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ノートパソコンで小規模ビジネス向けローンの申し込みを行っている女性。

アクセラレーターとは。インキュベーターとの違いは?

(Unsplash: slidebean)

アクセラレーターとは?「インキュベーター」との違いも紹介します。これらの用語を理解するためには、スタートアップ企業に関連する知識があると理解しやすくなるため、スタートアップに関連する用語も紹介しています。

目次

アクセラレーターとインキュベーター

アクセラレーターとインキュベーター

スタートアップ企業および起業家は、アクセラレーターおよびインキュベーターから支援を受けることができます。それぞれ、サポートの段階が異なります。

アクセラレーターとは

アクセラレーターは、既に実用最小限の製品があるスタートアップ企業に対して支援をします。多くの場合、アクセラレーターとなるのはアクセラレータープログラムの提供を主とするアクセラレーター、もしくは大企業です。アクセラレーターはプログラムを提供し、スタートアップ企業と連携を得ます。また多くの場合、スタートアップに対して数ヶ月など短い一定の期限で一定の成果を出すために支援をする、潤沢なリソースや資金を提供する、その見返りにエクイティを得ます。

アクセラレーターは英単語であり、acceleratorと綴り、促進する人や加速するものを指します。機械に関連する文脈で使われる場合やそれを日本語に翻訳する場合は、「加速装置」や「アクセル」と訳します。

インキュベーターとは

インキュベーターは起業家が持つビジネスアイデアの具体的な事業化をサポートすることや、そのためのエコシステムです。起業家はアイデアを持っていますがビジネスとしてはほぼゼロです。その状態に対して、共創や長期的な未来に向けての周囲との関係づくりやビジネス環境づくりに焦点を当てて支援をします。

インキュベーターは支援の見返りとして起業家に対して株式を要求することもあります。しかしスタートアップが株式を提供しないあるいは株式を提供できる段階にない場合、インキュベーターは起業家に対してできる範囲での支援を行いますが、支援には期限などはなく、また、資金も提供しません。

インキュベーターは英単語であり、綴りはincubator、卵の孵化機です。

アクセラレーターとインキュベーターの違いを簡単に説明すると?

インキュベーターはスタートアップのために、アクセラレーターはスケールアップのために、と覚えるとわかりやすいです。インキュベーターはスタートアップ(start up)、つまり起動するために必要な支援を提供し、アクセラレーターはスケールアップ(scale up)、つまり規模拡大のために必要な支援を提供します。

インキュベーターが卵を孵化させる段階ならば、アクセラレーターはひよこを鶏に育てる段階とでも言うのかもしれません。

ただし、本記事ではアクセラレーターとインキュベーターの違いを分けていますが、スタートアップや新規事業のシーンや文脈でさえも明確に定義づけて使い分けられずに用語が使われることもあります。

日経BP社出版「エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか」の中に、「インキュベーター(アクセラレーターともいう)」という表現もあります。書籍の著者はシリコンバレーで投資を続けてきた、書籍紹介文によると「トップクラスのエンジェル投資家」、ジェイソン・カラカニス氏ですが、そのような方でさえもインキュベーターとアクセラレーターを明確に定義分けせず同義語として扱うような事例もあります。

アクセラレータープログラムとは

アクセラレータープログラムとは

(Unsplash: lala-azizli)

インキュベーターが提供するプログラムはインキュベーションプログラム、アクセラレーターが提供するプログラムはアクセラレータープログラムと呼ばれます。

スタートアップ企業がアクセラレータープログラムを受けるメリット

スタートアップ企業はアクセラレータープログラムを受けると、自分たちだけでは手に入れることの難しい各種支援を得ることができます。

また、超有名大企業のアクセラレータープログラムでコネクションを得た、採択率の低いアクセラレータープログラムに採択された、知名度の高いアクセラレータープログラムで一定の評価を得たなどの事実は、信頼性や権威性の低いスタートアップ企業にとって一定の後ろ盾になり得ます。

レガシー企業や大企業がアクセラレータープログラムを提供するメリット

自社内では出なかった、あるいは出せなかったようなMVPやアイデアをスタートアップ企業から得ることができます。有望なスタートアップ企業やその製品の初期段階に関与してコネクションを構築することで、将来のM&A先候補となったり、将来競合になりうる可能性などを低くしたりできます。

アクセラレータープログラムは成功を保証しない

インキュベーターもアクセラレーターも、大きな成長を遂げたスタートアップ企業を支援した実績を有していることがあり、さらに一部のインキュベーターやアクセラレーターは大きく成功しています。

しかし、起業家が著名なインキュベーターやアクセラレーターの支援やプログラムを受ける場合でも、必ず成長・成功が保証されているわけではありません。

世界のアクセラレーターとプログラム

世界のアクセラレーター

(Unsplash: startae-team)

ここで紹介するアクセラレーターとアクセラレータープログラムの内容は、主催者の判断で内容などが変わる可能性があります。各プログラムの最新情報は各自でお調べください。

設立年順に紹介します。

Y Combinator

スタートアップは7%のエクイティと引き換えに15万ドルを得ることができます。2005年に設立され、ポートフォリオは潤沢です。

Startup Bootcamp

2010年にコペンハーゲンで設立されました。スタートアップは3か月のプログラムを受けることができ、6〜8%のエクイティを提供します。パートナーサービスおよび6か月の無料ワークスペースの提供を受け、15,000ユーロを得ることができます。

Entrepreneur First

2011年に設立され、世界6つの都市で3ヶ月のプログラムを提供しています。8%のエクイティと引き換えに155,000ユーロを得ることができます。

日本のアクセラレーターもしくはプログラム

日本のアクセラレーターの特徴は、日本発かつ世界的に有名なアクセラレーターは存在しない点です。代わりに、各領域で各アクセラレーターおよびアクセラレータープログラムが独自にイノベーションなどを目的に活動をしています。

Plug and Play Japan

世界最大級のアクセラレーター/VCであるPlug and Playの日本支社です。

大企業系アクセラレータープログラム

東証一部上場企業の一部が、アクセラレータープログラムを主催しています。

自治体系アクセラレータープログラム

エコシステムやビザを提供できる一部の自治体が、企業等と組んでアクセラレータープログラムを主催しています。

スタートアップの基礎知識

スタートアップの基礎知識

スタートアップ企業やスタートアップエコシステムの基本知識です。

ステージとシリーズ

プレシードシリーズとシードシリーズの段階をシードステージ、あるいはただ単にシードなどと呼びます。この段階で資金を提供する資金提供元をエンジェル投資家と呼ぶことがあります。

シリーズAの段階はアーリーステージ、シリーズBの段階はミドルステージ、シリーズCやDの段階はレイターステージと呼ばれます。シリーズとそれに応じた資金調達額の定義は世界共通で統一されているわけではありませんが、一般的には数百万〜数千万円がシード、数億〜10億円未満がシリーズA、10億円を超えるとシリーズB、数十億円でシリーズC、数百億円でシリーズDと呼ばれます。

インキュベーターやアクセラレーターから生まれたスタートアップ企業

インキュベーター出身で評価額が100億ドルを超えたスタートアップ企業はAirbnbです。評価額100億ドル未満で知名度の高い企業には、StripeやDropboxがあり、いずれもY Combinatorの出身です。

アクセラレーターとは:質問と回答

質問と回答

(Unsplash: proxyclick-visitor)

よくある質問

Q1: アクセラレーターとは?

アクセラレーターは,既に実用最小限の製品がある企業に対してサポートをします。多くの場合,アクセラレーターとなるのはアクセラレータープログラムの提供を主とするアクセラレーター、もしくは大企業です。

アクセラレーターは支援と引き換えにスタートアップ企業との連携を得ます。また多くの場合、スタートアップに潤沢なリソースや資金を提供して支援をする見返りにエクイティを得ます。

アクセラレーターとインキュベーターの違い

アクセラレーターはMVPがある段階のスタートアップ企業に数ヶ月など短い期間で支援を行い、エクイティを得ます。英単語で「拡大」を意味することからもわかるように、ビジネスを急拡大するサポート役です。

インキュベーターはアイデア段階の起業家への支援です。数年〜無期限の長期的な関係構築であり、資金を提供しないこともあります。英単語で「卵の孵化機」を意味することからもわかるように、場合によっては法人立ち上げにも至っていない起業家へ支援を行います。

MVP(実用最小限の商品)とは

MVP(実用最小限の商品)は、すぐにでも市場に提供可能なスタートアップ企業の製品を指します。Accessible(アクセスのしやすさ)、Effective(効果的)、Intuitive(直感的)、Optimized(最適化)、Useful(便利)、以上5つをカバーしていなければならないとされています(参考)。スタートアップ企業や新規事業がリーンに製品を開発提供すること、経営をすることなどが語られる場面で頻出する用語です。

スタートアップ企業とは

スタートアップ企業は、VCやCVCから資金を調達しながら、IPOあるいはM&Aや譲渡を目的に短期間で大きく成長・拡大を目指す企業の呼称です。内閣府や省庁によって定義づけられてはいません。社内の新規事業が企業化した場合はベンチャーあるいはベンチャー企業と呼ばれることが多いです。

スタートアップ企業と中小企業は資本金が異なります。また、中小企業者の定義は資本金と従業員の数によって製造業その他、卸売業、小売業、サービス業毎に中小企業庁によって定義されています(参考)。

Q2: アクセラレータープログラムって?

インキュベーターが提供するプログラムはインキュベーションプログラム、アクセラレーターが提供するプログラムはアクセラレータープログラムと呼ばれます。

しかし、起業家が著名なインキュベーターやアクセラレーターの支援やプログラムを受ける場合でも、必ず成長・成功が保証されているわけではありません。

Q3: スタートアップ企業がアクセラレータープログラムを受けるメリットは?

各種支援や後ろ盾を得ることができ、信頼性や権威性が高まります。ただしピッチコンテストでの優勝などと同様に、アクセラレータープログラムを受けた事実は成功や未来の急成長を保証するものではありません。アクセラレータープログラムを受けず急成長を遂げたスタートアップ企業は数多くあります。

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