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ノートパソコンで小規模ビジネス向けローンの申し込みを行っている女性。

ネットショップの送料の決め方完全ガイド:利益の出る配送戦略を学ぼう

Eコマースの勢いはかつてないほど増しています。テクノロジーの進化,そしてコロナ禍の影響により、人々の買い物の仕方やビジネスの方法が変化しています。

わたしたちの調査によると、半数以上の消費者が店舗内でのショッピングに不安を感じていて、パンデミック後はネットショッピングにシフトしています。そしてこの変化は、長期的な行動変容を生み出しつつあります。

Eコマースの成長を導く課題の1つが、配送です。ビジネスオーナーとして、配送・配達を気にかけるのは自然なことです。注文が入ったらすぐ商品をピックして梱包し、発送するところまですべて自分でやるとしても、商品状態良好なまま時間通りにお客さまにお届けするには、配送業者を頼るほかありません。

配送業者は顧客体験において重要な役割をもち、あなたのビジネスに対するお客さまの印象を決定付けさえします。そこで、配送戦略を自分の手中におさめる方法をいくつかご紹介します。

今回お届けする内容

なぜ適切な配送戦略が必要なのか

よくある話をしましょう。新規のお客さまがあなたのネットショップを訪れ、気に入った商品を見つけ、納得の価格なのでカートに入れました。さて、チェックアウトのページに進むとここが問題です急に配送料が表示され、購入をやめたくなります。

妥当な価格と思っていた商品が、急に割高に見えてくるのです。続いて何が起こるでしょうか。

  1. 価格は上がったが、購入手続きに進む。
  2. カートを放棄してあなたのネットショップを去る。

ほとんどの場合、買わずに立ち去る結果となるでしょう。Baymard Instituteの研究によれば、「予想外の送料」はカゴ落ちの一番の理由となります。

こうした理由から、配送というのは単なるビジネスコストなのではなく、会社全体に影響する戦略装置であることがわかります。適切な配送戦略をもつことで、次のことが可能になります。

  • カスタマーエクスペリエンスの向上:配送に関する期待値を戦略的に明示することで、安定したポジティブなショッピング体験をお客さまに提供できます。コロナの影響や災害、業者の遅延、繁忙期などで配送が遅れる場合、お客さまに対して透明性を維持することが大切です。
  • 平均注文額(AOV)の向上:プロモーションやセールによって送料を下げることは、購入アイテム数の増加につながり、効果的に平均注文額を上げることができます。たとえば、期間限定のオファー、または送料無料になる最低注文額を設定することなどが考えられます。
  • ビジネスの拡大:国際的な配送戦略により,販売対象を世界中に広げ,ビジネスを拡大させることができます。
  • コンバージョン率の向上:適正と感じられる価格で何を期待できるかわかっている場合、人は購入意欲が高まります。販売を促進するためのオプションを提供しましょう。たとえば、配送業者の指定、配送日時の指定、ローカルデリバリーやカーブサイドピックアップといった出荷方法の指定も考えられます。

料金を配送戦略のコア要素にする

送料としていくら課金するかは配送戦略の重要な要素であり、コンバージョン率と利益率に直接影響します。Eコマースの一般的な価格戦略を確認しておきましょう。

  1. 送料無料:すべての注文で送料無料とするマーチャントもいれば、条件付きで無料にするケースもあります。たとえば、1万円以上の購入で送料無料というように。
  2. 実費を請求:この場合は大抵、リアルタイムに配送業者の料金を反映して、1円にいたるまで正確に表示します(例:1,045円
  3. 定額送料:すべての注文に対して固定料金を適用することも可能です。「日本国内の配送はすべて送料1,000円」というのが一例です。

配送戦略その1:送料を無料に

米国では、中小規模のオンライン小売業の21%がつねに送料を無料にしています。無料といっても本当に送料がタダになるわけではなく、コストは販売者が肩代わりします。

利幅によっては、送料無料が合理的な場合もあるでしょう。自信をもってこのアプローチをとるには、事前に消費者の情報を知っておく必要があります。一般的には、条件なしで送料を無料にする戦略は利益率の大きい商品の場合に適しています。商品価格にコストを含ませることができるからです。

「無料といっても本当に送料がタダになるわけではなく、コストは販売者が肩代わりします」

新しい事業をはじめるなら、配送戦略利益率を確認し,競合のことも調べてみましょう。彼らの戦略を真似する必要はありませんが,考慮することは重要ですし、ビジネスオーナーとして利益的な面で安心できるオファーを考えてください。テストをおこなうなら、まずは最低購入額という条件付きで送料無料を提供しましょう。

このレートで商品を販売しながら、今後の配送戦略に活かせるデータを集めることもできます。どんな人がお客さまか? どこに住んでいるのか? 何を買っているか? 平均注文額は? 配送に一番コストがかかる商品は何か?

次に、平均注文額への影響力を確認していきます。無料配送のオファーによって金額は上昇しているか? もしYESなら、ROIと利益率を確認し、NOならば商品価格を上げるか、最低購入額を変えるか、ほかの配送戦略を検討します。

送料を無料にしても利益を確保する方法

利幅を知る

送料を無料にできるかどうかは、2つの数字にかかっています。注文の配送コストと、その注文から得られる利益です。将来の注文のすべてについて予測することは困難ですが、現在の平均注文額と主流になっている商品の配送コストを確認することはできます。そこから概算して、送料無料を提供できるかどうか、現状での実現可能性が見えてきます。

ノート:もしShopifyを使用しているなら、個々の商品に直接コストを追加することができ、それぞれの利幅を確認できます。これらの情報は、配送やプロモーションの戦略的決定に役立ちます。

価格戦略に反映する

あなたのジャンルで送料無料が競争力として必須になるなら、商品価格にコストをのせることが利益を残す戦略の1つとなります。価格戦略にはさまざまな要素が影響することを思い出してください。配送コストを組み入れることは、そのうちの1要素に過ぎません。ニッチや業界内の競争力について考慮することも必要です。

平均注文額を上げるために送料を無料にする

一定額に対して送料を無料にする戦略として一般的なのは、売上を得ながら平均注文額を把握し、その平均額よりX%多いすべての注文に送料無料を適用するやり方です。

たとえば、以下の合計額の注文があったとします。

8,500円、11,000円、7,100円、6,500円、10,500円

全体を合計して売上総件数(この場合は5)で割ると、平均注文額が計算できます。今回は8,720円になりました。ここから考えると、10,000円以上の注文に対して送料無料を適用できそうです。こうすることで注文金額の上昇が後押しされ、送料のコストを部分的にカバーできる追加利益が確保できます。

あるビューティー&ヘアケアブランドが、送料無料の最低購入額を80ドルに設定していました。大半のお客さまは配送画面まで進んで、支払いの段階で離脱していることがわかりました。高い配送料がネックになっているようです。そこで、送料無料の条件を45ドルに引き下げました。この金額は、カゴ落ちの平均値から割り出しています。その結果、収益が2倍になり、販売数は3倍ほどに達しました。

梱包の最適化

パッケージの重量は、送料に大きく影響する要素ですが、幸運にもあなたがコントロールできる部分です。商品アイテムを損傷なしで目的地に届けるのに必要なパッケージはどの程度のものかをよく考えましょう。

デリケートなアイテムの場合、保護用の段ボールなどで重いパッケージになるかもしれませんが、衣類のような商品であれば軽い素材の梱包によって送料を節約できます。USPSなどの業者が提供している無料パッケージも、マーチャントにとって便利です。

競争力の高い送料設定

持続的に送料無料を提供するには、個々の配送の費用をおさえることが大切です。大半のオンライン小売業にとって、最大支出は結局のところ送料なのです。あなたのエリアで小売価格より安く送れるオプションやサービスがないかリサーチして、節約できるところはしましょう。

短期的な送料無料キャンペーン

年間を通じて送料無料を提供するのがむずかしい場合は、売上を短期的に増加させる販促手段として考えてみましょう。たとえば、繁忙期には送料を無料にできないなら、落ち着いた時期に、古い在庫を一掃するため送料を無料にして商品を値引きせずに販売します。そして、ホリデーシーズンには追加料金をとる配送業者もあるので、この時期はコストを増加させないために送料無料のキャンペーンをやめます。

一部商品のみ送料無料にする

家具などの大きい物や特別重たい商品は、全体の戦略にうまくおさまらないこともあります。こうしたアイテムの配送コストはとても高く、利益を大幅に削るからです。個々の商品が実際にいくらの配送費になるのか、そして競合がどのように配送しているかをリサーチし、あなたのビジネスにとって最適な平均注文額や利益率を把握しましょう。

すべての注文で送料を無料にするか、それとも最低注文額を設けるかは、利益率とニッチの度合い、そして競合のやり方にかかっています。

扱う商品が高級品やハンドメイドの一点ものという場合は、配送や取り扱いのコストを余計に組み込んでもあまり問題にはなりません。多くのお客さまはそのことに気づかないでしょう。

しかし、競合ひしめくマーケットで送料無料と低価格が当たり前という場合には、配送費をカバーするために商品価格を上げるのは得策とはいえません。お客さまは商品価格が高いことにすぐ気づきます。こういうときは、全体的に異なるオプションを検討するか、大半の商品アイテムの配送コストに耐える必要があります。

ノート:Shopify配送プロファイルを使用すると、戦略は明快なものになります。特定の商品、ロケーション、エリアの配送レートが自動で調整されるように設定できます。

配送戦略その2:実費を請求

送料無料は提供できない、またはすべての配送のオプションにはできないという場合は、商品の配送にかかる正確な金額を請求することが、お客さまのニーズにフィットした戦略となります。

たとえば、商品を特定の日付前に届けてほしいお客さまは、スピード配送のために追加の2,000円を喜んで支払うでしょう。一方、待つ時間が長くなってもお金を節約したい人なら、配送日数が少し長くなる配送方法が500円で選択可能なら、コンバージョンする確率が高まります。

Queen Majesty Hot Sauceはこのアプローチを採用しています。チェックアウト画面でお届け先を選択すると、自動でコストが計算されます。

リアルタイムの価格を計算できると、お客さまの信頼を得ることにつながります。こうした計算システムは、あなたが配送費用をつり上げたり、商品コストに送料を算入したりしていない証明となるのです。

また、こうしたオプションは、重たい品やサイズの大きい品など、送料無料にしにくい商品に適しています。

ただし、配送料は高くなりがちです。もしお客さまが別の場所で同じ商品を発見し、価格は高いが送料込みになっていた場合、その競合に流れる可能性があります。送料について最適な割引価格を交渉/提供できる会社とパートナーになることが重要です。

配送戦略その3:送料を定額に

3のオプションは、すべてのパッケージで固定の料金、または重量や注文額のレンジに応じた固定の送料を提供することです。たとえば、観葉植物を販売しているThe Sillは、送料が定額です。レートは注文金額に対応します。

こうした定額料金メソッドでは、荷物の配送にかかる平均コストをあらかじめ算出しておくという準備が必要になります。どちらにしても、大幅な過小請求や過剰請求にならないように注意しなければならないので、これはベストプラクティスになるでしょう。

適切と思われる固定料金にたどりついたら、それは実際のコストをいくらか上回る(または下回る)金額になっているはずですが、最終的にはバランスがとれるでしょう。

定額配送の性質として重要な点は、自分に合ったレートを見つけることです。注文額、重量、または何かほかの指標を使うべきなのか、テストして確かめる必要があります。

代替の配送方法を追加する

ECの配送は、もはや配送業者に限定されません。ローカルデリバリーや店頭受取といった新しい方法によって独自の配送管理が可能です。これらのメソッドは地元の消費者を引きつけ、ローカルベースで顧客と結びつく優れた方法といえます。

コロナ禍での経済活動において、企業は対人コンタクトの際に物理的に距離をおく手段を用いるようになりました。消費者は地元の店舗で買い支えするための効率的な方法を求めています。

店舗受取(BOPIS)

外食や店内ショッピングが制限されているなか店舗受取(BOPIS)は、お客さまがオンラインで商品を注文してあなたの店舗に訪れ、素早くピックアップする方法(場合によっては車を降りる必要さえありません)を提供します。このような便利なオプションはポストパンデミックにおいても継続する可能性があります。

「パンデミック後の最初の3ヶ月で40%の消費者がオンライン購入時にカーブサイドピックアップを選択しています」

このトレンドは、「オンラインで購入して店舗で受取」という既に流行していた購入スタイルを引き継いでいます。Signifydの調査によると、2018年にはこの購入スタイルがオンライン収益の最大30%を占めた小売事業者もあり、28%の事業者はオンライン売上の最大20%になる可能性があると言っています。パンデミックによって買い物習慣がどう変化したかを示すわたしたちの消費者動向レポートでは、パンデミック後の最初の3ヶ月で40%の消費者がオンライン購入時にカーブサイドピックアップを選択しています。また38%がこの購入スタイルを継続すると回答しています。

ノート:Shopify POSで店舗受取を選択すると、送料は自動で無料になります。これは、コストをかけずに「送料無料」を提供する方法の1つといえます。

ローカルデリバリー

ローカルデリバリーは、近所のお客さまに直接商品を届けることで配送業者を使わずに済ませるもう1つの方法です。わたしたちの調査では、パンデミック後の最初の3ヶ月で31%の消費者がローカルデリバリーを使用していて、この流れがすぐに止むようには見えません。

配達を自分で管理できて配送費用を削減できるだけでなく、送料を無料や低料金にすることで地元の売上を促進できる点においてこの方法は優れています。実店舗をもっていない場合は、倉庫を利用して、そのロケーションの近辺エリアに配送できます。

ノート:オンラインストアでローカルデリバリーを設定するには? まずローカルデリバリーを提供できるか確認し、ログイン後にローカルデリバリーまたは店舗受取をShopifyストアの「設定」>「配送と配達」から設定します。

返品ポリシーを備えたECビジネス

世界一の素晴らしい商品ページを用意したとしても、業界やジャンルにかかわらず、購入した商品が自分向きではないとお客さまが判断することはあり得ます。返品の原因があなたや商品自体と関係なくても、手続きに応じる必要が生じます。

返品時の送料をいくらにするか正しい答えはありませんが、基準となる考えがいくつかあり、それらは3つの配送価格オプションを反映しています。

  1. 返送にかかる実費を請求する
  2. 返品送料を無料にする
  3. 固定の返品送料を請求する

わたしたちの分析では、36%の消費者は無料で返品したいと考えています。しかし、これではコスト効率が良いとはいえず、また新規ビジネスや返品率が高い事業の場合には不可能です。

返品配送戦略をどう扱えばいいのか、Intuitive Shippingの共同創設者であるSharon Reedsに、専門家の観点から話を聞きました。Sharonによれば、新規ビジネスや返品率を探り始めたばかりのビジネスの場合、固定料金が戦略的には最適です。コストを全額負担する必要なく、お客さまに返品の安心と期待を提供できるからです。

「返品送付を固定料金にすることは、発送時の送料を定額にするのと似ています」とSharonは言います。「この戦略では、負担が偏ることなく、事業者と消費者とで分担されます。これは良い妥協案であり、お客さまは購入前に、返品した場合いくらになるかを正確に知ることができます。」

どの返品オプションが自分に合うかを知る方法は、いくつかの主要な質問に集約されます。

  • どのオプションが経済的に実現可能か?どの程度の返品を見込んでいるか、利幅や配送コストはどれくらいかを考慮します。もし寛大な返品ポリシーをもっているなら、返品率は高まるでしょう。
  • どのオプションをあなたは提供したいか?特定した可能なオプションのなかで、競合的な環境とカスタマーサービス戦略に着目します。

返品送料をいくらにするか導き出せたら、返品を受け取るプロセスに移ります。返品を受けるからには、返送についてのコミュニケーションをお客さまに提供し、配送ラベルを利用できるようにします。

返送コストをお客さまと分担するときは、アイテムが返送される前にすべての事柄が明確になっているか確かめるステップを追加する必要があります。

「返送料を一部負担する場合は、メールを送るステップを適切に組み込むことをお勧めします。なぜかというと、正直なところ、お客さまは購入前に返品条件などを読んでいないからです」とSharonは言います。「こう考えてください。事前にプリントされた返送ラベルを同梱すると、お客さまは返送料はかからないものを推測します。返品後に返金された金額から送料分が差し引かれていると、『お金が消えた?』と不思議に思います。」

そこで、追加コミュニケーションによって明快で優れた包括的なエクスペリエンスを提供します。

「追加の確認ステップを設けて、返金額から返送料が差し引かれることを伝えます。こうした追加ステップは、カスタマーエクスペリエンスを向上させるうえで役立ちます。」

あなたのビジネスに最適な配送戦略とは

送料としてお客さまに請求する金額は、コンバージョン率と全体の利益に大きく影響してきます。あなたのブランドとお客さまにとって最適な方法を選択する必要がありますが、ベストな戦略を決定するまでに多少テストをしていくことになるでしょう。

この記事のために協力してくれたMike McGuireAdam Rogersに感謝します!

原文:Giovanna Fariello イラスト:Rachel Tunstall 翻訳:深津望

よくある質問

なぜ適切な配送戦略が必要?

Baymard Instituteの研究によると、「予想外の送料」はカゴ落ちの一番の理由となります。配送というのは単なるビジネスコストなのではなく、会社全体に影響する戦略装置なのです。

配送戦略を考えることで、何が可能になる?

カスタマーエクスペリエンスの向上、平均注文額(AOV)の向上、ビジネスの拡大、コンバージョン率の向上を見込むことができます。

一般的な送料は?

送料無料、実費を請求、定額送料の3つが一般的な送料の戦略です。

通常の配送方法以外には何がある?

ローカルデリバリーや店頭受取を提供することもできます。

返品するときの戦略は?

返送にかかる実費を請求する、返品送料を無料にする、固定の返品送料を請求するの3つが考えられます。

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