoogle AdWordsという名称だったGoogle 広告は、ユーザーが関連のあるワードで検索をしたときに、検索結果ページのトップにあなたのサイトを表示してくれます。
ここではいくつかのオプションがあります:検索結果に対して目立つように表示されるテキスト広告、それと、あなたの商品写真と価格を表示する、Eコマース向けフォーマットともいえるショッピング広告です。
ターゲット層が使いそうなワードの検索ボリュームを知るために,キーワードリサーチをおこないましょう。複雑なインターフェイスのせいでグーグル広告を怖がる人は数多くいますので、広告の機会をものにしたいけれど作業自体はひとにお願いしたい場合は、Shopifyエキスパートに声をかけるのもおすすめです。
こんな人におすすめ:流行の商材を扱っている人、ローカルビジネスを展開している人、検索ボリュームの高い商品やサービスを提供している人
既存オーディエンスとつながる:働きかけ
皆さまのブランドの情報が、あなたからしか発信されないとしたら、あまり効果的とはいえません。ありがたいことに、インターネットではだれもがプラットフォームを築くことができ、その結果、あなたは彼らとパートナーシップを結ぶことが可能になります。
以下の戦術によりトラフィックを促進するだけでなく、コンテンツを使用しても同じことができます。たとえば、ニュースストーリーや商品レビューなどによって、あなたのブランドの信頼度が高まることにもつながります。うまくコラボさせれば一石二鳥なのです。
重要なポイント:コラボ相手と関係を築くためにセールストークをする場合は、「相手にとってのメリットは何だろう?」とつねに自問してください。
ブロガーへの働きかけ
もはや秘密でも何でもないですが、オンラインコンテンツの発信者は、新鮮なコンテンツとストーリーを常時探しています。
良いストーリーによる売り込みか、興味深い商品の力によって、あなたが理想とする顧客層が読んでいるブログや発行物に載せてもらえる可能性があります。あなたのニッチジャンルと重なる領域の発行物を探し、あなたのブランドを売り込みましょう。
パートナーと組む方法のアイディアがいくつかあります。
・ゲストとして投稿を書きましょう。特定のトピックについての専門知識をシェアし、著者プロフィールを使って自分のビジネスの説明とリンクを記載します。
・商品レビューをお願いしましょう。ブロガーに無償で商品を提供し、レビューを書いてもらいます。
・ニュースストーリーを売り込みましょう。あなた独自の説得力ある物語やユニークな商品を、インタビュー形式の記事のフックとして使います。
どんな手を選択するにしろ、ライターやエディター、それにオーディエンスにとって、興味がもてる売り込み方をしないといけません。まずは相手にフィットしているかどうかを重視し、パートナーシップの大きさは二の次と考えましょう。
こんな人におすすめ:興味深いバックストーリーをもつ起業家、ブロガーにとって未知の商品、ニッチジャンルの専門知識をシェアできる起業家
戦略的パートナーシップを模索する
ほかの人の顧客の前にあなたの商品を並べて見せられるという点が、パートナーシップのすごいところです。
ここでのキーポイントは、競合に該当せず、あなたと同じようなマインドをもっていて、あなたが求めているターゲット層をすでに引きつけているブランドを探すことです。こうした機会に恵まれるには、時間と運が必要ですが、そのかわりにパートナーシップの性質を利用して、実にクリエイティブな展開ができるようになります。
- あなたの製品を賞品としたコンテストを開催
- 例えばBento&coは国際BENTOコンテストと呼ばれるコンテストを毎年開催しています。
- サンプルの同封や、補完製品の特別ディスカウント(例:ウォーターボトルの注文1回ごとにドリンクミックスサンプルを提供)
- イベントのスポンサー
- コラボ商品を製作
サングラスブランドのPrive Revauxは、新しいサングラスのラインを販売するたびにJamie Foxx、Hailee Steinfeld、Madelaine Petschなどのセレブと連続してコラボしています。
こんな人におすすめ:同じジャンルの起業家とすでに交流のある起業家、または直接競合しない関連団体と交渉がある人、またはセールスやビジネス開発のコツを心得ている人。
インフルエンサーと協働する
セレブによる広告で商品を宣伝できるのは、ビッグブランドだけではありません。
インフルエンサー(ニッチ市場でかなりのオーディエンスを集めているクリエイター)と協力すれば、既存のファンベースからトラフィックを導いたり、あなたの商品に関するコンテンツを製作してもらうことも可能になります。
インフルエンサーは、YouTubeからインスタグラムまで、すべてのチャネルに存在しています。あなたは直接彼らと交渉することもできますし、クリエイターとブランドを結びつけるインフルエンサーマーケットプレイスもいくつかあるので利用できます。
日本では様々なジャンルに多くのサービスが存在しているので、自分のビジネスとマッチするサービスを探してみましょう。
こんな人におすすめ:ファッションやテック系商材を扱う事業者。ライフスタイルブランドにとっても機会は豊富と思われます。とくにインスタグラムのインフルエンサーと協力することで、ライフスタイル写真の文脈で商品を宣伝できます。
ゲリラ・マーケティング
ちょっと怖い呼び方ですが、すべてのトラフィックをオンライン上で発生させなくてもいいのです。初期のセールスに苦戦しているなら、オフラインで自分の言葉でマーケティングしましょう。
たとえば、もしあなたが犬の首輪を販売しているなら、近くのドッグパークに行って、人と話しながらチラシを配ってください。または、商品サンプルが簡単に出せるなら、無料でいくつか提供することも検討しましょう。ポップアップショップを実施して、クチコミを生み出すこともできます。
ゲリラマーケティングには、根性と創造力の組み合わせが必要とされるでしょう。しかし、今わたしたちが生きているのは「つながりの社会」です。つまり、オフラインで「わたしのWEBサイトをチェックしてみて」と伝え、それがオンラインのトラフィックに変わっていくのを目撃することは、今までにないほど簡単になっています。
こんな人におすすめ:オフラインで似た傾向の人たちが集まる場所の近くにいる人。もしあなたが社交的なタイプであれば、より役に立つでしょう。
最適化にむけて再考する:分析
ここまでの時点で、トラフィックの上昇といくらかの売上がおそらく見込める戦術を試しました。今回のチャレンジは、フィードバックを重ねるエクササイズとして意図されています。そこでは、ネットショップをトラフィックにさらし、効果を測るベンチマークを設定し、改善に取り組むことになります。
そして今、アナリティクスのダッシュボード(ShopifyとGoogle Analyticsの両方)を見たり、積極的にショップを宣伝して得られたフィードバックを参照したりすることで、あなたのショップで起こりうる問題を診断することができます。
お客さまがあなたの商品を買わない理由はいくつかあると考えられますが、トラフィックの様子をうかがうことで、情報に基づいた推測が可能となります。
- 直帰率が高い場合:つまり、ビジターがサイトを訪れてすぐに離れてしまっているなら、トラフィックの品質が低いことが考えられます。もしくはサイトの読み込みに時間がかかり過ぎているのかもしれません(Shopifyでなら管理画面の中でスピードを確認できます!)。
- ビジターがまったく商品をカートに入れていない場合:プロダクトマーケットフィットが達成できていないのかもしれません(その場合には、正しいニッチ市場を見つけるか、異なる商品を試す必要があるでしょう)。あるいは、ビジターは購入に至るほどにはあなたのショップを信頼できていないのかもしれません。
- カゴ落ちが多い場合:配送について考え直す必要がありそうです。
これらの学習に基づき、ショップの調整をしていくことで、次のラウンドでのマーケティングを、より良いチャンスに変えることができるはずです。
成長を求めるなら、抜け出そう
トラフィックを生み出すことは、可能性が増え続けるこの世界において、あなたのブランドと購買者の間にある点と点をつないでいくことです。それが、マーケティングを計り知れないものにしているという側面もあります。あまりにたくさんの機会がある、というのが事実なのです。
何にでも当てはまる万能のアプローチ方法はありません。探して、試して、失敗して、改善していくことだけが、あなたにとって効果的なやり方を見出す唯一の方法です。さあ、あなたのショップを世の中に出しましょう! 成長はそこからです!