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領収書とは
領収書とは受取人が支払人から商品やサービスの代金を受領したという事実を証明するための証拠書類です。
これらは経費処理や個人事業主が確定申告の際に必要な重要書類となっています。また、領収書には二重請求を防ぐための書き方や、最長10年間の保管義務があるなど知っておくべき注意点が様々あります。
この記事で、領収書の基本的な情報を把握しておきましょう。
領収書の役割
領収書は金銭のやり取りが行われた事実を証明するための証憑書類であり、代金の受取人が発行します。これらの証明により、二重請求や過払いを防止します。
その他に、領収書提出を義務化することにより、水増し行為による社員の不正利用を未然に防止する事ができます。
そして、確定申告をする際、経費を正しく計上するために領収書が必要となります。
領収書とレシートの違い
税法上、領収書とレシートは区別されていません。
国税庁のホームページによると、「領収書」も「レシート」も「金銭又は有価証券の受取書、領収書」に該当すると記載されています。
しかし、レシートが証憑書類として認められるには以下の点が記載されている必要があります。
- 店の名前
- レシートの発行日
- 商品やサービスの品目
- 金額
会社によってはルールとしてレシートが提出物として認められず、領収書のみと定めているところもあります。
領収書の保存期間や保管方法
国税庁のホームページによると、法人も個人事業主も、確定申告で利用した領収書は一定期間保存義務があります。
まず個人事業主の場合の年数を確認しましょう。
個人事業主の領収書の保存期間
個人事業主の白色申告者の場合の領収書の保存期間は5年間、青色申告者の場合は10年間です。
もし前々年度の所得分が300万円以下である場合は、青色申告者でも5年間となっています。
注意点として、白色申告者でも課税事業者となっている個人事業主は7年間保管しなければなりません。
法人の領収書の保存期間
では、法人の場合はどうでしょうか?
法人の場合は、保存期間は原則7年間となっています。
しかし、赤字が発生した事業年度の領収書は9年間・10年間保管する必要があります。
平成20年4月1日以降に終了した欠損金の生じた事業年度に関しては、9年間保管する必要があり、
平成30年4月1日以降に開始する欠損金の生じた事業年度に関しては、10年間保管する必要があります。
領収書の保管方法
領収書の保管は領収書の原本をファイルに日付順や項目別にして分けるか、電子データで保存するかの2通りがあります。
領収書をそのまま原本で保管するのであれば、A4ファイルのバインダーにまとめるのが一般的です。
電子データで保存するのであれば、スマホやデジカメによる画像も認められているので、保存が簡単で、整理する手間やデータが検索しやすい等といったメリットが多くあります。
領収書の書き方と注意点
領収書を書く時は、以下の7つのポイントを意識しましょう。
- 宛名:「上様」は避け、会社名か個人名を記入する
- 領収書の発行日:省略しない
- 金額:数字の3桁ごとに「,(カンマ)」を打ち、先頭に「¥」記号か「金」を付け加え、末尾に「※」、「-」、「也」を付け加える
- 内訳:税抜金額・消費税額も記入する
- 但し書き:「お品代」は避け、具体的な商品やサービス名を記入する
- 収入印紙と割印:5万円以上で必要
- 発行者名・住所・押印:偽造防止のために角印を押印する
宛名
領収書の宛名には、代金の支払いを行った人の名前、または企業の正式名称を記入します。「(株)」などの省略形は好ましくなく、会社名の前後どちらかにある「株式会社」の位置にも気を付けながら会社名を記入して下さい。
宛名がない領収書は無効とされる場合があるので、忘れずに記入しましょう。
また、「上様」だと領収書としての効力が怠るため、省略せずに会社名の場合は正式名称を記入した方が好ましいです。
領収書の発行日
支払い者が代金を受け取った日付を年月日で記入します。和暦・西暦で記入する場合も省略せずに、「令和元年」、「2022年」などと記入しましょう。
金額
支払い者が受け取った金額を「税込金額」で記入します。
記入する際は、金額の改ざん防止のために以下の3点に気を付けましょう。
- 数字の3桁ごとに「,(カンマ)」を打つ
- 金額の先頭に「¥」記号か「金」を付け加える
- 金額の末尾に「※」、「-」、「也」を付け加える
例として挙げると、「¥555,000,000-」、「¥30,000※」、「金20,000円也」という書き方ができます。
内訳(税抜金額・消費税額)
内訳には「税抜価格」と「消費税額」を記入します。
軽減税率対象の商品がある場合は、税率ごとに分けて記入しましょう。
内訳を書く項目がない場合、金額の下に記入すると丁寧な印象を与える事ができます。
但し書き
但し書きには具体的な代金が分かるように、商品やサービス名を記入します。
書き方の例として、「飲食代として」、「手土産代として」、「書籍代として」と書けます。
「お品代として」では詳細が分からないため、できるだけ避けるべきです。
収入印紙と割印
50,000円以上の領収書に関しては、金額に応じた収入印紙を貼り、消印(割印)を押す必要があります。
収入印紙とは、印紙税法と呼ばれる法律で定められた課税文書に貼る税金の1つであり、領収書を発行する側が負担する物です。金額が5万円以下の領収書は非課税です。
クレジットカード払いの場合は収入印紙は貼る必要がありませんが、現金やデビットカードでの支払いの場合は必要です。
発行者名・住所・押印
基本的に、商品やサービスを提供する領収書の発行者の以下の情報を記入します。
- 会社名
- 店舗名
- 住所
- 電話番号
また、商慣習上、偽造防止のために発行者の角印を発行者欄に重なるように押印するのが一般的です。
2023年のインボイス制度で領収書の書き方が変わる
2023年10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入され、領収書の書き方が変わります。
このインボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、軽減税率の導入に対応するために作られた、売り手が買い手に正確な消費税率や消費税額を伝えるための新しい制度です。
従来の「区分請求書等保存方式」に加えて、以下の項目が追加されました。
- 適用税率
- 税率ごとの消費税額の合計額
- 登録番号(税務署に申請し登録することが必要)
この適格請求書は「消費税の課税事業者」でないと発行できません。
発行するためには「的確請求書発行事業者」の登録申請書を税務署に提出する必要があります。
領収書を発行するまでの流れ
ここまでで領収書の書き方や新制度について紹介しました。
領収書を発行するための基本的な流れは以下です。
- 金銭を受領後に受取人が支払者に領収書を発行
- 宛名を確認する
- 但し書きを確認する
- 受取金額が5万円以上の場合は収入印紙を貼付する
- 領収書の控え(複写)を1部保管する
領収書を書くために必要な物
領収書をいつでも発行できるように以下の物を予め準備しておきましょう。
- 領収書のテンプレート
- 収入印紙
- 封筒
- 領収書在中の印鑑
- 切手
収入印紙は郵便局や法務局で購入すれば、31種類全ての収入印紙を購入することができます。
急ぎの場合はコンビニでも購入可能ですが、
- 基本的に200円の収入印紙しか取り扱いがない
- 収入印紙を販売していないコンビニがある
- 全ての種類の収入印紙が揃っているわけではない
上記の3点にご注意下さい。
領収書に印鑑は必要?
上記でも述べた通り、金額が5万円以上の領収書には収入印紙を貼り、消印(割印)を押す必要があります。
しかし、基本的には領収書に印鑑は必要ありませんが、商慣習上、偽造防止のため押印をするのが一般的です。
電子印鑑も問題ないですが、会社によっては認めていないところもあります。
クレジットカードの支払いの場合の領収書発行は必要?
クレジットカード払いの場合、領収書の発行は原則必要ではありません。
クレジットカード払いの際にもらう利用明細書を領収書の代わりにすることができます。
また、クレジットカードの場合の収入印紙は必要ないです。
しかし、注意点として、領収書を発行する際に「クレジットカード利用」や「クレジット取扱」の記載がないと第17号の1文書(課税文書)に該当し、総額5万円以上の領収書が課税文書として扱われてしまいます。
再発行を依頼されたら?
基本的に領収書の再発行は、二重発行を防ぐためにも避けるべきです。
万が一、再発行が必要なときは以下の点に気を付けましょう。
- 再発行をする領収書に「(再)」や「(再発行)」と明記する
- 再発行した領収書と返却された領収書を一緒に保管する
- 手書きの複写式領収書で書き間違いによるミスがあった場合は「×」の印を記入する
また、個人事業主として必要な領収書を紛失してしまった場合は、以下の対処法があります。
- レシートを探す
- 出金伝票に「金額」、「支払い先」、「但し書き」などの情報を記入する
- カードの利用明細を確認する
個人事業主が経費にできるもの・できないもの
経費とは事業を行う上で使用した費用のことを指します。
計上できる金額によって、最終的に支払う税金の額が変わるため、個人事業主として経費にできるものとできないものがあるものを把握しましょう。
「仕事」と「プライベート」を分けるのがポイントです。
個人事業主が経費として計上できるもの
個人事業主が経費として計上できる項目として以下のようなものがあります。
- 租税公課(個人事業税、固定資産税、自動車税などの税金)
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費(サーバー代やインターネット料金)
- 接待交際費
- 消耗品
- 減価償却費(パソコンやカメラなど)
- 従業員に払う給与
個人事業主が経費として計上できないもの
代表的な個人事業主が経費として計上できないものとして以下が挙げられます。
- 個人事業主自身の給与、年金、保険料
- 個人事業主個人が納める住民税や所得税
- 個人事業主の家族への給与
- 事業と関係のないプライベートにおける支出
領収書作成サービスを活用して時間を有効活用
領収書の書き方や注意点などを紹介しましたが、freee会計などの確定申告の手間を少しでも楽にするために、領収書作成サービスを使うことをおすすめします。
領収書を電子データ化すれば、7年以上の保存も容易で、場所も取りません。
印刷代やファイリングする時間もかからず、必要なデータも素早く検索できます。
初期費用がかかるものの、トータルコストや領収書を保管するための手間を考えると業務効率化のためにも領収書作成サービスを使うことを検討してみましょう。
freee会計の領収書作成サービスを使えば、領収書や見積書の作成も簡単に行え、税制改正も自動アップデートされるため作業の手間が減ります。
確定申告のために使えるfreee会計以外のサービスも下の記事で紹介されているので、確認しておきましょう。
freeeって何? 確定申告はいくらから必要? やり方は?