2009年にスタートしたShopifyアプリストアは、これまでに進化し続けてきました。Shopifyが成長するにつれ、アプリの数も3000以上にまで拡大しています。アプリ開発者にとっては、現在進行形の大きな機会が広がっていて、マーチャントに向けたカスタマイズオプションも多様化していることがわかります。しかし一方で、アプリを見つけてもらうことがむずかしくなってきました。
今までに何度か、アプリを見つけやすく改良をおこなってきました。2018年に新しいShopifyアプリストアがスタートし、マーチャントにとって必要なアプリが探しやすくなりました。このアップデートはコンバージョン率の向上というメリットを開発者にもたらしましたが、課題がなくなったわけではありません。
そこで、今年からShopifyアプリストアの広告を始めました。この記事では、この広告の機能と活用法について解説します。ベータテストを数ヶ月おこなってきたので、アプリストアでの広告効果を最大化してビジネスを成長させるコツもご紹介します。
広告への期待
2018年に最新化したアプリストアは、既存のアプリ開発者のコンバージョン率を向上しましたが、新規アプリにとっては注目を集める助けにはなりにくく、定評あるアプリと戦うのが難しくなっていました。
データを調べた結果、Shopifyアプリストアでインストールされる60%が検索経由であり、これがマーチャントの主要発見経路となっていることがわかりました。また、大多数の人はトップランキングに出てくる一握りのアプリだけをクリックしていることも判明しました。トップランキングの検索結果をクリックするのは人の性ともいえますが、ランキングが低いせいで見落とされている優れたアプリも多々あるわけです。こうした例は、プラットフォームへの参加が遅かったせいでユーザーベースや認知度を高められず、オーガニック検索の結果ランクを上げられなかったことが原因と考えられます。
つまり、新規参入のアプリ開発者の場合や、経験のある開発者でも新しいアプリをローンチする場合には、競合ひしめくジャンルであればとくに、オーガニック検索で台頭するのは難しく、時間もかかります。共同マーケティング、メールマーケティング、コンテンツマーケティングなどは効果的な戦略ですが、確度の高いリードをアプリへ誘導するのは依然として困難かもしれません。
広告を使って目立たせる
アクティブにアプリを探しているマーチャントが確度の高いリードであることはわかっています。アプリストアで広告を開始することで、そのようなマーチャントに直接アプリを届けるチャネルをつくりました。既存アプリの成長を加速させるのに優れた方法であると同時に、オーガニックランクを上げるための牽引力が欲しい新規アプリにとっては、とくにパワフルに機能します。
ベータユーザーもこの点に共感しています。
ShopifyアプリFirepushの創設者であるTomas Kacevicius氏のフィードバックをここで共有します。
「まず、Shopifyアプリストアでの広告によって、インストール数が倍になりました。それが売上とオーガニックランキングの向上につながっています。また、インストールあたりの広告コストは今までに使ってきたほかの広告ネットワークと比べて3分の1程度でした」
しかし、ほかの物事と同様に、広告から素晴らしい結果を引き出すためには戦略とベストプラクティスが必要です。以下、この新しいマーケティングチャネルを使いこなして最良の結果を得るための方法を共有したいと思います。
Shopifyアプリストアの広告活用術
アプリストアの広告が一般利用可能になったので、ビジネスへのインパクトを最大化する具体的な方法を見ていきましょう。ベータユーザーからの直接アドバイスも共有します。
最初の広告を始めるには、パートナーダッシュボードへ行き、「アプリ管理>広告>広告を作成する」をクリックします。
ここから、広告の詳細を決めていくために、キーワード戦略などを指定していく必要があります。
ステップ1:キーワード入札
Shopifyアプリストアの広告は、特定キーワードのオークションによって運用されます。広告を作成する際、入札したいキーワードを指定します。ユーザーがアプリストアでそのキーワードを検索すると、オークションが発生し、広告主がそのキーワードへの入札を競います。そのオークションの勝者が広告を表示できます。コストはユーザーが広告をクリックした場合にのみ生じ、クリック単価はオークション時の入札額となります。
入札するキーワードの選定自体が戦略であり、キーワードを決める際に考慮すべきことの概要を広告のドキュメントでご確認いただくことをお勧めします。
関連性の重要性
理解しておいていただきたい重要な点が、広告の関連性です。より良いユーザーエクスペリエンスと広告主の高いクリックスルー率を実現するために、Shopifyは価格ダイナミクスによってキーワードにもっとも関連性の高い広告に対して報酬を与え、広告の関連度を最適化します。
つまり、関連性の低い広告が関連性の高い広告と競合するためには多くの費用を必要とし、関連性がとても低い広告は、投資する広告費用にかかわらずまったく表示されません。たとえば、4つの広告が同じキーワードに入札している場合、関連性が一番高い広告がもっとも低いクリック単価となります。
アプリ開発会社Growaveのマーケティング責任者のKalys Salmakbaev氏は、不適切な入札について注意を呼びかけています。
「わたしからのアドバイスは、マーチャントがあなたのアプリをインストールするのに役立つキーワードが何なのか、正しく見つけるためにお金を使おう、ということです。ブランドの認知を高めたいだけという場合であっても、関連性の低いキーワードを入札する前に再度考えましょう。それは確かに役立つかもしれませんが、確実にコンバージョン率を下げ、コストを上げます。個人的には、ニッチにフォーカスして、広告の力とほかのマーケティング戦略を使って競合と戦うことをお勧めします」
ニッチを見つける
ニッチを見つけることはShopifyアプリストアで目立つためのもっとも戦略的な方法の1つです。キーワード入札の戦略として、自分のニッチを知ることはいっそう重要になります。
考えつくすべてのキーワードに費用を注ぎ込むのではなく、あなたの業界に対して高い関連性と合理性があるキーワードにフォーカスすることが、広告予算の使い方として適しています。ユーザーは特定のワードを何らかの意図をもって検索します。ランダムにキーワードを狙うのではなく、そのユーザーの意図にフォーカスしましょう。
自分のアプリのニッチと,そのニッチのユーザが検索に使うフレーズの種類を理解することは,ポテンシャルの高いユーザーをターゲティングするのに役立ちます。
戦略的におこなう
キーワード選定で大切なのは、戦略的であることです。自分が達成したいことは何か、どんなユーザーを引きつけたいのか、そのユーザーたちはアプリストアで何を検索しているかを理解してください。そうすることで広告予算を有効に活用できます。
キーワード戦略を実行に移したら、次はその結果を追跡することが重要になります。
8月11日最新機能発表
Shopify App Storeでの広告の管理・最適化をより簡単にする新機能「おすすめキーワード」が追加されました。
おすすめキーワードとは、パートナーがキーワードを追加すると、キーワードのレコメンデーションが提供されるようになりました。これらのレコメンデーションは、オーガニック検索のパフォーマンスやアプリカテゴリなどに基づいて生成されます。
ステップ2:分析機能でパフォーマンスを追跡
キャンペーンの結果を追跡することで、入札戦略の手直しや改善が可能です。そのために必要な分析指標はすべてパートナーダッシュボードで確認できます。入札額を上げるべきか下げるべきかを決めるのに役立ち、インストールあたりのコストがわかり、価値の高いキーワードを特定できます。
ダッシュボードで利用できるレポートの中に、とても役に立つキーワードレポートがあります。広告を見たときにユーザーがどんな検索ワードを使っていたかを示します。キーワード管理で広告を最適化するのに役立つだけでなく、アプリリストを最適化するためにどんなワードを使えばいいかわかるため、オーガニックランキングにも貢献します。
利用できるレポートを深く理解することで、戦略の細かい調整が可能になります。以下では、キャンペーンから気づきを得るためにレポートを活用するためのコツをご紹介します。
キャンペーンを整理する
データが多すぎると、どこから始めたらいいかわからなくなることがあります。キーワードを整理すれば分析に役立ちます。キーワードを異なるキャンペーンごとにセグメントして、各キーワードのテーマごとにコンバージョン率を把握しましょう。
継続的にモニタリングする
レポートとパフォーマンス内容に対してつねに目を光らせていることが成功の秘訣です。アプリ開発会社Proof Factorの共同創設者で、ベータユーザーのZubair Ahsan氏はその理由を次のように説明しています。
「ほかのアプリ開発者は、あなたの広告が表示されなくなるまでキーワードを競り上げることができます。今まで多少のコンバージョンがあったのに、入札から弾き出されてしまった場合、あなたは入札額を上げようとするでしょう。しかし、関連性のないアプリが非常に高い入札額で攻撃的にあなたのキーワードを狙ってくることもあります。この場合、入札競争に参加するのは意味がありません。時間の経過とともに、関連性の低い広告にはフラグが立てられて関連スコアが下がり、そういった広告は表示されなくなります」
以前に成功したやり方があるとしても、パフォーマンスをつねに追跡して分析することがキャンペーンを効果的にするうえで大切です。
今後は?
Shopifyアプリストアの広告は今年開始したばかりです。現在は広告主が広告を有料プランのコンバージョンに結び付けられるようなソリューションに取り組んでいて、これは広告費用対効果(ROAS)を算出するのに役立ちます。また、ユーザーのオンボーディングを改善する方法も見つけやすくなります。
このソリューションは近いうちにリリースされる予定です。広告主のみなさんからのフィードバックは、このプログラムを改良していくうえで今後も必要です。
アプリ成長のための新しいマーケティングチャネル
アプリストアの広告は、マーケティングの新しい武器になります。今後新機能も登場しますので、開発者向けChangelog、または、ヘルプセンターでShopifyアプリストア広告の詳細をご確認ください。
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