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ノートパソコンで小規模ビジネス向けローンの申し込みを行っている女性。

パワフルな女性たちはアクションを起こしている!【ニューヨーク発、最新EC事情 〜女性史月間編〜】

アメリカより現地のEC関連のニュースや最新情報をお伝えするニューヨーク発、最新EC事情シリーズ。今回は女性史月間をお伝えします。過去の記事はこちら

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すっかり春らしくなって花々の蕾が膨らみ始めてきた今日この頃。そんな柔らかな雰囲気と呼応するように、全世界的に3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」、3月の1ヶ月間は「女性史月間(Women’s History Month)」とされています。ジェンダーイクオリティを叫ぶ声が世界中で大きくなる中、アメリカでもさまざまな動きが起こっています。

女性史月間とは?

アメリカにおいて女性史月間の起源は1911年に行われた初めての国際女性デーにまで遡ります。1978年にはカリフォルニア州ソノマカウンティの教育関係者が3月8日を中心に女性史週間をスタートしました。きっかけは学校のカリキュラムに女性史が取り入れられていなかったこと、また、一般市民においても女性に対する社会的意識の喚起を呼びかけることが目的であったと言います。その後さまざまな州で同様にカリキュラムの変更が行われ、教育における男女平等達成を目標として行きました。

1980年2月にジミー・カーター大統領のもと、3月2~8日を全国女性史週間とする大統領布告が出され、1987年には全米女性史プロジェクトという団体が3月を全米女性史月間に指定するよう連邦議会に働きかけ、法案は通過。それ以降、3月が女性史月間と認定されました。

女性史月間の目的は以下の通りです。

  1. さらなる女性の社会的地位の向上を目指し、サポートする
  2. 女性が自立するための権利を主張し、歴史を動かしてきた女性アクティビストたちの貢献を讃える
  3. 女性という理由で差別されることのない平等な社会を目指す

        2021年の女性史月間は例年にもないほどの盛り上がりを見せています。新副大統領に就任したカマラ・ハリス氏は女性としては初の副大統領です。彼女の副大統領就任は多くの女性に希望と力を与えました。これに象徴されるように、ブロンクス出身の労働者階級で育ったアレクサンドリア・オカシオ・コルテスのように、アメリカでも民衆から絶大な支持を得て社会を変えていこうと奮闘する女性たちが政界で活躍をし始めています。

        昨年9月には性差別の撤廃を求め、27年間にわたり自らも女性の連邦最高判事として女性をはじめとしたマイノリティの地位向上に務めてきたルース・ベイダー・ギンズバーグが死去。多くのリベラル派が悲しみくれましたが、彼女の意志は多くの女性の社会的地位の向上を目指す原動力となっています。

        アメリカだけでなく、ドイツのアンゲラ・メルケル首相やニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相など、世界には影響力を持つ女性の政治的なリーダーが存在しています。スイスのジュネーヴに本部を構えるInter-Parliamentary Union(列国議会同盟)によると、2020年に国会議員で女性が占める割合は平均25.5%で、日本は全体の166位の9.9%に留まり、G7諸国の中では最下位と言う結果になっています。それでも東京都の小池百合子知事のように、女性のリーダーが国を引っ張って行ってくれることを願うばかりです。


        地元ブロンクスやクイーンズの移民層など,地元に密着したかたちで問題解決を行なっているAOC。photo by Alexandria Ocasio Cortez

        声を上げ始める女性たち

        近年ではSNSの発達により、大きなニュースだけでなく、個人が発信する主義主張が瞬時に世界中を駆け巡る時代になりました。アメリカでは2017年にハリウッドで有名映画プロデューサーから性的な暴行やセクハラを受けた女優たちが声を上げたことからInstagramをはじめ、SNSで#MeToo(ミートゥー)運動が勃発しました。今では女性だけでなく、LGBTQなどさまざまな性別で性的被害にあった人たちもこのハッシュタグを使い、問題に立ち向かっています。

        #MeToo運動を見てもわかるように、今まで被害に遭いながらも泣き寝入りをしてきた女性たちがタブーを打ち破り、勇気を出して女性の権利を求めて立ち上がったことで世の中が動き始めています。この運動はアメリカだけでなく、現在では世界各国で同様な性的被害に関する撤廃運動として広まっています。

        起業家は男性だけではない!女性起業家の台頭

        ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルスなどの都市部では女性起業家によるビジネスも多岐による業界で増加しています。ニューヨークの金融機関funderaの報告によると、アメリカでは12,300,000-の女性起業家がビジネスをしていると言われ、アメリカの企業の40%を女性が所有していると言われています。20年前よりも女性起業家の数は114%伸長。調査会社statistaの報告によると、アメリカは世界的に見ても女性起業家の数は多く、統計を取った40ヶ国中、アンゴラがトップで40.7%、チリが32.4%で続き、アメリカが16.6%と3番目に多い数字となっています。ちなみにヨーロッパの先進諸国は軒並み低い数字となっています。

        それでも女性起業家がVCなどから投資を得る機会は今でも男性起業家に比べ、まだまだ少ないのが現状です。理由としては男性がマジョリティを占める投資家たちの間では女性の起業家が少ないための事例不足からくる信頼感の欠如や、“産む性”を持って生まれた女性は出産、子育てのライフステージにおいて、本当に起業家としてリターンを返せるかなどの不安感があるようです

        そんな状況の中でもアメリカでは女性起業家や企業の女性幹部の活躍が目覚ましく見受けられます。今年2月には女性主導のデーティングアプリで知られるBumbleが米ナスダック市場に上場し、時価総額9000億円となり、ファウンダーのホイットニー・ウォルフ・ハード(31)は資産10億ドル超えの女性起業家となったことで話題をさらいました。2014年にBumbleを創業したウォルフ・ハードは前職のTinderで上司らにセクハラをされたとのことで彼らを訴えて退職しています。

        女性優位のアプリとして知られるBumbleは、女性がOKをしないと男性からコンタクトを取れないシステム。Photo by Bumble

        大企業も女性支援に乗り出し、女性をサポート

        3月8日の国際女性デーを中心に各企業もこの1ヶ月、女性サポートに力を入れています。アメリカの大手サプライチェーンのNordstromはオリジナル商品の衣服などの70%を女性の雇用環境やエンパワーメントを支援する団体Her Projectに加盟する工場に受注生産をすることで、工場で低賃金で過剰な労働や差別、ハラスメントを強いられている女性たちをサポートしています。その他、J CrewやAmerican Eagle Outfittersなど、多くのアパレル企業がサポートの度合いは違えど、同プロジェクトに賛同し、工場で働く女性従業員たちの労働環境改善に取り組んでいます。ファストファッションブランドH&Mも3月8日の国際女性デーより1年間、黒人女性が所有するブランドをサポートするプロジェクトを開始しました。Buy From a Black Womanという非営利団体とタッグを組み、黒人女性が所有するブランドのアクセラレーター支援や、売り上げの一部を寄付するなど、1年をかけてさまざまな角度から支援していくと発表しています。


        Her Projectでは工場や農場がインクルーシブな職場を作るための採用や方針の支援をしています。Photo by Her Project

        日本ではまだまだ女性起業家による事業も少なく、企業が女性史月間に具体的なビジネスサポートに乗り出すケースもあまり見かけない。女性をエンパワーすることで男性にはない強みを生かしたビジネスが盛り上がり、市場も活性化していくことでしょう。


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