副業の確定申告は20万円以下は不要です。しかし,条件によっては副業収入が20万円以下の場合でも確定申告が必要です。各種条件や副業の確定申告方法、確定申告をしなかった場合のペナルティなど、副業をしている方に知っておいていただきたい知識をわかりやすく解説します。
本記事の後半では、パターン別で、確定申告必要・不要の事例や、会社員の確定申告に関する質問と回答も掲載しています。「自分はどの条件に当てはまるのかよくわからない」とお思いの方は、ぜひ読んでくださいね。
目次
副業の確定申告
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確定申告が必要な所得の金額
国税庁の公式Webサイトには「年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の方は、確定申告は不要です。医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)などの適用を受ける場合は、20万円以下の所得も含めて確定申告を行います。」とあります。これを箇条書きにすると、
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万1円〜の場合は確定申告が必要
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の場合でも、医療費控除とふるさと納税(寄附金控除)を実施する場合は確定申告が必要
以上のようになります。
所得とは
「年末調整を受けた給与所得以外の所得」とは何を指すのでしょうか。年末調整をした本業の給与以外の収入から経費を差し引いた所得とお考えください。以下に仕分けている10種類の所得について、確定申告を実施して納税をしなければなりません。
1.給与所得
正社員(総合職、一般職)、派遣社員、アルバイト、日雇いバイトなど
2.退職所得
社員の退職金など
3.事業所得
事業として行う仕事の所得。例えばECサイトでのモノやサービスの販売、C2Cマッチングサイトなどで行ったスキルシェアリング、ユーチューバー、クリエイターエコノミーサイトでのモノやサービスの販売、フリマアプリでの販売、アフィリエイト収入、ライター・翻訳通訳・デザイナー・プログラマー・イラストレーター・フォトグラファー・コンサルタント・コーチング業などに従事して得た所得など
4.不動産所得
物件の賃貸や土地の貸付など
5.譲渡所得
土地や建物の売却、株式の売買など
6.利子所得
預金や投資信託の利子など
7.配当所得
株や出資の配当金など
8.山林所得
山林の伐採など
9.一時所得
生命保険の満期保険金、賞金受け取り、競馬の払戻金など
10.雑所得
これまでの所得区分に含まれていなかった所得。公的年金・個人年金の受け取り、仮想通貨やFXの取引など。
所得とは
ここまでに「所得」という言葉が多数出てきました。この「所得」とは、「収入」と異なるため注意してくださいね。
この説明のサポート資料として、国税庁のこちらのPDFページがわかりやすいためぜひご覧ください(国税庁:スマホで確定申告(副業編))。
「所得」はあなたの売り上げなどから経費などを差し引いたものであり、「収入」はあなたの売り上げや経費などの全てです。所得の金額は、あなたの総収入金額の合計から経費などをマイナスすることで算出できます。所得を算出するために、収入と経費の計算をします。
副業の確定申告をしなかった場合
副業の確定申告は、国税庁が定めた条件に従って、必要な人は実施しなければなりません。不要な人は、実施する必要がありません。問題になるのは、必要だが実施しなかった場合です。
国税庁が令和2年11月に発表した「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、同庁は4種類の調査として、富裕層に対する調査・海外投資等を⾏っている個人に対する調査・インターネット取引を⾏っている個人に対する調査・無申告者に対する調査を強化しています。
結果として、富裕層に対する調査は申告漏れ所得金額と追徴税額はともに過去最高であり、海外投資等を⾏っている個人に対する調査は1件あたりの追徴税額は所得税実地調査全体の2.8倍であり、インターネット取引を⾏っている個人に対する調査は追徴税額はこれまでで最も高い金額となり、無申告者に対する調査は1件あたりの追徴税額は過去最高でした。つまりこの結果から、収入を得ることのできる経路が多様になったことを踏まえてか、国税庁としても脱税を見逃さないよう調査を強化していることが伺えます。
確定申告が必要でありながら実施しなかった場合は、以下のような事態になります。
1.税務署から連絡が入る可能性がある
税務署の査察官から電話がかかってきて、指導が入る可能性があります。昔の申告書を作成し、提出しなければなりません。そして、罰金(ペナルティ)として無申告加算税や延滞税を支払います。
2.税務調査が入る可能性がある
強制調査、あるいは任意調査での税務調査が入ることがあります。強制調査は、裁判所の令状を持参した税務署の税務署の査察官により行われる、脱税の疑いがある納税者に実施されるものです。任意調査は法人・個人に行われるもので、税務署からの電話連絡あるいは通知書をもとに訪問日時が知らされ、税務署の査察官がやってきます。
3.加算税や延滞税、重加算税の納付をする
要するに罰金です。加算税には2種類あり、期限までに申告をしなかった場合は無申告加算税、期限までに申告をしたが本来の税額より少なかった場合は過少申告加算税です。前者は追加納付額の15%、後者は追加納付額の10%です。
事実の仮装や隠蔽があり悪質と認められた場合は重加算税がかけられ、過少申告加算税だった場合は追加納付額の35%、無申告加算税だった場合は追加納付額の40%です。
副業開始の申請や連絡は不要
所得に対する確定申告は、必要な場合と不要な場合があります。しかし「副業を始めたこと」について、申請や申告、開始の連絡などを実施する必要はありません。そのような手続きは存在しません。
しかし確定申告の際に青色申告を実施したい場合は、青色申告承認申請書を税務署に提出しなければなりません。申告をする年の3月15日までが提出期限です。
副業の源泉税に注意
副業で得た収入は、源泉が引かれて手取りが減っている場合があります。しかし、源泉税は確定申告時に再計算を実施することで所得税の還付として戻ってくることもあります。
確定申告の際に計算し、払い過ぎ(納め過ぎ)がわかった場合は還付金として戻ってきます。逆に、計算をした結果、支払っていなかったために支払いが必要であれば所得税を支払います。給与の支払いを受けたときに源泉税が引かれていた場合でも、手取りが理不尽に減ったわけではありません。
源泉税を支払っていなければ確定申告での計算を経て支払うことになりますが、支払い過ぎていれば戻ってきます。これが確定申告の還付です。
副業で給与を受け取った際、あなたに給与を支払った会社側が源泉徴収をしているか、していないかを確認しましょう。支払調書を受け取っていれば正確ですが、支払調書の作成と送付は義務ではないため、作成・送付する会社と、しない会社があります。
収入に対して10.21%の税率で源泉徴収された金額を受け取っていれば、確定申告を経て還付金を受け取ることができる可能性があります。
確定申告とは
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確定申告は、自分が支払うべき税金の金額を明らかにするための計算です。収入から経費を差し引いて、所得に応じた税金の額を決定し、納付します。
副業にかかる税金
個人の副業にかかる税金は、所得税と住民税です。しかしこれは副業だからかかる税金ではなく、本業などの会社から受け取る給与収入にもかかっています。
所得税は、1年間の所得に対して、5〜45%の税率をかけて計算します。累進課税なので、より多く儲かった人ほど税率が高くなります。
住民税は、所得に対して10%の税率がかかります。その税率以外に、均等割が一律5,000円かかりますが、この金額は自治体に応じて異なります。均等割は、例えば東京都港区と渋谷区は、特別区民税は3,500円、都民税1,500円、合計で5,000円ですが、神奈川県横浜市は市民税4,400円、県民税1,800円、合計で6,200円です。
副業にはその他に、事業税がかかる場合があります。これは事業規模が大きいこと、法定の業種に飲みかかります。税率は3〜5%です。本記事での詳しい説明は避けます。
白色申告と青色申告
白色申告は、青色申告よりもより簡単でシンプルな帳簿をつける申告方法です。青色申告は、白色申告よりも複雑な帳簿をつけなければなりませんが、節税のメリットは青色申告の方が大きいです。
所得の区分が事業所得・不動産所得・山林所得の場合、確定申告で青色申告を選択することができます。青色申告開始時には3月15日までに承認申請書の提出が必要なので忘れずに提出しましょう。例えばB年の3月15日に承認申請書を出した場合、B年の確定申告を青色申告で提出できます。つまりB年の翌年であるC年の2月16日〜3月15日の確定申告の際に、青色申告ができます。B年の前年であるA年分の確定申告をB年の2月16日〜3月15日に実施する際には青色申告ができません。ご注意ください。
青色申告のメリット
青色申告には主に4つのメリットがあります。1つ目は、65万円または55万円、もしくは10万円を経費にすることができる点。2つ目は、副業の事業所得に損失が出たら、給与所得などと相殺をして減税できる点。3つ目は、損失の繰越ができる点。そして4つ目は、少額減価償却資産の特例(本来は10万円未満だが、30万円未満までその年の経費に入れることができる)を有する点です。
帳簿は複雑ですがメリットが多く、仮に複雑な帳簿付を自分ではできないからと会計ソフトを導入したり税理士を雇ったりする場合でも、その費用をまた経費にすることもできるため、自身の副業の事業区分が青色申告に該当する場合は青色申告を実施した方がいいのかもしれません。
経費の計算
副業で利用した経費は経費として計上しましょう。国税庁のこちらのページ(国税庁:スマホで確定申告(副業編))は経費についての記載もわかりやすく、おすすめです。長くなるためここに並べるのは省きますが、国税庁の該当PDFページは見やすくわかりやすいためぜひこちらを参考にしましょう。国税庁のページですから、税金に関して最も信頼のおける出典です。
経費にならないものは、使用していないもの、プライベートの使途です。例えば年末に交通系ICカードにチャージした交通費や購入した消耗品などは、いずれも「チャージしただけで使っていない(しかし使う予定)」、「買っただけで使用していない(しかし使う予定)」のであれば使用していないため旅費交通費や消耗品費としての計上はできません。
医療費控除とふるさと納税
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副業での確定申告を検討している方にぜひ追加で実施していただきたい、医療費控除とふるさと納税を紹介します。
厚生労働省や国税庁の公式Webサイトだけでなく、書籍や様々なWebサイトでも詳しく説明されているため、ここでは概要を解説します。
医療費控除とは
医療費は、医療費控除の明細書を使って医療費控除を行いましょう。体調を崩して病院にかかることが多かった場合でも、治療に使った金額が10万円を超える場合は医療費控除の対象となります。ただし予防に使った金額は対象外です。
所得(収入から経費を引いた「所得」です)の合計額が200万円以下であれば、年間の医療費が所得の5%を超えていた場合、医療費控除ができます。
また、セルフメディケーション税制により、「スイッチOTC医薬品」を年間12,000円以上購入した場合、超えた部分を所得控除できます。該当医薬品の品目は幅広く、令和4年4月には品目追加も行われました。「頭痛や月経の際に服用する鎮痛剤、風邪薬、アレルギー関連の薬などを定期的に購入はするけれど病院にはあまり行かないため医療費はかからない」という方は可能な範囲で「スイッチOTC医薬品」を選んで購入し、ぜひ医療費控除を行いましょう。家族分をまとめることもできるため、家族のレシートを保管しておき、家族の中で最も所得が高い人が医療費控除を行うといいです。
ふるさと納税とは
ふるさと納税はお得なのでぜひ実施し、確定申告をしましょう。ふるさと納税は、寄付金の金額からマイナス2,000円をした金額を、寄附金控除にできます。実質2,000円の負担で数多くの返礼品の中から好みのものを受け取ることができ、さらに、税金が所得税と住民税の還付や控除となります。
寄付先が5箇所以内かつ確定申告を実施しない方であれば、ワンストップ特例制度を利用できます。確定申告が不要で、実質2,000円負担で返礼品を受け取り、税金の還付や控除を受けることができます。
返礼品には、食材や食品から家具・旅行・寄付など多様な種類の品々が揃っています。ぜひふるさと納税を検討してくださいね。
パターン別、確定申告が必要 or 不要な例
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副業としてコンビニでアルバイトをしています。
仮に一度の勤務が時給1,500円で1日8時間勤務であれば、その一度の勤務で得られる金額は12,000円です。1ヶ月で48,000円、12ヶ月で576,000円となります。
副業の給与収入が20万円を超えているため、確定申告が必要です。
フリマアプリで着ていた服や読んだ本を販売しました。
フリマアプリで生活用品を売却しても、その売却益に対して税金はかかりません。ただし仕入れた商品を販売する商品売買には税金がかかることがあります。営利目的か否かという点がポイントです。
ただし貴金属や宝石など、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの売却益は確定申告が必要です。
ハンドメイドの洋服やカバンを自分のECサイトで販売しています。
本業では会社員として働きながら、平日の夜や週末を使ってハンドメイド品を販売している方がいるとします。
年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の方は、確定申告は不要です。所得が20万1円〜の方は、確定申告をしましょう。
例えばハンドメイドの洋服やカバンを30万円売り上げたとします。これは収入です。あなたはこの収入のために、洋服を仕立てるための布やカバンを作るための皮革、そして縫うためのミシンや机などを購入、さらにハンドメイド品を販売するためのECサイト制作の費用、これらの金額の合計が20万円かかったとします。つまり、20万円の経費がかかっています。
30万円の売り上げから20万円の経費をマイナスすると、所得は10万円です。あなたの所得は20万円以下なので、「副業の」確定申告は、不要です。しかし、本業の会社員として給与やボーナスを受け取っており、iDeCoとふるさと納税をしているのであれば確定申告が必要です。
会社員ですが、不動産を保有しており、所得を得ています。
家屋の貸付が約5棟以上、マンションやアパートの貸付が約10室以上の場合、事業として確定申告を行いましょう。事業に該当する場合は65万円か55万円、該当しない場合は10万円の青色申告特別控除額となります。
会社員ですが、株式投資を始めました。
売却益や配当を得るために株式投資を始める方が増えています。源泉徴収ありの特定口座を使うと確定申告が不要になります。また、一般NISA口座を選ぶと、最長で5年間、毎年120万円までの株の購入分にかかる売却益と配当が非課税となり、確定申告も不要になります。
源泉徴収ありの特定口座を使っている場合でも、確定申告をすると、損失を3年繰り越すことができます。損失が出てしまった場合は確定申告をして繰り越すといいかもしれません。
会社員の副業まとめ:質問と回答
最後にまとめとして、よくある質問と回答を紹介します。一部、前の段落で解説した内容と重複しています。
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Q1.副業も確定申告はする?
以下の条件に応じて、必要な場合と不要な場合があります。
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万1円〜の場合は確定申告が必要
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の場合でも、医療費控除とふるさと納税(寄附金控除)を実施する場合は確定申告が必要
Q2.副業に気づかれないようにするためにはどうすればいい?
結論を先に申し上げると、本業の会社に副業を気づかれないようにする絶対の方法はありません。気づかれないかもしれず、気づかれるかもしれません。
副業で得ている収入が、雇用契約を締結した副業先から給与として支給されている場合は、本業の会社に副業をしていることがばれる可能性が高まります。
会社員が住民税を納める仕組みを理解してみましょう。
住民税には特別徴収と普通徴収があり,会社員は特別徴収が行われることが法律で義務付けられています。会社員は、特別な事情がない限り、給与から住民税を天引きすることが義務付けられており、これが住民税の特別徴収です。地方税法で定められています。事業者は、法人・個人を問わず、特別徴収義務者として、全従業員の個人住民税を特別徴収しなければならないことになっています。こうすることで脱税を防ぎ、税金の徴収漏れを起こさないようにするためです。
これらのことから、あなたが「雇用契約を締結した会社」から「給与」を受け取ると、本業・副業に関わらず「給与収入を得た(そして副業勤務により給与が増えた)」こととなり、それに応じて住民税の金額が変動します。本業の会社の誰かがそのことに気づいた場合、「税額の増減がある。つまりこの人は、本業で昇格や降格等で給与額に変動があったのか、あるいは本業以外で収入があることから給与額に変動があったのではないか」と察することができます。
言い換えると、雇用契約を締結せず雑所得(副業での儲け)を得た場合は、住民税の納め方を自身で選択できます。
事業所得で確定申告を行う際、確定申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」に、「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」欄があります。ここで「自分で納付(普通徴収)」を選択しておくと、住民税の通知書や納付書が自宅に届くことになり、それらをもとに自身で納税をするため、事業所得をもとに行う住民税納付の金額が会社側にはわからず、気づかれづらくなります。
「絶対に副業がばれない方法」などはないと言えます。ばれないよう万全の策を講じても、身近や本業の社内に勘が良い人がいればばれてしまうこともありますし、本業の会社で勤務をしながら「ばれても構わない」くらいの感覚で副業を続け、確定申告をし続けて、そのままばれない人もいるでしょう。「絶対」のルールや方法はありません。
Q3.副業の準備や開業に伴う経費がかかりすぎて赤字になったら?
副業の内容によっては初期投資が多く必要なものもあります。クリエイティブな仕事に関連すると、ECサイト準備やSNSのための写真、それを撮影するための機材などが必要となります。YouTubeを開設する場合は、カメラや照明を購入します。
このように経費がかかりすぎたことで、収入よりも経費が上回り赤字になった場合、雑所得(副業での儲け)は0円となります。
Q4.副業の確定申告に必要な知識がわかりにくい。用語の意味は?
本記事でも使用した用語を5つ、解説します。
- 年末調整:会社が給与から各種税金などを計算し、過不足を精算するものです
- 源泉徴収:会社が給与から所得税を徴収する仕組みです
- 収入:あなたが得た本業・副業の、税引前の金額を指します
- 経費:仕事に関連して使った費用です。仕事に関して必要だと言い切れる出費を指します
- 所得:収入から経費をマイナスしたものを指します。
【FAQ】会社員の副業まとめ:質問と回答
Q1.副業も確定申告はする?
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万1円〜の場合は確定申告が必要
- 年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の場合でも、医療費控除とふるさと納税(寄附金控除)を実施する場合は確定申告が必要
Q2.副業に気づかれないようにするためにはどうすればいい?
副業で得ている収入が、雇用契約を締結した副業先から給与として支給されている場合は、本業の会社に副業をしていることがばれる可能性が高まります。
会社員が住民税を納める仕組みを理解してみましょう。
住民税には特別徴収と普通徴収があり,会社員は特別徴収が行われることが法律で義務付けられています。会社員は、特別な事情がない限り、給与から住民税を天引きすることが義務付けられており、これが住民税の特別徴収です。地方税法で定められています。事業者は、法人・個人を問わず、特別徴収義務者として、全従業員の個人住民税を特別徴収しなければならないことになっています。こうすることで脱税を防ぎ、税金の徴収漏れを起こさないようにするためです。
これらのことから、あなたが「雇用契約を締結した会社」から「給与」を受け取ると、本業・副業に関わらず「給与収入を得た(そして副業勤務により給与が増えた)」こととなり、それに応じて住民税の金額が変動します。本業の会社の誰かがそのことに気づいた場合、「税額の増減がある。つまりこの人は、本業で昇格や降格等で給与額に変動があったのか、あるいは本業以外で収入があることから給与額に変動があったのではないか」と察することができます。
言い換えると、雇用契約を締結せず雑所得(副業での儲け)を得た場合は、住民税の納め方を自身で選択できます。
事業所得で確定申告を行う際、確定申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」に、「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」欄があります。ここで「自分で納付(普通徴収)」を選択しておくと、住民税の通知書や納付書が自宅に届くことになり、それらをもとに自身で納税をするため、事業所得をもとに行う住民税納付の金額が会社側にはわからず、気づかれづらくなります。
「絶対に副業がばれない方法」などはないと言えます。ばれないよう万全の策を講じても、身近や本業の社内に勘が良い人がいればばれてしまうこともありますし、本業の会社で勤務をしながら「ばれても構わない」くらいの感覚で副業を続け、確定申告をし続けて、そのままばれない人もいるでしょう。「絶対」のルールや方法はありません。
Q3.副業の準備や開業に伴う経費がかかりすぎて赤字になったら?
このように経費がかかりすぎたことで、収入よりも経費が上回り赤字になった場合、雑所得(副業での儲け)は0円となります。
Q4.副業の確定申告に必要な知識がわかりにくい。用語の意味は?
- 年末調整:会社が給与から各種税金などを計算し、過不足を精算するものです
- 源泉徴収:会社が給与から所得税を徴収する仕組みです
- 収入:あなたが得た本業・副業の、税引前の金額を指します
- 経費:仕事に関連して使った費用です。仕事に関して必要だと言い切れる出費を指します
- 所得:収入から経費をマイナスしたものを指します。
おわりに
確定申告や税金に関連する話や用語は難しいものが多く、取り組み始めると全くわからないと思えるようなことも多数あります。しかし副業の確定申告は必ず行いましょう。副業は、空いた時間を活用して社会と自分のために起こしている能動的な活動です。それに伴い得た収入は正しく計算して、納税をしなければなりません。
厚生労働省の調査結果でも副業を希望する雇用者が増加傾向にあることが報告されたり(参考)、世界的にはギグエコノミーなどを活用した副業や兼業者が増加傾向にあったりと、複数企業での仕事を受ける人が増えています。あなたの副業も、正しく確定申告をして、納税をしてくださいね。