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ノートパソコンで小規模ビジネス向けローンの申し込みを行っている女性。

未来のEコマースに関する10の予測:進化するEC業界の新しいトレンド

今、「コマースの復活」は周囲の至る所で起きています。

最先端のデジタルネイティブブランドは、ボイスコマースの導入、ラスベガスのラグジュアリーホテルと提携した限定ポップアップの開催、そしてAR(拡張現実)を可能にしたO2O体験の試みなどを試験的に実施しています。ヘッドレス・コマースやプログレッシブウェブ アプリケーション(PWA)と並んで、スマートミラーやビデオゲーム、そしてライブストリーミングを通したコマースをブランドが実現するに連れて、世界中が物理的な店舗と化しています。

準大手および中堅のショッピングモールは、遊園地、スキー場、ウォータースライドなどを取り入れた、試験的拠点として生まれ変わっています。従来のメーカーやCPG企業は、成長を加速するために消費者向け直接(D2C)販売を行うことで、組織を再編成しています。

確かに、昨年米国で約1万2千件の小売店が閉店したのは事実です。だからと言って見方を変える必要はありません。ショッピングモールで閉店した店舗はオンライン上で生まれ変わり、オンラインで始まったビジネスは徐々に物理的な実店舗へと移行しつつあるのです。

活気がなかったコマースは、オンライン、オフライン、その間のすべての拠点において再起を果たしています。将来の展望は明るいもので、以下で説明する2020年とそれ以降の傾向により形作られていくと考えられます。

目次

  1. Eコマースがシェアの大半を占めるものの成長は停滞
  2. D2Cとプライベートブランド販売が加速
  3. PWAとAMPがモバイルコマースを牽引
  4. アメリカ国外でのグローバルEコマースが急成長
  5. 自動化が生産性を強化
  6. サステイナブルなEコマースが主流に
  7. デジタルネイティブブランドのオフライン化
  8. フルフィルメントへの期待値とコストの急騰
  9. 購入経路に変化をもたらす音声認識
  10. マーケターは新規チャネルと端末をターゲット

1. Eコマースがシェアの大半を占めるものの成長は停滞

実店舗とデジタルコマースの境界線が曖昧になってきてはいるものの、小売店とEコマースの成長の軌跡の違いは未だに顕著です(過去ほどではないかもしれませんが)。

全体的に、2019年の世界小売市場規模は$25兆米ドルに達すると予測されています。しかし、過去5年間と比較すると成長は減速し、2023年までは好転しないものと予想されています:

eMarketer社による画像

一方で、世界的なEコマースの売上は前年比約18%増の3兆5,000億ドルに達し、2023年までにはほぼ倍増の6兆5,000億ドルを超えると予想されています。

全体の見通しとして、小売市場に比べEC市場は急速に成長してはいるものの、規模としては比較的小さなものです。2019年の世界小売市場の売上全体におけるEコマース市場シェアは14.1%で、アナリストは2023年までにその数字が毎年2%ずつ増加すると予測しています:

Statista社による画像

Eコマースの成長の大部分はAmazon社の売上に起因しています。Amazonは市場平均より高い率で成長しており、2019年のアメリカにおけるオンライン売上の37.7%を占めると考えられています。実店舗売上が合計小売市場売上の約90%を占める一方で、アメリカでのオンライン売上の市場シェアの合計は史上初めて総合小売業(スーパーなど)の売上を上回りました。

2. D2Cとプライベートブランド販売が加速

2020年は合計小売売上の16.1%がオンラインからのものと予測されており、メーカーや従来ブランドは徐々に小売店を省いて消費者に直接販売をする傾向にあります。実際、従来メーカーの店舗売上不振を補填しているのは成長過程にあるEコマースの売上分なのです。

D2Cは主に以下3つの利益をもたらしてくれます:

  • 自ら顧客関係を築く

直接顧客と接することにより、ブランドは小売店に頼ることなく自分のブランドを守り、宣伝することができます。また、消費者と直接的な関係を築くことで、販売後のサポート提供を可能にします。

  • 顧客データの収集および使用

D2Cを実施することは、顧客体験のカスタマイズ時に活用できる「ファーストパーティデータ収集」を可能にし、最終的に収益化につなげることができます。

  • カスタマイズ製品を提供する

ブランドがD2Cをすることにより、従来の小売店では得られない体験を消費者に提供することを可能にします。さらに、買物客がカスタムパッケージやカスタムの詰め合わせをデザインすることを可能にしたり、ブランドアンバサダーとしてコンテストに参加してもらったりすることができるようになります。

このようなD2C傾向を主導しているのは、プライベートブランドの台頭です。

プライベートブランドはおよそ20%の消費者市場を占めると言われています。プライベートブランドの市場シェアの成長を牽引しているのは、従来メーカーが流通を託していた小売店です。多くの小売店が自身のブランドを展開するようになり、従来メーカーの商品と競合するようになりました。そのため、直販への流れは、小売店が発信するD2Cプライベートブランドによる競合の激化へ応えるものでもあるのです。

消費者は他により高い価値のある商品を見つけるとブランド忠誠心を簡単に放棄してしまうため、プライベートブランド商品は新規挑戦ブランドとして位置づけることができます。ここで重要なのは、プライベートブランドはオンラインと実店舗の両方で販売を展開しているということです。コストコ社の売上の約3分の1はプライベートブランドによるものです。Walmart社でもプライベートブランドの売上は19%だということがわかっています。

もう一つ指摘すべきことは、消費者は節約のためだけにプライベートブランドを購入する訳ではなく、プレミアム・プライベートブランドを好む傾向にあるということです。プレミアムプライベートブランド商品、もしくは比較的高価格帯のブランド商品よりも優れた印象のある商品は、アメリカのプライベートブランド商品市場の7.2%のシェアを占めています(3年前は5.9%でした):

Marketingcharts社による画像

3. PWA(プログレッシブ・ウェブ・アプリケーション)とAMPモバイルページ高速化)がモバイルコマースを牽引

アナリストは、2021年までに合計Eコマース売上の53.9%がモバイル端末から行われると予測しています。世界的に見ても、モバイルコマースは広範囲に普及されると考えられています:

Statista社による画像

しかし、Eコマースのプラットフォームがいくらレスポンシブなサイトを用意したからといって、優れたモバイル体験を提供しているとは限りません。モバイルコンバージョン率はデスクトップと比べ未だ半分以下なのです。ある調査によると、読み込みに3秒以上かかるサイトからは53%の消費者が退出してしまうことがわかっています。これは、モバイル直帰率がデスクトップよりも10〜20%高いことを示しています。

最適なモバイル体験を提供するために、いくつかのブランドではプログレッシブ・ウェブ・アプリケーション(PWA)を取り入れています。PWAはユーザーのホームスクリーンに帰属するもので、ユーザーがオンラインでいるかどうかに関わらず瞬時にページを読み込みます。端末上でのパフォーマンスを改善するために、PWAはフロントエンドとバックエンドで同時に作業することを可能にするヘッドレスコマース戦略の一部と考えられています。

リサイクルプラスチック製の女性用靴を販売するRothy’sは、プログレッシブ・ウェブ・アプリ(PWA)としてモバイルサイトを再始動しました:

「他の多くのブランドと同じように、サイトへのアクセスの大部分はモバイル端末からのものです。その傾向は、消費者がデスクトップから離れた休暇シーズンに急上昇します」と話すのはRothy’s社のサイトエクスペリエンス・マネージャーであるジジ・テウトゥリ=ヴァドヘイム氏。「顧客体験としては、モバイルファーストに焦点を当てるようにし、ユーザーが満足するスピードを確保することを最優先事項としています」

さらにもう一歩進んだ、PWAとAMP(Accelerated Mobile Page/モバイルページ高速化)を組み合わせたものがあります。これは、モバイルファーストの余計なものを省いたHTMLコピーのことを示し、瞬時の読み込みを可能するものです。AMPはGoogleのモバイルファーストインデックスの基盤であり、検索結果でのモバイル最適化を最優先しています。この組み合わせがより良い検索結果をもたらし、ファネルのより上部へのアクセスを可能にし、オンサイトのコンバージョン率の改善へとつなげてくれるのです。

4. アメリカ国外でのグローバルEコマースが急成長

世界的なEコマース売上は2020年に4兆2,000億ドル、また2023年には6兆5,000億ドルに達すると予想されています。そして2021年までに、21億人以上の買物客がオンラインで商品やサービスを購入するようになると予測されています。また、アメリカ国外に居住するオンライン買物客は日に日に増加しています。

2020年の終わりまでに、世界の14億人が中流階級に加わり、その大半(およそ85%)がアジア太平洋地域(APAC)に居住すると考えられています。EC全体としては欧米諸国から次第に離れて行く傾向にあり、以前中国で見られた好調な消費者経済がやや弱まっている現在も尚継続しています。

また、昨年APACではEコマースが25%の成長を遂げ、その売上は2兆2,700億ドルに達しました:

eMarketer社による画像

Eコマースが急成長しているのは半数以上がアジア太平洋諸国である一方で、世界で最も急成長中のメキシコを含む、南アメリカでもEコマースが著しく成長しています:

eMarketer社による画像

しかし、成長率は部分的な要因であるに過ぎません。世界的Eコマースの主役はやはり中国です。2019年の中国でのEコマース売上は1兆9,000億ドルと予測されており、実にアメリカの3倍のオンライン売上を上げています。事実、世界的なEコマース市場の中国シェアは54.7%、もしくは次点の5ヶ国の売上合計の約2倍にも達しています:

eMarketer社による画像

国際的にビジネスを拡大する際には、ローカライゼーションがひときわ重要になります。ローカライズ産業標準化協会(LISA)の調査では、ローカライゼーションに費やした1ドルに対する投資利益率(ROI)は25ドルであるということがわかっています。顧客に現地での支払い手段、現地通貨取引現地言語に翻訳したコンテンツを提供することが、国境を越えた成功のチャンスをより高めてくれるのです。

例えば、100% Pure社は、Tmall Globalを通して、動物実験を行っていない商品を中国人に直接販売しており、配送はサードパーティーのロジスティックス業者に担っています。この会社が前年比売上を4倍に伸ばした理由の一つには、ビジネスをローカライズしたことが挙げられます。

戦略の一部に、中国のインフルエンサーと連携してライブストリーミングを活用する、Tmall内のフラッシュセール用グループ購入システム「Juhuasuan」があります。共同創立者のリック・コスティック氏は、「中国ではアメリカで行うようなマーケティングができないため、現地の人の協力が必要でした。現地では現地のやり方を適用しなければならないのです」と説明します。

5. 自動化が生産性を強化

これからの一年、多くの企業で業務のオートメーションが進むでしょう。複数店舗を運営し大規模な在庫やフルフィルメントネットワークを要する国際的ビジネスの拡大を図るブランドにとって、業務を自動化することは特に有利に機能するはずです。越境ビジネスは平均的に31ヶ国に配送を実施しており、ブランドはますますEコマースの自動化を導入し、より迅速かつ効率的にビジネスを拡大しています。

Eコマースのオートメーション

Eコマースのオートメーションは、手間がかかり生産性を軽減してしまう手動の反復作業を排除します。

これにより国境を越えた商取引を単純化し、複数店舗運営での人的エラーを軽減し、ベストなショッピング体験を提供することの3つを通して生産性を強化します:

  • 主要イベント実施時、変更点を事前に適用させることができる
  • それら変更点を自動的にロールバックさせる
  • フラッシュセールや限定販売をオートパイロットで実施することが可能
  • 新商品を複数のチャネルに掲載することができる
  • 顧客保持のために顧客をタグしセグメント化する
  • トラッキングとレポート機能を整理する
  • ハイリスクな発注を識別しキャンセルする
  • 再発注と販促のために在庫通知をスケジュール化する
  • 「商品の見つけやすさ」を高めるために、商品を標準化する
  • 第三者アプリを統合させ、Eメールを使った顧客信頼回復手順など、独自のEコマース以外のエコシステムのワークフローをトリガーする

Eコマース自動化はまた、「不正」への高まる脅威からブランドを保護することにも役立ちます。買物客の注文履歴と発注内容を手動で照合し不正なものかどうか見極める代わりに、Shopifyを代表するEコマースのプラットフォームに搭載されている不正注文を防止する機能を使用することで、ハイリスク発注や費用のかかる支払取り消し作業を回避することが可能になります。

倉庫ロボティクス

独自で倉庫運営をしているブランドの多くは、費用を削減し効率化を図るためにロボティクスの導入を検討し始めています。世界的には、3,200件を超えるロボット稼働式フルフィルメントセンターが存在しています。

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)への世界的支出は、2022年までに30億ドルにまで達すると言われています。RPA導入への一番の障害が費用である一方で、ビジネスの48%が、自動化などの新技術を採用することが労働者数の削減に役立つと予想しています。

Artificial intelligence 人工知能(AI)

「レベル5」と言われる、人手を必要としない自己管理型自動化システムは、人間知能の代替となる人工知能を生み出すための最高水準の機械学習を必要とします。そのため、ビジネスがAI搭載自動化システムへ大きな投資をすることが予測されます。AIとプロセス自動化への世界的支出は、2021年までに154億ドルに達すると考えられています:

Statista社による画像

6. サステイナブルなEコマースが主流に

消費者の多くは、ブランドに自分たちの価値感と同じように前進して欲しいと考えています。しかし社会的大義と連携するだけでは十分ではありません。消費者は企業に「環境に配慮した製造管理」や「環境に優しいサプライチェーン」を採用することを求め、「無駄な包装を軽減する良き世界市民となることを望んでいます。

環境に優しいサプライチェーン

企業は洗練されたスタック技術へと目を向け、無駄を排除し、より高い効率化を図っています。スマートオーダーを複数の在庫拠点と組み合わせ、規則に基づく発注ルートを自動化することで、発注内容と顧客の最寄り倉庫の在庫を照合させることが可能になります。このように発注手順を自動化することで時間を節約し、フルフィルメントを迅速に処理し、配送費を軽減することができるのです。

同じように、商品の全ライフサイクルを知りたいという消費者の要望に応えるためには、サステイナブルな商品および部品の倫理的な調達を必要とします。これには、環境へ及ぼす影響を最小限にすることと、労働者を人道的に扱うことも含まれます。

大規模小売企業は、法人による年間温室効果ガス排出軽減への目標設定と対策の向上をブランドに求めています。このことに加え、サプライチェーン内の関係者をきちんとトラッキングするために、Walmart社は業者向けのサステイナビリティ・インデックスを作成しました。内容としては、以下の項目に対して、各業者がどの程度取り組んでいるかを評価するものです:

  • 無駄をゼロにする
  • 100%再生可能なエネルギーを使う
  • サステイナブル商品を販売する

サステイナブル製造

エネルギー効率が良く資源を節約した製造方法はほんの始まりに過ぎません。将来的に、顧客満足度は価格や品質だけでなく、ブランドが商品をどのように製造しているかということに左右されるようになるでしょう。

サステイナブル製造の環境的利点を認識し、分散製造システム(DMS)の取り入れが検討されています。これは、順応性のある小規模工場の分散ネットワークのことです。製造拠点を消費者と近づけることは、輸送の必要性を軽減して排気を削減します。さらにそれらの工場で雇用が生じるため、地域経済を活性化することができます。消費者の趣向や行動に変化が生じた場合には、製造工程を分散することで順応性を改善することができ、ブランドが消費者の要望により早く対応することを可能にします。

無駄のないパッケージ

無駄のないパッケージ」とは、すべての材料が使用され、再利用、そしてリサイクルされる、無駄を出さないパッケージ・システムのことです。消費者の需要に押され、ブランドはよりシンプルでサステイナブルなパッケージ提供をすることが必要になっています。無駄をなくす以外にも、すべてのパッケージを回収し、焼却や埋め立てされることのない取り組みが求められています。

必要最小限のパッケージ、パッケージサイズの小型化、そして配送方法の見直しもまた、Eコマースの将来を形づけています。パッケージから出る無駄とフルフィルメント費用を軽減するために、Amazon社はパッケージ指針を遵守していない売主に手数料をチャージしています。大きすぎる、または不必要なパッケージには1.99ドルのチャージがかかります。パッケージの必要条件として、パッケージ用の箱をより順応性の高い封筒と交換することに加え、完全リサイクルが可能な封筒を使用し、商品サイズに適したパッケージを見つけるという内容が含まれています。

費用がかかるようにも聞こえますが、実際には利益性のあるものだと証明することができます。ある調査によると、消費者は社会的対応ができている商品にはプレミアム価格を支払ってもいいと考えていることがわかっています:

eMarketer社による画像

7. デジタルネイティブブランドのオフライン化

消費者にオンライン上ではできない体験を提供することが、多くのデジタルブランドをオフライン体験へと導いています。実店舗の改革と言うよりも、チェックアウト不要のAmazon Goのリテールアウトレットが模範になっています。

モバイルリテール体験

Pura Vida Braceletsは、急成長中のハンドメイドのアクセサリーのメーカーで、デジタル界と実店舗の架け橋となってオムニチャネルアプローチを採用しています。オンラインで生まれたこのブランドは、SNSを基盤に構築され、今では数百万人ものフォロワーやファンがいます。しかし、Pura Vida社は最近になってSNSを通して小売体験の提供を開始し、消費者がブランドと実際にやりとりができる場所を設けました。

Pura Vida社のエアストリームトレーラーは、新規の売上を生み出すだけでなく、ブランドが飲食や音楽を通してファンとコミュニケーションを取ることを可能にしました。

ポップアップ店舗

The Emazing Groupはラスベガスのルクソールホテルやカジノと提携し、ラスベガスでの2019年EDCウィークにて、何百平米にもおよぶ敷地でLUX Raveポップアップ体験を開催しました。

このポップアップを宣伝するために、The Emazing Group社はSNSに前もって広告を打ち出しました:

広告はポップアップ店舗のプレビューで、オープン前に撮影されたものです。The Emazing Group社の戦略は、ラスベガスの人々にリアルタイムで発信するということです。広告はラスベガス地域にいる25万人におよぶEDC&EDMファンに届き、 合計で20万回の視聴を獲得しました。

この際、マーケティング費用1に対して得た総利益は12となったそうです。

コマースを体験と交換

サステイナブルスニーカーのブランドAllbirdsは、2019年のブラックフライデーにおいて、売上を最大化する代わりに、英ロンドンのコベントガーデンにある店舗を閉め、社会配慮のある消費を促しました。

「ブラックフライデーには買わない」を掲げてオフライン体験をブランド化したAllbirds社は、小売業務は停止したものの、非コマース体験を提供したのです。消費者はライブ音楽を試聴する他、ポンポン作りやリース作りなど無料のワークショップに立ち寄ることができました。

このアイデアは、消費者を教育することを通して、どのように自分たちのフットウェアが生産されているかを考えてもらいたいという願いがきっかけとなっています。焦点を割引からサステイナビリティに移すことは、ユーカリやリサイクルウールなどの素材を用いて商品製作をする同ブランドにとって、一年を通した優先事項となっています。

Allbirds社は、新商品の購入を希望する消費者を落胆させることもありませんでした。ブラックフライデーには限定スニーカーを3種類オンライン販売し、店内でのクラフト体験や限定商品を提供することにより、真の没入型ホリデー体験を可能にしたのです。

8. フルフィルメントへの期待値とコストの急騰

    配送の速さや配送費軽減への高まる消費者期待値は、小売業界に変化を与えています。アナリストは、2020年には65%の小売企業が即日配送を提供し、それが標準になりつつあると予想しています。3分の2の消費者は、高い配送料や配送の遅れが、オンラインショッピングのカゴ落ちする主な理由の一つであると述べています。

    Statista社による画像

    消費者期待値と同じく、即日配送を提供することによる費用は上昇しています。例えば、Amazon社のフルフィルメントと配送を含む物流費用は売上の約26.5%を占めています。しかしこの値はAmazon社が同日配送を開始する前に計算されたものでした。2018年、同社は270億ドルを配送に費やしています。売上成長と即日配送の開始を考慮すると、2019年の同社の配送費用は350億ドルに達することが予測されています。

    消費者の期待に応えて配送費を負担するために、ブランドは賢く無料配送基準を設定し、消費者により多くの商品をカートへ加えることを促し、平均注文額(AOV)を増加させることに努めています。さらにより多くのブランドが在庫管理システム(IMS)を導入し、フルフィルメントの遅れを出す欠品状態を瞬時に回避しています。

    在庫を複数拠点に置くことは、商品をより消費者の近くに位置させるために、配送時間と配送費を軽減することにつながります。ブランドは買物客により多くの配送オプションを提供し、商品を即時に受け取る必要のない人にも対応できるようにしています。また、異なる配送オプションごとの発注期限も明確に表示するようにしています。

    これは、デジタルネイティブブランドが実店舗と提携するもう一つの理由でもあります。オンライン購入の店舗受け取り(Buy-online-pick-up-in-store/BOPIS)オプションは、配送費を顕著に軽減してくれます。あるデータでは、消費者の68%がオンライン発注の商品を店舗で受け取っているということがわかっています。

    とは言っても、Afflink社による調査結果では、61%の消費者が発注後3時間以内に商品を受け取りたいと回答しており、より迅速な配送を好む傾向が弱まることはなさそうです。

    9. 購入経路に変化をもたらす音声認識

      ある予測では、全米家庭の35%がスマートスピーカーを少なくとも1台、また多くの消費者は1台以上を保有していると言われています。2019年に消費者の26.1%がスマートスピーカーを購入したという統計は驚くものではありません。

      また、消費者の3.9%がスマートスピーカーを使って日常的に買物をしていることもわかっています。これに対して最も的確な対応をしているのがGoogle社で、Apple社とAmazon社がそれに続いています:

      Statista社による画像

      音声ツールを通して最もよく購入されている商品は日用品であるというデータがある一方で、アパレル商品も同じくらい購入されていることがわかっています。これは、購入経路が音声から始まっていることを推測することに加え、消費者が将来的に音声により商品を購入する傾向にあることを示唆しています。

      現在は音声検索結果の40%が検索エンジンのスニペットから引用されています。そのため、ブランドは音声検索結果にスニペットを含めるための最適化を図っています。少なくとも当面は、強調スニペットを取り入れることが音声検索競争に打ち勝つための得策のようです。

      もう一つの方法は、Amazon エコードットユーザーとホームアシスタント市場を調査することです。アレクサの「スキル」、つまりプログラムされたコマンド(「どんな商品があるか問い合わせて」や、「チェックアウトして」など)を作成することで、ホームアシスタントがショップ内の商品を検索し、音声で購入することを可能にします。また、Amazonはユーザーのスピーチデータの匿名記録やインテントリクエストの詳細へのアクセスを許可してくれるため、消費者購入経路の中で音声がどのように使用されているかをより良く理解することができます。

      10. マーケターは新規チャネルと端末をターゲットに

        スマートTVとしても知られるコネクテッドTVとオーディオは、新たな広告手段として注目が集まるでしょう。多くのブランドがFacebookやInstagramを基盤として活用していく中で、お気に入りのテレビ番組や音楽サービスをストリーミングしている消費者をターゲットにした広告が急成長して行くと考えられます。

        プログラム広告のプラットフォームを提供するThe Trade Desk社は、2020年に向けて新しい機器やチャンネルが勢いづいていると説明します。2019年のブラックフライデーには、コネクテッドTVやオーディオがマーケターにとって必要不可欠なデジタルメディアとなったことが証明されたと述べています。

        The Trade Desk社による画像

        The Trade Desk社によると、コネクテッドTVはソーシャルメディア広告と同じデータ駆動型の利便性に加え、ストリーミングと関連性の高い広告にターゲットを絞るという利点を広告主に提供することができると言います。

        • データ駆動型のターゲット:当事者および第三者データを使い、デジタルキャンペーンのようにすべての画面上で最も貴重なオーディエンスと接点を持つ
        • 優れた測定:動画完成率や述べ視聴率などを含む、デジタルおよび従来のメトリックスでCTVキャンペーンの影響をトラッキングする
        • 賢明なターゲット移行:顧客行動の全体像を提供するコンピュータ、タブレット、携帯電話などのストリーミング機器を通して、世帯視聴者と再び接点を持つ
        • プレミアム広告在庫:人気テレビ番組や映画を視聴中の視聴者に対して広告を流す

        The Trade Desk社CEOのジェフ・グリーン氏は、広告を見れば購読料が低くなるという「広告付き購読オプションを、近いうちにNetflixが始めるであろうと考えています。さらにあるアンケートでは、消費者はストリーミング疲労に陥っており、視聴者の半数は月々の購読料を軽減できるならストリーミング広告を見てもいいと答えているそうです。

        2020年以降、包括的なオムニチャネルアプローチの一環として、ブランドがより多くの高品質ストリーミング広告在庫に投資するであろうと予測されています。多くの新規ストリーミング参入者コネクテッドTVの売上成長を考慮すると、この傾向はこの先10年の半ばくらいにまで続く可能性があるでしょう。

        2020年以降

        将来の予測は確率や正確なタイムラインを使ってできるものではありません。しかし現在起きている小売業の崩壊は、今までどんなマーチャントも経験したことがないもので、彼らにとって脅威とも機会であるとも考えられます。

        2020年以降を形づけるとされる傾向のすべてを勘案する必要はありません。顧客が求めているのは、オフライン、音声、環境に配慮した方法などの手段に関わらず、彼らが求める場所で価値ある顧客体験を受けるということです。

        これと言う確かなものはないものの、商取引における一つのチャネル、端末、もしくは優れたアイデアが退化した時には、また別の何かが適宜現れるであろうということです。小売業の衰退は、マーチャントが再起できると気付いた時に、再び復活を遂げ始めるでしょう。

        原文:Nick Winkler 翻訳:クリンカース恵子

        よくある質問

        未来のECのトレンドになるキーワードとは?

        サステイナブルがキーワードになりそうです。消費者は企業に「環境に配慮した製造管理」や「環境に優しいサプライチェーン」を採用することを求め、「無駄な包装を軽減」する良き世界市民となることを望んでいます。

        どのような販売形態が流行する?

        D2Cとプライベートブランド販売が加速することが予測されています。

        モバイルコマースの行く末は?

        モバイルコマースはさらに拡大することが予測されます。

        世界的なEコマースの売上は今後どうなる?

        世界的なEコマース売上は2020年に4兆2,000億ドル、また2023年には6兆5,000億ドルに達すると予想されています。そして2021年までに、21億人以上の買物客がオンラインで商品やサービスを購入するようになると予測されています。

        音声認識のECは流行する?

        音声ツールを通して最もよく購入されている商品は日用品であるというデータがある一方で、アパレル商品も同じくらい購入されていることがわかっています。これは、購入経路が音声から始まっていることを推測することに加え、消費者が将来的に音声により商品を購入する傾向にあることを示唆しています。

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