ウェブサイトに訪れた時に、URLの先頭に付加された拡張子に気づいたことはありませんか?そのようなURLを手入力したことがある人や、そこへと自動的にリダイレクトされた人もいるかもしれません。これらの拡張子は「サブドメイン」と呼ばれている、Eコマース戦略においていくつかの使い道がある機能です。
サブドメインとは?
「サブドメイン」とは通常のドメイン名の一部分を示すもので、特定の機能や目的のために使用されるメインドメインの拡張機能です。ほとんどのドメイン名は「website.com」のように表記されますが、サブドメインには「プレフィックス(接頭辞)」が付いており、ユーザーを異なるページへと誘導します。
サブドメインの例
サブドメインの表記は「shop(ショップ名).website.com」や「country(国名).website.com」のようなものが多く見られます。
例)
hanako.website.com
taro.website.com
のhanakoやtaroがサブドメイン部分に該当します。
厳密に言うとサブドメインはメインドメインの一部ですが,ほぼ独立して存在するものと考えていいかもしれません。メインドメインのページと区別するために、サブドメインページの見た目や雰囲気を変えることも可能です。もしくは同様の見た目や雰囲気を打ち出すことによって、一貫性のあるブランド体験を維持してもいいでしょう。
サブドメインとドメインの違い
ドメインとサブドメインの違いは、サブドメインがドメインの拡張機能であるという点にあります。ドメインは、複数のサブドメインやウェブページが集まった、より大きなネットワークのことです。その一方で、サブドメインは同じルートドメインに存在する、小さなウェブページの集まりと考えるといいでしょう。
サブドメインとサブディレクトリの違い
サブディレクトリは似ているようで構造が異なります。
上記の例で続けると、
hanako.website.com の場合、hanakoがサブドメインになりますが、
website.com/hanako の場合、hanakoがサブディレクトリになります。
サブドメインは独立したウェブサイトなの?
サブドメインは独立したウェブサイトではありませんが、Googleなどではそのように取り扱われています。
サブドメインの使用目的
サブドメインには次のようなたくさんの使用目的があります:
- 海外での販売
- サイトの試験
- モバイル環境の最適化
- Eコマースの立ち上げ
- 問い合わせ先
- クライアントポータル
- ブログ
- ターゲット販売
海外での販売
サブドメインは、海外で商品を販売する際に、ウェブサイトをわかりやすくまとめて、現地特有のショッピング体験を生み出すことに役立ちます。サブドメインの拡張子には地域名、国名、大陸名を省略したものを使うのがおすすめです。例えばイギリスの買い物客向けには「uk.website.com」を、カナダにいる顧客向けには「ca.website.com」などを使うといいでしょう。各拠点用にカスタマイズしたサブドメインを使えば、より関連性のある正当なサイトとして認識してもらえるため、買い物客により高い信頼感を与えられるようになります。数カ国にわたって販売活動を行う(英語)ようであれば、複数のサブドメインを使ってもいいでしょう。
また、複数の言語に対応するためにサブドメインを使うこともできます。例えばスペイン語版のウェブサイトであれば「es.website.com」、フランス語なら「fr.website.com」と設定できます。スペイン語やフランス語を話す国や地域は多数あるので、こうすればサブドメインの管理がよりスムーズになるでしょう。
どんなサブドメインを使うかは、ウェブサイトの内容やユーザー体験によって異なります。例えば国特有の価格設定や配送規定がある場合には、国または地域別に固有のサブドメインを使うことがおすすめです。一方、ウェブサイトを翻訳してコンテンツを微調整するだけならば、言語別のサブドメインを使うといいかもしれません。
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世界中の顧客に向けて屋外用コンロや携帯発電機、そしてアウトドアギアなどを販売するBioLite(英語)。彼らのウェブサイトに訪れると、まず「英国」、「米国」、「カナダ」、「ヨーロッパ」、「その他の地域」の中から、自分のいる場所を選ぶように促されます。それぞれのサイトには、各地域名を示す独自のサブドメインが付与されています。そのため、イギリスにいる買い物客は「uk.bioliteenergy.com」に、アメリカでは「bioliteenergy.com」、カナダでは「ca.bioliteenergy.com」、ヨーロッパでは「eu.bioliteenergy.com」、そしてその他の地域にいる人たちは「row.bioliteenergy.com」に誘導されます。
こちらもご覧ください:自分のドメインを取得しよう:おすすめドメイン登録サービス8選
サイトの試験
多くのEコマース事業では、サブドメインを使って試験サイトを作成しています。サブドメインを使用することによって、公開前にウェブサイトや個々のページを試すことが可能になります。一般のユーザーがアクセスする前に問題点やバグを見つけることができるので、サイトやページを事前に試すことはとても大切です。そうすれば、最新キャンペーンなどを安心して打ち出せるようになるでしょう。
なお、まだサイトを構築中であったり、サイトへの投資準備が整っていなかったりするブランドもあるかもしれません。例えば水着ブランドのBandolera Clothing(英語)の例を見てみましょう。彼らのウェブサイトはShopifyの無料プランを使っているため、URLにはShopifyのドメインである「myshopify.com」が表示されています。URLの先頭に表示された「bandolera-clothing-17」がサブドメインの役目を果たしています。
サイトに投資する準備ができたら、有料プランにアップグレードすれば独自のドメイン名を使えるようになります。次第にブランド独自のサブドメインを使用するようにもなるでしょう。
モバイル環境の最適化
スマホを使ってオンラインショッピングをする際、URLの先頭に「m」の文字が表記されているのに気づいたことはありませんか?これは、スマホやタブレット、そしてその他のモバイルデバイス専用に作成されたサブドメインです。
ここで重要なのは、デスクトップのブラウザとは異なる、モバイル環境でのカスタマイズされたEコマース体験を提供すること。特にモバイル上の買い物客とエンゲージして得るチャンスを考慮すると、モバイルでの応答性が必要最低限であることがわかります。昨年のモバイルコマースの売上は、米国アメリカだけでおよそ3,400億ドル(約39.3兆円)(英語)を記録。またモバイル上の買い物客が費やした金額は一回の購入につき平均で134ドル(約15,500円)(英語)でした。しかもその金額は今でも増える一方です。それからもわかるように、モバイルの買い物客を考慮に入れるべき理由は十分にあると言えます。
ただし、モバイルユーザーのカート落ち率(英語)(85%以上)は、他のデバイスのユーザーと比べて高いということは覚えておきましょう。
アルファベット文字「m」のように、サブドメインを使ってモバイル専用サイトを設けることは、デスクトップ体験に影響を及ぼすことなく、モバイル体験をカスタマイズする手段の一つとなります。
Eコマースの立ち上げ
すべてのEコマースサイトが、初めからEコマース用に立ち上げられるとは限りません。ウェブサイトの中には、別の目的からスタートするものもあります。中にはブログとして開設されたサイトもあれば、確固たるオーディエンスを構築してから収益化を図るものもあるでしょう。あるいはアフィリエイトサイトとしてスタートし、後からEコマース機能を追加するサイトもあるかもしれません。
ウェブサイトの中には、Eコマースプラットフォーム専用のソフトウェアに移行(英語)するものもありますが、移行をせずにEコマース用のサブドメインを使うものもあります。後者の場合には、サブドメインとして「shop」を使用するウェブサイトが多く見受けられます。この場合、全体のURLは「shop.yourwebsite.com」のように表示されます。その他では、「store」や「buy」などがサブドメインとして一般的に使われているようです。
実はレディー・ガガもこのアプローチを使って、自身のウェブサイトとEコマースサイトを区別しています。彼女のサイト「ladygaga.com」を訪れると、販売用の商品だけでなく、多岐にわたるコンテンツを目にします。これはサイトに訪れる人が、必ずしも購買目的で彼女のサイトに訪れるわけではないからです。
ただし「Shop」をクリックする人たちは購買目的でサイトを訪れるため、数多くの販売グッズが表示されることを期待するでしょう。そのため、レディ・ガガはサイトを訪れる人すべてに適応すべく、Eコマース事業をメインのブランドサイトとは分けています。
Contact(問い合わせ先)
Contact Us(問い合わせ先)(英語)ページや技術サポート用のページにも、特に技術スタックから要求される場合には、サブドメインが必要になることがあります。例えばマットレスを販売するEndy(英語)は、「answers.endy.com」というサブドメインを使って、メインドメインとは別の場所に問い合わせ先ページを設けています。サブドメインには他にも「support」、「help」、「contact」などを使うことができます。
クライアントポータル
同じように、顧客がサインインするクライアントポータルを設けているサイトもあります。ログインすれば個々の注文状況、注文履歴、最新のプロモーション、ロイヤルティプログラムのステータスなどをチェックできるため、クライアントポータルは買い物客にとってとても便利な機能です。ブランドにとっても、カスタマーサポートに頼らず自ら注文状況をチェックすることを顧客に促せるので助かります。
水着を販売するSeea(英語)のサイトでは、クライアントポータル用のサブドメインはありませんが、「返品・交換」ページ専用のサブドメインを使っています。ユーザーは「returns.theseea.com」にアクセスすることによって返品・交換(英語)手続きを行うことができます。メインサイトと比較すると、このサブドメインには限られた機能しかありません。なぜなら、このページでは一つの特定された目的に機能が絞られているからです。
ブログ
ウェブサイトの中には、サブドメインを使ってブログページをメインページと区別するものもあります。多くのブログサイト(英語)をチェックしてみると、サブドメインを使ったものには、サイト内の他のページとは異なる機能があることがわかります。既存のウェブサイト上でブログを始める場合には、サブドメインを使ってブログを開設してもいいかもしれません。
トイレットペーパーブランドのWho Gives A Crap社は、メインドメインに「whogivesacrap.org」を使用し、Who Gives A Crap blog(英語)という名のブログページではサブドメインの「blog.whogivesacrap.org」を使用しています。
ターゲット販売
異なるオーディエンスを引きつけたり、複数の事業目標を達成したりするためにサブドメインを使うことも可能です。それには特定の顧客セグメントに焦点を当てたサブドメインや、特定のキーワードに関するサブドメインを作成するといいでしょう。
卸売取引用に、消費者サイトとは別のサブドメインを使っているGRAV。通常のドメインには「grav.com」を使用していますが、卸売取引にはバイヤー向けのサブドメインである「wholesale.grav.com」を設けています。
Shopifyでドメイン(およびサブドメイン)を開設
サブドメインを設けていなくても、ドメイン管理は十分に複雑なものです。そのため、バックエンドの作業を簡素化してくれる技術スタックが不可欠となります。
そんな時にはドメインやサブドメインをShopifyで登録すれば、すぐにオンラインストアとの接続が可能になります。しかも、サードパーティのアプリや複雑なセットアップは必要ありません。
原文:Alexandara Sheehan 翻訳:クリンカース恵子
よくある質問
サブドメインとは何ですか?
サブドメインは独立したウェブサイトなの?
何のためにサブドメインがあるの?
海外での販売
サイトの試験
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Eコマースの立ち上げ
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